こんにちは。Emma Magazine編集長の吉高です。

2019年9月にEXIDEAとして初めて、ニューヨークで行われたDMWFに参加しました。

今回は、DMWFで多くのセッションで語られたパーソナライゼーションをテーマに、カンファレンスの内容をレポートにまとめたいと思います。

ニューヨークで終わったばかりのカンファレンスをご紹介しておりますので、海外のマーケティング最新情報に興味がある方は、ぜひ最後まで見ていってください!

DMWFのイベント概要を紹介

DMWF(Digital Marketing World Forum)とは、グローバル規模で展開されているカンファレンスで、ヨーロッパ、北アメリカ、アジア、グローバルシリーズと年4回開催されています。

今回参加したのはその中の北アメリカシリーズ。

世界から1000人以上のデジタルマーケターが集まる、規模としては中程度のマーケティングカンファレンスです。

カンファレンスの場所

場所はBrooklyn

今回の北アメリカシリーズが開催されたのは、おしゃれな街として人気上昇中のニューヨーク・ブルックリン。そのブルックリンにあるBROOKLYN EXPO CENTERという場所でイベントは行われました。

ブルックリンはその昔工業地帯だったこともあり、赤レンガの建物が多く雰囲気が抜群です。余談ですが、当社EXIDEAは2019年9月に東京のブルックリンと呼ばれている蔵前にオフィス移転いたしました!

そんな本場のブルックリンで行われるカンファレンスにこの時期に参加できたことは、少し運命的なものを感じます。

カンファレンス料金

さて料金ですが、1日のみの参加(1日目か2日目か選べます)が$495(約5万3千円)、両日参加で$899(約9万7千円)です。

1日目は朝から夜までセッションがみっちりあり、加えて夜にネットワーキングパーティも用意されている一方で、2日目は3時で終了しそのまま解散となります。

そのため、初日のみの参加の方がコスパがいい印象です。

カンファレンスの内容

DMWFは、他のカンファレンスで必ずあるキーノートスピーチ(基調講演)がなく、それぞれのテーマに沿ってスピーカーが自社の事例を混ぜながら講演をするという少し珍しい形式でした。

そのため、マーケティングの動向を掴むというよりは、それぞれのケーススタディから何かヒントを掴みたいという方におすすめのカンファレンスだと言えるでしょう。

DMWF北アメリカシリーズでは以下の4テーマに関して、2日間に渡りトークセッションが繰り広げられます。

・EコマースとUI&UX
・コンテンツ・デジタルブランド戦略
・データと破壊的技術
・インフルエンサー・ソーシャルメディアマーケティング

内容としては、皆が知るようなBtoCの大企業、NestléやLego、Facebook、Instagramなどがどのようにデジタルマーケティングをしているのかということにフォーカスが当てられているのが特徴です。

テーマはパーソナライゼーション

テーマはpersonalization

どのセッションに参加しても、必ず語られていたのがパーソナライゼーション。如何にして、ユーザーに自分ごと化してもらうのかということでした。

パーソナライゼーションは近年、ビッグデータとともにデジタルマーケティングの一大トレンドとなっています。

実際に、Evergageがおこなった調査によると、マーケターの90%がパーソナライゼーションによるプラスの効果を報告しており、97%もの組織がパーソナライゼーションにかける予算を維持もしくは増加させる計画にあるとのこと。

加えて、Monetateによれば高度のパーソナライゼーションを行うビジネスの93%が収益の増加を経験しています。

このように、パーソナライゼーションはデータを利用した近年のマーケティングからは切っても切り離せない要素になっているのです。

では、上記のような大企業は一体どのようにして、パーソナライゼーションをおこなっているのでしょうか。ここからはカンファレンスでのセッション内容を織り交ぜて解説していきます。

パーソナライゼーション事例~コンテンツ編~

ここではコンテンツを利用したパーソナライゼーションを2つ見ていきます。コンテンツを利用したパーソナライゼーションの場合、重要になるのは如何にユーザーに自分に関係があること(英語ではrelevance)だと感じてもらうかという点。

自分ごと化をどう作るのかという点に着目して、見ていきましょう。

IKEAのARを利用した事例

IKEAのパーソナライゼーション

スウェーデン発で世界最大の家具量販店であるIKEA。皆さんも一度は足を運んだことがあるのではないでしょうか。郊外にある巨大なIKEAで週末にショッピングするの、楽しいですよね。

ただ、家具を買う際に失敗はつきもの。

「サイズが大きすぎて入らなかった」
「自分の家に置くとなんか思ってたのと違う、、」

そのような経験をされた方もいらっしゃるでしょう。

IKEAは先端技術を活用したパーソナライゼーションで、このような家具選び時の悩みを解消することに加え、自分ごと化させることに成功しています。

それを実現しているのがIKEA Placeというアプリ。そのアプリではAR技術を利用することで、IKEAのあらゆる家具を自分の部屋に置いたらどうなるのかということをシミュレーションすることができるのです。

こちらの動画をご覧ください。

このように、家具のサイズや部屋に置いた時のフィット感を確かめられて、機能的に便利なのはもちろんのこと、「じゃあ、他の家具はどうなるんだろ」と好奇心を刺激したり、そもそも「このARアプリを使うのが楽しい」と思わせてくれますよね。

つまりIKEA Placeを通じて、ユーザーに自分ごと化してもらえるだけでなく、ユーザーと長期的な関係も気づくことが可能。

これはまさにコンテンツ的な発想で、そのシミュレーションという機能性もさることながら、楽しさをユーザーに提供することで、IKEAに対してアフィニティを感じてもらい、いざ家具を買う際は他のブランドではなくIKEAで買おうとユーザーに思わせることもできます。

このIKEA Placeは、パーソナライゼーションを活用した素晴らしいマーケティング手法だと言えるでしょう。

Hubspotの診断コンテンツ

もう一つはHubspotによるB2Bの事例を紹介いたします。

HubSpotと言えば、無料でマーケティングの情報を提供し、ニーズを顕在化させ、一部のユーザーに対して有料サービスを提供するというフリーミアムのビジネスモデルで有名な企業。インバウンドマーケティングという言葉を定着させた、マーケティング業界では一目置かれる存在です。

そんなHubSpotが如何にして、ユーザーを自分ごとにさせているのかというと、実際に提供しているツールを利用したWEBサイト診断コンテンツ。

Hubspot診断コンテンツ

ここに自分のWEBサイトのURLを入力することで、そのWEBサイトの”実力”を以下の4つの項目から診断してくれます。

・ページスピードなどのパフォーマンス
・モバイルフレンドリーか
・SEOフレンドリーか
・SSLのセキュリティー

試しにHubSpotのWEBサイトを診断にかけてみると、72点と出ました。自分のサイトなのに100点じゃないところが好感を持たせますね!笑

Hubspotの診断結果

さらにスクロールしていくと、このように具体的にどこに問題があるのかを示してくれます。

Hubspotの改善提案

そして、その解決策を提示してるブログ記事への導線があり、そのブログ記事にはebookなどがCTAとして設置してあるという流れです。

HubspotのCTA

このようにして、HubSpotは非常にうまく自社のツールの一部機能を利用して、ユーザーを自分ごとにさせ、その先に解決策を提示することで良質なリードを獲得しています。

このHubSpotの診断コンテンツもやはりコンテンツとして面白いことに加え、うまくパーソナライゼーション=自分ごと化に成功した事例だと言えるでしょう。

パーソナライゼーション事例~UI&UXを利用したもの~

ここからは、近年爆発的に成長しているIT企業のデータを活用したパーソナライゼーション事例に関して解説していきます。キーワードはUI&UXです。

InstagramとNetflixの事例

instagramここではInstagramとNetflixによる合同セッションの内容をもとにパーソナライゼーションに関して見ていきます。

このセッションで語られたことは、パーソナライゼーションは大きく分けて2種類あるということ。

1つは表面的なパーソナライゼーション。例えば、Netflixの場合はユーザーの名前を表示するUI設計をしています。これは非常にシンプルなテクニックですが、ユーザーはそれだけで自分の世界にいるような錯覚をもたらせます。

もう1つは本質的なパーソナライゼーション。インスタグラムでいうexplore(発見)機能やNetflixのあなたにイチオシ(recomendation)機能です。

本質的なパーソナライゼーションを行うと同じアプリを使っていてもその体験(UX)は大幅に異なります。

インスタグラムの場合、まだフォローしていないけどそのユーザーが好みそうな投稿を見つけられるようになります。インスタグラムを利用している方なら、それがその精度は非常に正確であることはご存知のはずです。

例えば、あるファッションの投稿にいいねをしたら、そのファッションの系統に似た投稿がexploreに表示されますし、髪を切ろうと思ってある髪型にいいねをしたら、その髪型に似た投稿が表示されます。

それもあなたの好みの系統のものです。

また、Netflixの場合はユーザーの閲覧履歴からおすすめの作品を提示してくれる強力なレコメンド機能があります。

これはユーザーがどの作品を見たのか、あるいは見なかったのか、どのデバイスで見たのか、どの時間帯に見たのかなどの複合的な要素が複雑に絡み合う高度なアルゴリズムを利用したもの。その精度の高さから約80%もの視聴がレコメンドから生まれていると言います。

これだけ聞くと、うちのブランドでもパーソナライズしよう!と考えがちですが、このセッションではそのような動きに釘をさします。

パーソナライゼーションが全てでは無い~その真意とは?~

上記のにもあるように、パーソナライズをすることが利益を生むことというデータに基づいて、様々な企業がパーソナライゼーションを行おうとしますが、一度立ち止まって考える必要があるとのこと。

例として引き合いに出されたのがマクドナルドです。

McDonalds

マクドナルドほど多くの顧客がいれば、データを取ってメニューをパーソナライズすることも可能ですが、それは本当にユーザーが求めていることか?と問います。

その意図は、ユーザーがマクドナルドに求めるものはパーソナライズされた商品ではなく、世界中どこにいても同じ味が味わえるという一貫性(consistancy)だからです。

世界中どこのマクドナルドに行っても期待通り体験ができること。それこそがマクドナルドが持つ真の価値であり、その価値を崩すような戦略を取るべきではないと強調していたのが印象的でした。

パーソナライズするかはこの3点で考慮すべき

上記のマクドナルドの事例のようにパーソナライズしないほうがいいケースもあります。そこは自分の商品、ブランドの価値を見極めてパーソナライズを行うかを判断するしかありません。

その上で、パーソナライズをすると決めた際には、次の3つのポイントを考慮すべきとのことです。

・どの程度パーソナライズするか
・どのようなシグナル/データを読み取るか、利用するか
・商品やブランドのどの問題をパーソナライゼーションで解決するか

1つずつ見ていきましょう。

どの程度パーソナライズするか

どの程度のパーソナライズを行うか。これはユーザーの名前を表示するといった表面的なものから、高度なアルゴリズムを利用したレコメンド機能を作るのかを問いており、どのレベルのパーソナライズが必要なのかということです。

当然のことながら、高度なレコメンドエンジンのような高度なパーソナライゼーションをするのは膨大な研究と高度な技術が必要になります。

ブランドの目指す姿と開発工数等を考慮してパーソナライゼーションの程度を決める必要があるということです。

どのようなシグナル/データを読み取るか、利用するか

パーソナライゼーションにはデータが必要不可欠。しかし、そのデータをどう使えば一番ユーザーの満足度を高められるのか、最高の体験をしてもらえるのかを決めるのはデータではなく、そのデータを解釈する人次第です。

実は、Netflixでは総視聴時間という指標をすでに利用するのをやめています。

一般的な考えでは最重要指標にしがちな指標であるにも関わらず、それをもう利用していないとは非常に驚きでは無いでしょうか。

つまり伝えたいことは、当たり前ですがデータはそれだけでは意味を持たず、なにをどう利用するのかが重要だということです。

商品やブランドのどの問題をパーソナライゼーションで解決するか

パーソナライゼーションは全ての問題を解決する魔法ではありません。例で出したマクドナルドのようにパーソナライズをしないほうがいいブランドや商品も存在します。

そのため、トレンドだからと言って飛びつくのではなく、パーソナライズをすることで、どういった効果があるのか、どのような問題を解決するのかを明確にすることが非常に重要なのです。

例えば、Netflixの場合は、ユーザーが本当に見たい作品を見つけられずにプラットフォームを離れることが一番理想から程遠いため、先回りして見たい作品を提示できるようにレコメンド機能を利用しています。

このような課題を解決するような効果がパーソナライゼーションから生み出せるのかを考慮すべきだということです。

まとめ

今回は、DMWFで話された様々な事例を基にパーソナライゼーションという切り口でまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか。

キーノートこそはありませんでしたが、多くのセッションでパーソナライゼーションのことに触れており、データを使ったマーケティングの潮流をカンファレンスを通じて感じました。

DMWFはEXIDEAとしては初参加でしたが、普段話を聞くことが無いようなB2Cの大企業のセッションが多くあり、非常に学びの多いカンファレンスです。

特にB2C企業にとっては、最先端のトレンドに一気に触れられるチャンスですので、非常におすすめのカンファレンスだと言えるでしょう。

それでは、ここまで読んでいただき誠にありがとうございました。

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