生成AIを使うメリット&デメリット

生成AIを活用すると業務効率の大幅な向上、運用コストの削減、品質を一定に保つなどのメリットがあります。しかし、これらのメリットと同時に、生成AIを活用する際には情報漏洩や著作権の侵害など慎重に検討すべきデメリットも存在します。

このページでは、生成AIとは何か、また活用するメリットやデメリットについて解説します。 また、生成AIの種類やそれらを業務に活用する具体例、リスクも紹介します。

業務を効率化できる便利な生成AIですが、使用する上で注意しなければならない点もあるので、このページで確認しておきましょう。

記事の監修者
株式会社EXIDEA 代表取締役社長
小川 卓真
SEO歴18年。2006年にSEOツールの開発企業を共同創業して以来、SEOを軸にデジタルマーケティングに従事。2013年に「株式会社EXIDEA」を設立。現在はEXIDEAの代表取締役社長として、Webメディア事業、マーケティングDX事業、SEOライティングツール「EmmaTools」の事業に携わる。
監修者の詳しいプロフィールはこちら
EmmaBlog監修者

生成AI(ジェネレーティブAI)とは

生成AI(ジェネレ―ティブAI)とは、与えられたプロンプト(指示)に従い、事前学習したデータから文章や画像、動画、音楽などを自動生成するAI技術の総称です。

例えば、Webサイトやブログに掲載する記事の文章の執筆に自動生成が使われています。また、記事の内容に沿った画像にも生成AIが使用されることもあります。

このように、生成AIとは単にデータの中から答えを探すのではなく、新しいコンテンツを生成させることが可能です。そのため、これまでは人の手で行っていた作業が、生成AIによって代替されはじめています。

生成AIを利用するメリット

まずは、生成AIを利用するべき具体的な4つのメリットを紹介します。

品質を一定に保てる

1つ目の生成AIを利用するメリットは、品質を一定に保てる点です。

生成AIはプロンプトに従ってコンテンツを生成するので、プロンプトを使い回すことで、出力されるコンテンツの質が一定になります。

例えば、Webサイトの記事や広告のキャッチコピーなどを人間が作成する場合、書き手の知識や経験、また体調などによる差が出るため、記事の品質が変化しがちです。一方、生成AIは、事前に学習した膨大なデータに基づいて、自動的に記事を作成することができるため、一定の品質を保った記事を作成し続けることができます。

SEO対策の場合、こうした質のブレがない記事を作成し続けられることは、大きなメリットになります。

作業効率が上がる

2つ目のメリットは、作業効率が上がる点です。

生成AIは、人が手作業で行うと時間や手間がかかるタスクを、数分程度で完了させることができます。

例えば、Webサイトに公開する記事を手作業で作成する場合、対策キーワードの選択やタイトル、見出しの決定、それらに関する情報収集、執筆などに多くの時間を要します。 それに対し生成AIは、記事のテーマやターゲット読者などの情報を入力するだけで、タイトル、見出し、本文などを自動で生成してくれます。

このように生成AIの活用により、従来の手作業と比較して大幅な時間短縮が可能となり、コンテンツを効率的に作成することができます。

人件費や外注費を削減できる

3つ目のメリットは、人件費や外注費の削減ができる点です。

生成AIを利用すると、構成や執筆といったコンテンツ制作で必要だった人件費や外注費の削減に繋がります。

例えば、Web広告に必要なバナー用の画像を作成する場合、デザイン力や画像作成ツールを使いこなせる人材が必要です。そうした人材を社内に抱えるには人件費がかかり、外部業者に委託する場合も費用が発生します。

一方、画像生成AIを導入する場合、初期費用や月々の利用料は発生するものの、人件費や外注費に比べれば安く、デザインに関する知識や画像作成ツールに求められる専門知識も不要です。

このように、生成AIを導入することで、コストを削減できるというメリットがあります。

新たなアイディアを得られる

4つ目のメリットは、新たなアイディアを得られる点です。

人が新しいアイディアを出す場合、行き詰まることが少なくありません。そんな時に生成AIを活用することで、考えていることを壁打ちしたり、構想している内容をまとめあげ、新しいアイディアを生み出すことができます。

例えば、新規事業の立案で行き詰まった時、AIに現状や課題を伝えて会話をすると、膨大なデータから、意外な解決策や斬新なアイデアを提案してくれるかもしれません。

他にも、動画コンテンツの企画で悩んでいる時にAIと会話すると、ターゲットや目的などをAIに伝えることで、構成や演出、具体的な表現方法などのアイデアを得られる可能性があります。

このように、新しいアイディアの発案に行き詰まることがあるなら、生成AIと会話をして、新たなアイディアを得ましょう

生成AIにおけるデメリット

生成AIを利用する際、知っておかなければならないデメリットもあります。以下では、生成AIにおける3つのデメリットについて解説します。

独自性が欠ける

1つ目は、独自性が欠ける点です。

生成AIは、データからパターンを学習し、さまざまなコンテンツを自動生成しているので、どうしても独自性に欠ける可能性があります。例えば、生成AIで作成した文章をベースに、自分自身の経験や知識を加筆したり、独自の視点や表現を加えたりすることで、よりオリジナリティの高いコンテンツを生み出すことができます。

そのため、生成AIはあくまでも補助的なツールとして使い、独自性が求められる作業では人の手作業が必要になります。

人による確認が必須

2つ目は、人による確認が必須である点です。

生成AIで医療や金融といった専門性の高いコンテンツを生成させる場合、誤った情報や不適切な情報が自動生成される可能性があります。なぜなら、生成AIはインターネット上の膨大なデータから学習しますが、そのデータには偏りや誤りが含まれている可能性があるからです。特に専門性の高い分野では、最新かつ正確な情報が不足している場合があり、AIが誤った情報を学習してしまう可能性が高まります。

また、生成AIの多くは、直近の出来事や最新の情報に関するものをと求めると、もっともらしい嘘の情報を出力することもあります。その他にも、事前学習データに著作権や商標権を含むデータが含まれている場合、生成AIは悪意なくそれらのデータを含むものを自動生成してしまいます。

そのため、AIが生成したコンテンツは、必ず人間の目で確認する必要があります。もし確認を怠ると、誤った情報の流布や著作権の侵害となり、企業として信頼を失うことになります。

生成AIを利用する際は、あくまで補助ツールであると考え、最終的には人間が品質管理を行うようにしましょう。。

指示や使用者によって品質に差が出る

3つ目は、指示内容や使用者によって品質に差が出る点です。

生成AIはプロンプトに基づいて文章や画像などを生成するため、プロンプトの質が悪ければ、生成されるコンテンツの質も低くなる可能性があります。

また、生成AIの性質を理解している人やプロンプトの作成経験を持つ人が生成AIを使えば、質の高いコンテンツを生成できる可能性が高いのに対し、未経験者だと指示内容が十分でなく、質の低いデータが自動生成される可能性があります。

例えば、記事作成の内容が指定されておらず、読み手であるターゲットも曖昧な場合、自動生成される記事の品質が低くなりやすいです。

このように、質の高いコンテンツを生成するには、具体的な指示を示すプロンプトを作成することが重要です。現在では、プロンプトをまとめているサイトがあるので、参考にしたり、ヒントを得て自分なりにアレンジしたりすると良いでしょう。

生成AIの種類

生成AIには、複数の種類が存在し、種類に応じて生成できるコンテンツが異なります。 ここでは、生成AIで自動生成できる4種のコンテンツを解説します。

テキストの生成AI

1つ目は、テキストを自動作成する生成AIです。 テキスト生成AIには、以下のようなものが挙げられます。

主要テキスト生成AI
ChatGPT OpenAIが開発。GPTと呼ばれる独自の大規模言語モデルを利用している。
Gemini Googleが開発。テキストだけでなく画像や音声などを同時に扱扱える。
Copilot Microsoftが開発。GPTを採用し、Bingの検索機能を活かした最新情報を提示

※大規模言語モデルとは、大量のテキストデータを学習し人のように文章を理解したり、自然な文章を作成したりできるAIモデルのこと。

上記で紹介したテキスト生成AIは、Webサイトやブログの記事作成、Web広告のキャッチコピーなどの作成などに利用することができます。

画像の生成AI

2つ目は、画像の生成AIです。 画像生成AIには、以下のようなものが挙げられます。

主要画像生成AI
Stable Diffusion 作成したい画像イメージをテキストにして入力すると画像を自動生成できる。
DALL・E 3 自動生成した画像をさらにプロンプトで指示し、変更することが可能。
Canva 画像編集ツールと一体になっており、複数の画像生成AIを選択し、画像を自動生成できる。

画像生成AIは、商品やロゴのデザイン、Webサイトの記事に挿入する記事やWeb広告のバナー画像などに利用することができます。

動画の生成AI

3つ目は、動画の生成AIです。動画生成AIには、以下のようなものが挙げられます。

主要動画生成AI
Runway Gen-2 テキストや画像から動画を自動生成するマルチモーダルAIツール。
Kaiber 用意されている画像や動画だけでなくファイルをアップロードして動画を生成できる。
Sora OpenAI社が開発した動画生成AI。最長1分の動画を自動生成できる。

動画作成AIは、企業や商品の説明、研修や講義、さらにYoutubeなどのSNSへの投稿に利用できます。

音声の生成AI

4つ目は、音声の生成AIです。 音声生成AIには、以下のようなものが挙げられます。

主要音声生成AI
Text-to-Speech-AI テキストの自動読み上げ、複数の言語での音声作成が可能。
Voice Vox 無料で使える音声生成AI。解説動画を作成するのに向いている。
Voicepeak 買取型の音声生成AIで、音声パターンも豊富に用意されている。

音声生成AIはオーディオブックの読み上げ機能や電話問い合わせへの自動対応などに利用されています。

生成AIを活かせる業務の具体例

生成AIを実際に業務に活用する場合、どのような使い方があるのか、3つの具体的な事例を紹介します。

記事の作成

生成AIを活かせる業務の1つ目の具体例として、記事の自動作成が挙げられます。

テキスト生成AIを活用すると、記事のタイトルや見出し構成、文章の執筆まで自動化することができます。 例えば、ChatGPTに「SEO対策」というキーワードを対策するために、記事の構成を作成するようプロンプトを入力したところ、以下のテキストが1分もかからず自動生成されました。

ChatGPTで記事のタイトルや見出しを作ってみた

また、記事の構成を作成できるだけでなく、見出しに沿った文章を作成するよう指示すれば、時間をかけずに文章そのものを作成することもできます。

このように、生成AIは、コンテンツ作成で重要なキーワードに基づく構成作成や執筆記事作成に活用できます。

ただし、生成AIが自動生成する情報は、必ずしも正確とは限らないので、生成された情報が正しいことを確認する必要があります。また、すでに存在するコンテンツのコピーになっていないかチェックすることも重要です。

画像の作成

2つ目の例として、画像の作成が挙げられます。

作成したい画像のイメージをテキストに起こし、画像生成AIに入力すると、イメージに近い画像を自動生成できます。また、AIが生成した画像のイメージが違う場合は、参考になる画像をAIに提示して会話することで、イメージに近い画像を生成できるAIツールもあります。

例えば、Canvaで「焼いたチキン」とプロンプトを入力したところ、以下のような画像を生成してくれました。

生成AIメリット 画像作成

このような簡単なプロンプトでも画像を作成できるだけでなく、1分もかからず画像を生成してくれます。

画像生成AIを利用する際の注意点として、生成された画像が既存のキャラクターや作品に酷似していると著作権侵害になる可能性があります。AIが生成した画像は必ず人の目で確認し、既存の作品に似すぎていないか、著作権フリーの画像を参考に生成していないかなどをチェックしましょう。

動画の作成

3つ目は、動画の作成です。

動画生成AIは、動画のイメージをテキストで入力するだけで、撮影に必要な知識や道具、場所を確保する必要なく、希望する動画を自動生成することができます。 テキストや画像でも、ユーザーに商材の使い方や特徴を伝えることはできますが、動画だとさらに理解力を深めることが可能です。

例えば、動画生成AIの「SORA」では、プロンプトから最大60秒で以下のような動画を生成できます。

ただし、動画生成AIを利用する場合も画像生成AIと同じように、著作権のある画像などが入っていると、法的な問題が発生する可能性があるので、、必ず目を通して問題がないかチェックしましょう。

生成AIを使用する際に注意したいリスク

最後に、生成AIを使用する際に注意しなければならないリスクについて解説します。

情報漏洩のリスク

1つ目は、情報漏洩のリスクです。

生成AIには、自身が保有するデータを学習させることができるため、社内の機密データや個人情報を含むデータを学習させた場合、情報漏洩のリスクが生じます。

例えば、顧客対応にAIチャットを利用していると、ユーザーからの質問に対する回答として、機密情報や個人情報が含まれてしまう危険性があります。

社内データが流出してしまうと、企業の信頼が失われかねません。生成AIを利用する際は、こうした情報漏洩のリスクを回避するため、事前学習させるデータに個人情報や機密情報が含まれていないか、あらかじめ調べておきましょう。

著作権や商標権の侵害リスク

2つ目は、著作権や商標権を侵害するリスクです。

生成AIが作り出すデータの中には、以下の2点を含む可能性があります。

生成AIの著作権・商標権侵害リスク
  • 類似性:著作権や商標権がある内容と同じ、または類似した内容
  • 依拠性:既存の著作権、商標権があるものに基づいて複製されたとみなされる内容

意図的ではない場合でも、生成AIが作り出したコンテンツに上記の情報が含まれると著作権や商標権の侵害の恐れがあります。そのため、生成AIが自動作成したコンテンツは、そのまま利用するのではなく、必ず内容を人の目でチェックする必要があります。

フェイク情報の発信

3つ目は、フェイク情報の発信です。

生成AIが事前学習したデータに誤った情報が含まれていると、その間違った情報を出力する可能性があります。また、事前学習データにない最新情報や専門的な情報を生成するよう指示すると、生成AIは事実とは異なる情報を生成することがあります。

また、海外でニュースになっている生成AIを用いた意図的なフェイク情報をインターネット上に公開してはいけません。 インターネットで公開してしまうと、たとえ冗談のつもりでも、重罰に問われる可能性があります。

このように、自動生成されたコンテンツは、完璧なものではありません。内容をチェックし、真偽性が怪しい情報があれば、事実かどうかを確認した上で、間違いであれば訂正または削除する必要があります。

まとめ

生成AIは、品質を一定に保てたり、作業効率が上がったりとメリットがある一方、情報の正確性や独自性に欠ける可能性があります。

生成AIを利用する際は、必ず人間が目視で確認を行い、誤情報や不適切な表現がないかを確認することが重要です。また、AIが生成したコンテンツをそのまま使用するのではなく、独自の視点や情報を加えて、オリジナリティを高めていくことも重要です。

現在では、文章生成や画像生成など、さまざまな用途に特化したAIツールが開発されています。それぞれのツールは、得意な分野や機能が異なるため、自身のニーズに合ったツールを選ぶことが重要です。

以下では、用途別におすすめのAIツールを紹介しているので、是非チェックしてみてください。