AI Overviewは、2024年8月から正式に利用できるようになった、複雑な質問への回答や旅行プランの作成などができるGoogleの最新機能です。
例えば、「週末に家族で楽しめる東京の観光スポットは?」とAI Overviewで検索すると、観光地だけでなく周辺のレストランや交通情報まで教えてくれます。
このページでは、AI Overviewの基本的な情報や機能、SGEとの違いについて解説します。また、AI Overviewの設定方法も紹介しています。
他にもAI Overviewでできることや3つのモードも紹介しているので、使い方を理解して生活や仕事に役立てていきましょう。
この記事でわかること
AI Overviewとは
AI Overviewとは、ユーザーが行った検索に対し、従来のGoogle検索の検索機能にプラスして、AIが関連情報をまとめて表示する新しい検索機能です。
具体的には「最近話題の映画で感動するものは?」のような質問や、「糖尿病予防で効果的なメニューは?」といった専門的な情報に対し、AIが複数のサイト情報をまとめて提供する機能が該当します。
これにより、従来は複数のウェブサイトを訪問し、情報を比較検討する必要がありましたが、AI Overviewでは一つの検索結果ページ内で必要な情報を得ることができるようになりました。
AI OverviewとSGEの違い
結論からお伝えすると、AI OverviewとSGEは、大きな違いはありません。ただし、AI OverviewとSGE(Search Generative Experience)には、2つの違いがあります。
SGEは、主に検索結果ページの上部にAIが生成した概要を表示する機能でしたが、AI Overviewでは、概要の表示に加え、関連トピックのサジェストや、会話形式での情報検索などができるようになりました。
また、限られた検索クエリでしか利用できなかったSGEに対し、AI Overviewはより多くの検索クエリで利用できるように改善されています。このように、SGEとAI Overviewはいずれも同じようなことができる機能ですが、AI Overviewになったことで、利用できるクエリや質問が増えたという違いがあります。
AI Overviewの機能
AI Overviewは、多用なユーザーニーズに対応し、より効果的で差別化させた検索体験を提供するために、OriginalやSimple、Break It downの3つのモードを提供しています。
※2024年9月時点では、試験運用中なのでモードの切り替えができず自動でモードが選択されます
Original(標準)
1つ目はOriginal(標準)モードです。
このモードは最も包括的で詳細な情報を提供するもので、複雑な検索クエリに対して、深い洞察と多角的な分析ができます。
例えば「地球温暖化の影響と対策、最新の研究動向」と調べると、地球温暖化の原因や対策方法など複数の要素を包括的に解説してくれます。
また、「アルツハイマーの最新治療法」といった専門性の高い検索に対しても、最新の研究論文や臨床試験情報などを参照し、分かりやすく解説してくれます。
このように、学術研究や専門的な業界分析など、深い理解が必要な場面で有用です。
Simple(簡略)
2つ目はSimple(簡略)モードです。
このモードは、情報を簡潔かつ分かりやすく提供するもので、複雑な概念を簡単な言葉で説明し、核心的な情報のみを抽出して表示します。
例えば、「SEOとは?」と調べると、専門用語を避け、誰にでも理解できるような言葉を用いて、基本的な概念や定義を説明してくれます。また、「今日の天気は?」といった日常的な質問に対しても、必要な情報だけを簡潔にまとめて表示してくれます。
このように、Simple(簡略)モードは、検索結果を理解する時間がない時や、概要だけを把握したい場合に適しています。
Break it down(詳細)
3つ目はBreak it down(詳細)モードです。
このモードは、複雑なトピックを小さなセグメントに分け、段階的に理解を深められるようにするもので、各セグメントは相互に関連しながらも独立しているため、ユーザーは自分のペースで情報を消化できます。
例えば、「プログラミングを始めたいけど、何から始めればいい?」と調べると、プログラミングの基礎知識から始め、徐々に具体的なコード例や練習問題も含む内容へとステップアップしていくので、実践的な知識を得ることができます。
また、「パンを1から作りたいけど手順は?」みたいな日常的な質問に対しても段階的に教えてくれます。新しい分野を学習する際や、複雑な情報を段階的に理解したい場合に最適です。
AI Overviewでできること
AI Overviewは、従来の検索では難しかった複雑な質問への対応や、音声や動画を使った検索などができます。
ここでは、AI Overviewでできることを具体的に解説します。
①複雑な質問への回答
1つ目は複雑な質問への回答が可能です。
AI Overviewは、LLM(Large language Models)や自然言語処理能力が上がったことにより、従来の検索エンジンでは難しかった「複数の要素を含む複雑な質問」や「ニュアンスを含む質問」に対応できるようになりました。
例えば、「日本で子供と楽しめるおすすめの場所は?」といった質問に対して、子供の年齢や興味、天候などを考慮し、プランを提案してくれます。
このように、AI Overviewは従来の検索エンジンでは難しかった複雑な質問やニュアンスを含む質問にも対応できるようになり、ユーザーが欲しい情報を的確に得ることができます。
②動画や音声での検索
2つ目は動画や音声での検索ができます。
AI Overviewでは、テキストだけでなく、動画や音声を使った検索も可能です。
例えば、料理の作り方を動画で見ながら、音声で「この材料の代用品は何ですか?」と質問すると、AI Overviewは動画の内容を理解し、適切な代用品を提案してくれます。
このように、動画と音声を組み合わせた検索により、ユーザーは迅速かつ的確に知りたい情報を得ることができます。
③旅行や食事といったプラン作成
3つ目は旅行や食事といったプラン作成です。
AI Overviewは、旅行や食事の献立の作成もサポートします。
例えば、「ニューヨークで3泊4日の旅行プランを立てて」と検索すると、AI Overviewは、人気の観光スポットやおすすめのレストラン、宿泊施設などを考慮したプランを提案してくれます。さらに、予算や日程、移動手段などの条件を指定することも可能です。
このように、AI Overviewを使えば、自分で細かく情報を集めなくても、AIがあなたの希望に合った旅行プランや食事の献立を提案してくれるので、時間と手間を大幅に削減できます。
AI Overviewの設定方法
ここからは、PCとスマホでAI Overviewを使用する際の設定方法を画像で説明していきます。
PCでAI Overviewを設定方法
①Google Chromeを開く・ダウンロード
②Search Labsのアイコンをクリック
③AI Overviewを有効
スマートフォンでAI Overviewの設定方法
①ブラウザアプリを開く
②Search Labsのアイコンをクリック
③AI Overviewを有効
AI OverviewによるSEOへの影響は?
Googleの新機能AI Overviewは、ユーザーの検索体験を向上させる一方で、SEOや広告に少なからず影響を与える可能性があります。
ここでは、AI OverviewによるSEOへの影響について解説しています。
ゼロクリック検索が増える
1つ目の影響は、AI Overviewが検索結果ページ上部に詳細な情報を表示させることで、「ゼロクリック検索」が増加する可能性があります。
ゼロクリック検索とは、ユーザーが検索エンジンで検索を行った後、検索結果ページに表示された情報だけで満足し、実際にウェブサイトをクリックせずに検索行動を終了することです。
これにより、WEBサイトへの流入数が減少する可能性があり、ひいては売上も減少する可能性が懸念されます。そのため、ゼロクリック検索の対策として、AI Overviewに掲載されるような質の高いコンテンツを作成することが重要です。
例えば、より具体的なニーズに応えるロングテールキーワードを意識したコンテンツ作成、ユーザーの検索意図を深く理解し、それに合致したコンテンツを提供すること、そしてユーザーが抱く疑問を予測し、その答えをピンポイントで提供するコンテンツを作成することが重要です。
また、他の対策としては、「AI Overviewとは」や「SDGsの意味」といったKnowクエリ以外の「スマートフォン比較」や「ウォーターサーバーおすすめ」といったDoクエリやBuyクエリなどのキーワードで上位表示を狙うことも効果的です。Knowクエリとは、ユーザーが「知りたい」という検索意図で検索するクエリです。
というのも、AI OverviewはKnowクエリに該当する語句が検索された際に、AIによる回答が検索結果に表示される傾向があるためです。例えば、「ダイエット レシピ」や「渋谷 ランチ おすすめ」などの比較検討を促すキーワードなどを対策することで、WEBサイトへのトラフィックを維持あるいは増加させることができます。
リスティング広告への影響
2つ目の影響は、検索結果の上部にAIが生成した概要が表示されることで、ユーザーの視線が広告に届きにくくなり、クリック数が減少する可能性があります。
これはリスティング広告を出稿している広告主にとって、出稿予算の無駄遣いやクリック単価の高騰に繋がる可能性が懸念されます。
そのため、広告主はKnowクエリよりもDoクエリやBuyクエリを意識し、キーワードと合致した広告を出稿することが重要になります。
しかし、Googleの収益はWEB広告から成り立っているともいえるため、リスティング広告の出稿数が減少すれば、Googleの収益にも大きな影響を与える可能性があります。
ですので、今後のAI Overviewでは、Googleはこの状況を改善していくと考えられます。なお、広告主は、AI Overviewの特性を理解し、広告戦略でキーワードの再設定やターゲットを変えることで、無駄な広告の出稿を防ぐことができます。
【最新情報】AI Overviewは2024年8月から展開開始
AI Overviewは、2024年の8月15日から日本で展開されています。
AI Overviewによって、ゼロクリック検索の増加によるPV減少やリスティング広告のパフォーマンスが変わってきます。今後はよりSEO対策をしっかり行い、キーワードやターゲットの再設定やクリックしてもらえるようなコンテンツ作成が重要になってきます。
以下のページでは、よりSEOに関して詳しく解説しているので、ぜひ一緒にご一読ください。