こんにちは!Emma Magazine編集長の吉高です。

創業当初より海外のマーケティングカンファレンスに参加し、常に最新の動向を追っている当社EXIDEAですが、昨年に引き続きコンテンツマーケティングワールドに参加してきました。

今回はアメリカの最新動向を基に、コンテンツマーケティングはどこに向かうのか?また、何が必要になってくるのか、基調講演(キーノートスピーチ)の内容やカンファレンス全体を通じた考察をもとに解説していきたいと思います。

コンテンツマーケティングワールド2019の基本情報

ここではまず、コンテンツマーケティングワールドとは何かという基本情報を解説しております。コンテンツマーケティングワールドは何か知ってるから内容を早く知りたい!と思われている方は飛ばしていただいて構いません。

コンテンツマーケティングワールドは、アメリカオハイオ州・クリーブランド(Cleveland)で行われる、世界最大級のマーケティングイベント。Content Marketing Instituteが主催しており、今年は9回目の開催となっております。

毎年参加人数は伸びているのですが、今年は4000人以上が参加したのではないかと言われていることからもその規模が伺えますね。

4日間にわたるカンファレンスは、選りすぐりの225人ものスピーカーが123時間以上もセッションやワークショプを行うなど、非常に濃い学びができるため、マーケティングに関わる方には参加を強くおすすめしたいイベントの1つです。

さて、コンテンツマーケティングワールドの基本情報はここまでにして、続いてはいよいよその内容に関して触れていきたいと思います。

今後10年の動向を予想~Joe Pulizzi氏によるキーノート~

Joe Pullizzi氏

Joe氏のホームページより

オープニングセレモニーの直後に行われたキーノートがJoe Pulizzi氏による講演。Joe氏はContent marleting Instituteの共同創始者で、世界でもっとも影響力があるマーケターの1人だとされています。

このキーノートでは『MKTG2030』と題し、今後10年にわたるコンテンツマーケティングの情勢を、7つの法則というユニークな切り口にについて話されました。トップを行くマーケターはこのように世界を見ているのかと非常に印象深い講演の1つです。

Joe氏が述べた7つの法則とは以下の通り。

  1. コンテンツマーケティングの予算を確保すること(予算を握っている人を見つけて適切にアプローチすること)
  2. マルチチャネルでの収益源を確保すること(5つ以上が理想)
  3. メデイアを1から作るのではなく、買収することを考えること(既存のブランド価値を利用するため)
  4. リソースを集中させること(平均以上ではなく、何か素晴らしいものを作り上げること)
  5. 長期的な戦略としてコンテンツマーケティングを見ること(18ヶ月未満の場合、それはただのキャンペーンであり、コンテンツマーケティングの真価はわからない)
  6. ソーシャルメデイアの終焉に備えること(詳しくは後述)
  7. 自分のコンテンツ戦略は正しいと信じ、貫き通すこと

コンテンツマーケティングを成功に導くための戦略的な話が6つと、非常に大胆とも言える未来予想が1つの基調演説でした。

戦略的なところは皆さんも見ていただければ納得できる内容なのではないでしょうか。

コンテンツマーケティングは決して一過性のマーケティングキャンペーンではなく、正しい戦略をもとに進めていけば、必ず成功すると述べているように感じました。

その中でも特に印象的だったのは7番で、周りの雑音には絶対にNOと言わなくてはいけないと主張。以下のようなコールアンドレスポンス形式でオーディエンスに”NO!”と言わせるパフォーマンスも見せました。

「コンテンツ中にもっとプロダクトやセール情報を入れられないか?」
「NO!!」

「ポッドキャストのアイディアはすごく気に入った。それと同時に動画のキャンペーンもできないか?」
「NO!!」

「とにかくコンテンツを作り始めよう。戦略はいらない!」
「NO!!」

このような他部署からのコンテンツマーケティングの本質や戦略に対してあまり理解していない上司のいうことには断じて「NO!!」というべき!なぜなら、「あなたは戦略を持っていてそれに従わないとコンテンツマーケティングは必ず失敗するため」だという主張は、コンテンツマーケティングを取り巻く環境を連想させます。

また、衝撃的だったのはソーシャルメデイアの終焉が近いから備えるようにという6番。

日本では一切論じられない考え方のため、度肝を抜かれましが、詳しく調べてみるとあながち嘘ではないと考えられます。

ソーシャルメディアは本当に終わるのか?

Joe氏によれば、5年後になるか10年後になるかわからないが、今あるソーシャルメデイア(SNS)はいずれ終焉を迎えるとのこと。

その論調を聞いたときは、「今世界をリードしているIT企業たちがまさかそんな」と思っていました。

しかし、Joe氏が突きつけるファクトにはソーシャルメディアの終わりを予見するだけの説得力を感じます。

その1つがFacebookを取り巻くフェイクニュース問題。フェイクニュースとはネット上で拡散する意図的に発信された虚偽情報のことを指す言葉であり、その内容はあたかももっともらしく書かれていることが多いものです。

このようなフェイクニュースはFacebookのような巨大プラットフォームの力も相まって、爆発的な拡散を見せることがあります。

実際に、2016年のアメリカ大統領選では、フェイクニュースがトランプ大統領の誕生を後押ししたというのがアメリカでは通説。

このような歴史を変えてしまうような事項に大きく関与することからもフェイクニュースを止められないソーシャルメディアへの世間の声は厳しくなっています。

また、選挙コンサルティング企業であったケンブリッジアナリティカ(現在は廃業)が Facebookの個人データを不正利用して、先ほどのアメリカ大統領選に加え、ブレグジットにまで関わったのも、ソーシャルメデイア終焉を予想させる大きなファクターとのことです。

加えて最近では、香港でのデモに関連してTwitterが国営メディアからの広告出稿を禁じるなど、ソーシャルメディアの政治利用への対策を講じており、もはや昔のようなプラットフォームではなくなることから、アクセス減が懸念されると予想。

GDPRやカリフォルニアで成立した新たなプライバシー保護法のCCPAなどの法の面からも巨大ITプラットフォーマーへの風当たりの強さを感じますし、氏の予想は現実味を帯びつつあります。

ただ、だからと言ってソーシャルメディアが終わるのかといえば、そんなことはないというのが当社EXIDEAの見解

ソーシャルメディアを構成している特性は、2つあると考えており、1つはマスに対するリーチ力、もう1つはコミュニティのプラットフォームです。

上記のような、フェイクニュースなどの面で力を失うのは、前者のマスに対するリーチ力。一方で、コミュニティのプラットフォームとしては、引き続き機能するでしょう。

アンバサダーマーケティングやインフルエンサーマーケティングなどがコミュニティーのプラットフォームを利用したマーケティングの形態ですし、ソーシャルメディアを使ったマーケティングの仕方が変わることはあっても、ソーシャルメディアというプラットフォーム自体が終焉することはないと考えています。

コンテンツマーケテイングの潮流はストーリーテリング

ストーリテリング

*画像はイメージです

今回のコンテンツマーケティングワールドを通じて目立ったのはストーリーテリングに関するトークセッションの多さ。実際にキーノートにおいても、実に2つがストーリーテリングに関するものでした。

1つはストーリーテリングによって、社内をエンパワーメントし、かつ採用にも貢献しているエマソンの話。もう1つは、アフィリエイトマーケティングにおいて、いかにストーリーテリングで、ユーザーとのタッチポイントを多くし、ファンになってもらうことで、購買行動を起こさせるかというものでした。

なぜ、これだけストーリーテリングが注目を浴びているのかを考察してみると、大きく分けて2つの理由が考えられます。

第1に、人間は論理では意思決定しないということ。

人間は感情が動いた時にのみ意思決定を行える生き物です。何か商品を買った後に、「安かったから」「性能が良いと感じたから」などと理由を述べますが、実はそれは後付けであることが消費者行動学などの研究でも明らかになっています。

また、最も偉大な脳神経科学者として知られるAntonio Damasio氏によれば、後天的な障害で感情を持たなくなった人間は、他の人間と同じように振る舞えるが、意思決定だけは下せないといいう結果も出ており、人間の意思決定には感情が不可欠だということがわかります。

つまり、ユーザーに意思決定をさせるためにはストーリーテリングで、そのブランドやビジョンに共感してもらう必要があるため、これだけ注目を集めていると考えられるでしょう。

第2の要因は、商品のコモディティ化が進んでいること。コモディティ化した商品は市場の中で他の商品と同質化したもので、競争価値を持ちません。

コモディティ化した商品が溢れる現代において、その商品を他と差別化し、競争力をもたらすためには、ユーザーの共感や自分ごと化を促すストーリーティングが非常に効果を発揮します。

これは、みなさんも体験があるかと思いますが、同じような商品が選択肢にあった際に、最後の決め手となるのは、そのブランドに共感できるか否か、ではないでしょうか。

それは結局、性能が高いなどの論理的な部分ではなく、共感するという感情が動く体験をしているために起こる選択なのです。

このように、他の商品と差別化するという意味においてもストーリーテリングは大きな役割を持ちます。

キーワードはオーセンティシティ(Authenticity)

オーセンティシティ

*画像はイメージです

このようにコンテンツマーケティングに欠かせないストーリーテリングですが、各セッションの中で繰り返し強調されていたキーワードがAuthenticityでした。

Authenticityは、本物であり、信頼がおけることを指す単語。去年のキーワードがTrustで信頼だったことを考えれば、その流れを踏襲しつつ、より本質を求められているという印象です。

これはつまり、「その情報は本物か?」「誰が言っていて、その人物は信頼に値するのか?」ということが重要視されているということ。

具体的には、コンテンツにあなたというコンテキストを加えることが非常に有効だというのが当社EXIDEAの認識・見解です。

それはあなたにしか書けないもの、発信できない情報が必ずあるはずですので、それをコンテンツに反映するということ。そして、あなたのコンテクストに共感したユーザーがそのブランドのファンとなり、ロイヤルカスタマーとなっていくのです。

情報過多の時代において、フェイクニュースなどが問題視される昨今、情報が本物であり信頼できることはこれよりも増して重要になる。そんな流れが読み取れたカンファレンスでした。

もう1つの流れはボイスサーチ(音声検索)

ボイスサーチへの対応

*画像はイメージです

また、昨年同様に重要なテーマの1つとして注目を浴びているのが、ボイスサーチ(音声検索)への対応。

Amazon Alexa、Google Home、Apple SiriなどのAI音声アシスタント機能を持つスマートスピーカの市場は、アメリカで急速に伸びており、また2020年には全検索の約50%が音声検索になると言われていることからもその重要性が伺え、緊急性を要するテーマだと言えます。

実際にセッションのテーマとして、『You Will Fail at Voice Search』と題し小児科院のデジタルマーケターがどのようにして、オウンドメディアのWEBページを強調スニペットに載せ、音声検索の最適化を行ったのかを説明するもの。

『コンテンツマーケティングの未来は音声検索とスマートオーディオ』と題し、音声検索がいかに伸びていて重要度を増しているかを7つのファクトをもって伝えるものがありました。

音声検索はまだ始まったばかりで、ここ数年だけのトレンドではありません。アマゾンが音声検索に1万人の従業員を動員し、研究開発をしているという事実があり、世界最高のIT企業がこれだけ力を入れている領域だということを考えると、音声検索の重要性はより大きくなる一方だと考えられます。

マーケターとしては、このようなテクノロジーの進化にどう対応していくかが肝になるといった印象です。

メールがマーケティングの主戦場になる?

オーディエンス繋がる上で有効な手段

参照:Joe氏Keynote:MKTG2030

今回のカンファレンスでもう1つ気付かされたことはメールマーケティングの重要性です。

これはトレンドというよりもメールが持つ特徴とこれからのビジネス環境環境を考えた際には、メールは欠かせないアイテムだということ。

このことは冒頭に紹介したJoe氏のキーノートのMKTG2030においても紹介されており、ソーシャルメディアの終焉を考えた際の鍵となる施策はEメールとのことでした。

実際に、NY TimesやBuzzFeedが成功している要因の1つには大量の読者とメールで直接繋がっているからだと述べ、それに伴ってオーディエンスと繋がる際の効果が高い施策をJoe氏は次のように並べています。

氏によれば、数ある手段の中でもEメールが1番に君臨するとのこと。

よく考えてみると、Eメールアカウントはビジネスパーソンであれば誰もが持っていますし、実際に総務省の調査によれば、全年代において平日のインターネット平均利用時間の1位が『メールを読む・書くこと』と言います。

この事実からも、直接ユーザーと繋がれるメールというツールは、今後のマーケティング手段としてますます重要になると考えることが可能です。

まとめ

EXIDEAとしては2回目、私個人としては初めての参加となったコンテンツマーケティングワールドですが、その規模感、内容の濃さから深い学びが得られたカンファレンスでした。

特に、Joe氏によるキーノートはまさに今のコンテンツマーケティング業界を取り巻く環境を的確に反映させたものであり、加えて氏の的を得た先見性には脱帽です。

また当記事では、ストーリーテリング、音声検索、メールマーケティングがトレンドだということを紹介してきました。

コンテンツマーケティングに関わる方であれば、これらの動向を追うことが欠かせないでしょう。

それでは、最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。

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