SEO対策を進める上で注意しなければならないのが、スパム行為です。
SEOスパムとは、検索順位を上げることだけを目的とした過剰なSEO対策を行い、検索エンジンが不正だと判断する行為を指します。
SEOスパムに該当する施策や行為を好んでされるサイト担当者はいないかと思いますが、良かれと思って実施していたものがスパム行為と判断されてしまう可能性もあります。
このページでは、SEOスパムとはどういうものなのか、また検索エンジンからどのような対応をされるのか解説しています。SEOスパムの具体的な例と、自社サイト内に存在していないか確認する方法をご紹介します。
SEOスパムとは
SEOスパムは、特定のサイトを検索結果で上位表示させることだけを目的として、過度のSEO対策を行うことです。Webマーケティング業界の専門用語で、ブラックハットSEOとも呼ばれています。
具体的には、対策キーワードの過度な使用やリンクの売買などGoogleガイドラインに違反したSEO対策が該当します。
多くの企業は、自社の商品やサービスの情報をウェブサイトを通して発信し、商品の購入や成約を獲得するためにSEO対策を実施しています。しかし、それだけでは検索結果画面で上位表示されることは難しいのが実情です。
そこで、自社サイトをより上位に表示させるためにと、インターネット上に公開されているSEO対策を過度に行ってしまうことや、本質を理解せず実施した施策がSEOスパムになってしまうことが多々あります。
Googleがガイドラインで指定しているSEOスパムにはどのようなものがあるのか、次に具体例を挙げて紹介します。
SEOスパムに該当する項目や行為
自社サイトを出来るだけ上位表示させたい、という気持ちは誰しも持つものです。
しかし、これからご紹介するSEO施策は検索エンジンにSEOスパムと判断されてしまうものなので、手を付けないように心がけてください。
著作権の侵害
1つ目は、著作権の侵害です。
自社サイトで作成するコンテンツ内で、ユーザーの役に立つからと外部サイトで使われている画像や動画を無断で使用するのは著作権の侵害であり、GoogleはSEOスパムと判定します。 になります。
Googleは著作権に関し、以下を述べています。
Google は、デジタルミレニアム著作権法に準じて著作権侵害の通知に応じることをポリシーとしています。
著作権の侵害は、SEOスパムとして判定されてしまうだけでなく、法的な処罰の対象にもなる可能性があります。
外部サイトに掲載されている画像、動画を使いたい場合は、掲載元であるサイト運営者に転載させてもらえるか確認した上で使うべきです。連絡しても確認が取れない場合は、「引用元」や「掲載元」を明記し、元の情報を変更しないよう注意しなければなりません。
また、個人のブログで使われている写真や、自社で撮影した写真でも、写っている人物が掲載許可をしていなければ、その画像は使えないので注意しましょう。
自社で作成したものではなく、外部で入手した画像や動画を使う場合、インターネットにアップロードする前に、社内で徹底的に著作権チェックを行うことをおすすめします。
SEO対策をする際はコピーコンテンツに注意
2つ目は、コピーコンテンツです。
コピーコンテンツとは、自社サイトまたは外部サイトにあるコンテンツの一部または全部をコピーし、流用するスパム行為を指します。
コピーコンテンツには、意図的なものと偶発的なものの2パターンがありますが、いずれの場合もSEOスパムとして判定される可能性があります。
前者の「意図的なコピーコンテンツ」とは、自社のコンテンツを作成する際、外部サイトを参照していて分かりやすくユーザーに響く文章を見つけ、その内容をコピーしてそのまま、または一部のみを変更して記事にするSEOスパムです。
Googleは、情報の独自性を重要視しており、悪質なコピーコンテンツだと判定されると厳しいペナルティを受け、検索結果に表示されないだけでなく、ページ情報がインデックスから削除されてしまうこともあるので、意図的なコピーコンテンツの作成はやめましょう。
一方、後者の偶発的なコピーコンテンツは、特定のキーワードを対策しようと他社サイトを読み込んでいると起きてしまいがちなものです。具体的には、他社サイトの表現や伝え方でいいなと思ったものや、参考になると思ったものなどを見た後にコンテンツを作成して、無意識のうちに表現や内容が似てしまうことです。
偶発的なコピーコンテンツの作成は、意図的ではないもののGoogleにSEOスパムと判断されてしまうと、ペナルティの対象となります。コンテンツを公開する際には、コピーコンテンツになっていないか、コピー率をチェックして公開することをおすすめします。
クローキング
3つ目は、クロ―キングです。
クローキングとは、ユーザーと検索エンジンのクローラーに別々のページを見せるSEOスパムです。
ユーザーには、見栄えする画像や動画を盛り込んだページを見せ、クローラーにはキーワードを詰め込んだページを読み込ませるブラックハットSEO手法の1つですが、現在はGoogleの「ウェブ検索のスパムに関するポリシー」で厳しく管理されているため、利用しているWebサイトは多くありません。
万が一、過去にクローキングを施したページを作っている場合はすぐに削除しておきましょう。新しいコンテンツを作成する際、SEOスパムであるクローキングをあえて使うことはありませんが、クローキングがどういうものかだけ知識として知っておきましょう。
クローキングに関する詳しい情報は『クローキングとは?スパム扱いされる理由や注意点を解説』にまとめています。
キーワードの乱用(詰め込み)及びワードサラダ
4つ目は、キーワードの乱用とワードサラダです。
SEO対策、と聞くとコンテンツ内にキーワードを詰め込むことだと思われている方が多いのですが、キーワードの詰め込みはSEOスパムになるため注意が必要です。
コンテンツのタイトルや見出しに対策キーワードや、それに関連するキーワードを自然な形で散りばめることはSEO対策上、重要です。しかし、見出しや文章に無理やりキーワードを詰め込むと、見出しにそぐわない内容になったり、場合によってはユーザーを混乱させるだけの意味不明なものになったりします。
ユーザーに伝えたいことを伝えられない、キーワードだらけのコンテンツを作るとSEOスパムと判断されるので注意しましょう。
また、キーワードを詰め込み、文法としては正しいものの、意味をなさない文章を「ワードサラダ」と呼びます。このワードサラダは人為的なものだけでなく、キーワードとシステムを組み合わせた人工の文章でもよく見かけられます。
キーワードが入っているからSEO対策になる、という発想では、検索エンジンにSEOスパムと判断されてしまうだけです。コンテンツ作成後は、必ず読み返しを行い、ユーザーに伝わりやすく、役に立つものになっているか確認しましょう。
「ワードサラダ」については『ワードサラダが及ぼすSEOへの影響とは?意味や由来、生成される仕組みを徹底解説』で詳しく解説しています。
隠しリンクや隠しテキスト
5つ目は、隠しリンク・隠しテキストです。
隠しリンク・隠しテキストとは、背景色と文字色を同じにしたり、文字サイズを最小にしたりすることでリンクやテキストを隠すブラックハットSEOの手法です。
隠しリンクや隠しテキストは昔、検索エンジンのクローラーを騙してSEO効果を得る手段でした。
ユーザーにはリンクを見せず、クローラーに他のページへのリンクを読み込ませ、キーワードだらけのテキストはユーザーの目障りになるので隠すことが目的でした。
フォントや文字カラーの変更の他にも、Google検索セントラルで紹介されているような、CSSを使って画像をかぶせ、テキストを見えなくしたり、ページ画面サイズの外側に設置するなどの方法もあります。
しかし、今ではGoogleが明確にSEOスパムの対象としているので、「やってはならない施策である」、ということだけ知っておきましょう。
被リンクの売買
6つ目は、ブラックハットSEOの代表的なものの1つ、被リンクの売買です。
SEO対策の1つとして、被リンクの獲得が挙げられます。具体的には、外部サイトから自社サイトへリンクを貼ってもらえるように働きかけることです。被リンクの獲得は検索エンジンから自社サイトへのSEO評価を高める上で大きな役割を持っています。
しかし、被リンクを獲得することは決して容易ではありません。そこで登場したのが、被リンクの売買を行う業者です。
被リンクの売買とは、キーワードを詰め込んだり、外部リンクだけのサイトを作ったして、そのページへリンクを貼るのに対価を支払うことで被リンクを獲得するというものです。このような被リンクを獲得することでもSEO効果が得られたことから、対策がなされる前までは被リンクの売買が横行しました。
しかし、被リンクに対してGoogleはコアアップデートを実施、現在では厳しく管理をしています。無関係なサイトからの被リンクでは評価を得られず、被リンク数が多すぎるとSEOスパムと判断されてしまう可能性さえあるので注意しましょう。
SEO効果が得られる反面、扱いが難しい被リンクについては以下のページで詳しく解説しています。
リンクスパム
7つ目は、リンクスパムです。
Google検索セントラルには、リンクスパムの例として以下の一覧が掲載されています。
- ランキングを上げることを目的としたリンクの売買(例として以下のようなもの)
- リンク自体やリンクを含む投稿に関して金銭をやり取りする
- リンクに関して物品やサービスをやり取りする
- 特定の商品について記載してリンクを設定してもらうのと引き換えにその商品を送る
- 過剰な相互リンク(「リンクする代わりにリンクしてもらう」)や、相互リンクのみを目的としてパートナーページを作成する
- 自動化されたプログラムやサービスを使用して自分のサイトへのリンクを作成する
- 第三者のコンテンツ所有者に対し、アウトバウンド リンクに修飾属性を適用するかどうか選ぶ権利を与えずに、特定の利用規約や契約、または同様の取り決めの一部として、リンクを義務付ける
- ランキング クレジットをブロックしないテキスト広告またはテキストリンク
- ランキング クレジットを転送するリンク、または他のサイトで配布されている記事、ゲスト投稿、プレスリリース内の作為的なアンカー テキスト リンクを含む記事に対して支払いが行われる記事広告やネイティブ広告
- 質の低いディレクトリやブックマーク サイトのリンク
- さまざまなサイトに配布されるウィジェットに埋め込まれている、大量のキーワードを含む非表示のリンクや低品質のリンク
- さまざまなサイトのフッターやテンプレートに埋め込まれて広く配布されるリンク
- フォーラムでのコメントにおいて、投稿や署名の中に含まれる作為的なリンク
これらのいずれかに該当する場合、SEOスパムとして判断されます。ただし、補足として以下も記述しています。
Google は、リンクの売買も、広告やスポンサー活動を目的として行われる限り、ウェブ上での通常の経済活動の一環だということは理解しています。こうしたリンクは、rel="nofollow" 属性や rel="sponsored"属性を<a>タグに設定している限り、Google ポリシーに対する違反にはなりません。
リンクを貼る際は、nofollow属性を適切に使うことが重要です。nofollow属性については、以下のページで詳しく解説しているのでご一読ください。
自作自演サイトの量産および被リンク
8つ目は、自作自演サイトの量産とそのサイトからの被リンクです。
自作自演サイトとは、内容が薄い別サイトを自ら作成し、自社サイトへの被リンクを増やすというものです。
メインサイトに関連するテーマで別サイトを作成するものの、ページ数は少なく、内容も検索意図に沿ったものではなく、キーワードを散りばめた程度のものばかりなどが該当します。
コンテンツ内には、リンクさせたいメインドメインへのリンクが貼られており、アクセスしたユーザーを遷移させることを目的としていることもあります。これは誘導ページというSEOスパムに該当するため、適切ではありません。
Googleは、このような誘導ページ、またはそれを含む自作自演サイトやそこからの被リンクをSEOスパムと判断します。
新規ブランドを立ち上げ、その紹介に別サイト(サテライトサイト)を作ることは問題ありませんが、自作自演サイトにならないようくれぐれも注意しましょう。
サテライトサイトを作成、運用する場合は、必ず自社メインサイトを設定しているサーバーとは別のサーバー(異なるIPアドレスなど)で運用し、ドメインも全く別のものを準備しましょう。
スパム行為のあるコンテンツの自動生成
9つ目は、スパム行為を含むコンテンツの自動生成です。
Google検索セントラルでは、スパム行為のあるコンテンツの例として以下を挙げています。
- 検索キーワードを含んでいるが、文章としては意味をなさないテキスト
- 自動ツールで翻訳されたテキストが、人間によるチェックや編集を経ずに公開されたもの
- 品質やユーザー エクスペリエンスを考慮せず、自動プロセスで生成されたテキスト
- 類義語生成、言い換え、難読化などの自動化手法を使用して生成されたテキスト
- フィードや検索結果の無断複製によって生成されたテキスト
- 複数のウェブページからのコンテンツを、十分な価値を加えることなくつなぎ合わせたり組み合わせたりしたもの
これらの項目に該当するコンテンツはもちろん、システムを作成して上記いずれかに該当するコンテンツを自動生成したものもSEOスパムと判断されます。
インタースティシャルな広告
GoogleがSEOスパムの対象としているものにもう1つ、インタースティシャルな広告が挙げられます。
普段インターネット検索をしている際に、リンクをクリックして次のページへ進むと突然画面が暗くなり、中央部分に広告が出てきた経験がある方もいるかと思います。このような、閲覧や操作を邪魔する広告などがインタースティシャルに該当します。
インタースティシャルな広告は、ユーザーが読みたいコンテンツを隠してしまうためSEOスパム行為に該当します。インタースティシャル広告が表示されると、ユーザーは広告を消すボタンか、広告以外の部分をクリックしない限り、コンテンツ本体の情報を得ることができません。
ユーザーの行動を妨げるインタースティシャルな広告はSEOスパムとして判断されてしまうので、使わないよう心がけましょう。
インタースティシャル広告がどのようなものか『インタースティシャル広告とは?意味やペナルティリスク、SEOへの影響を解説』にてまとめていますので、ご参照ください。
ここまで、SEOスパムに該当する行為や施策を紹介してきました。では、次に実際、SEOスパムだと検索エンジンに判断されるとどうなってしまうのかについて解説します。
SEOスパムと判断されるとペナルティを受ける
意図的ではなくても、検索エンジンからSEOスパムだと判断されると、厳しいペナルティを受けることになります。どのようなペナルティを受けるのか、その内容を解説します。
検索順位が下がる
検索エンジンがSEOスパムだと判断すると、ペナルティとして検索順位を下げられます。
検索順位が下がる、というのは若干下がる程度ではなく、大きく順位が下がるため、SEO担当者が日々順位をチェックしていればすぐに分かるレベルです。
検索結果の1ページ目(1位~10位)に表示されていたページでも、ペナルティを受けることで場合によっては圏外(100位以下)まで落とされてしまうことも少なくありません。
検索順位の下落は、自社サイトへのアクセス数へ直結するため、上位表示されているページにSEO対策を施す場合は、SEOスパムだと判断されないように注意しながら変更、改善を行う必要があります。
検索結果に表示されない(インデックスから削除される)
SEOスパムだと判断され、検索順位が大きく下がったページをそのままにしてしまうと、検索エンジン内のインデックスデータが削除されるだけでなく、検索結果に表示さえされなくなってしまいます。
自社サイト内で急に検索順位が下がったもの、または検索結果に表示されなくなったものがあれば、SEOスパムと判断されていないか急いで確認し、対策を打ちましょう。
次に、自社サイト内にSEOスパムだと判断されているページがあるか確認する方法をご紹介します。
SEOスパムの確認方法
自社サイト内にSEOスパムと判断されてペナルティを受ける場合、自動で行われるものと、手動で行われるものの2つがあります。
それぞれの確認方法を以下、ご紹介します。
Google Search ConsoleでSEOスパムによる手動ペナルティを確認
SEOスパムだと判断されて手動ペナルティを受けた場合、Google Search Consoleに通知が届きます。
Google Search Console(サーチコンソール)にログイン後、「セキュリティと手動による対策」の中から「手動による対策」をクリックすると、ペナルティを受けているページとその内容が表示されます。
ペナルティ対象になっている部分が指摘されているので、改善して最新の状態にしたら、「審査をリクエスト」することでチェックしてもらえます。問題がなければ解決、もしまだ解決できていなければ再び警告が出るので細部を確認し、解決させましょう。
自動ペナルティはアクセス数減少から原因究明をスタートさせる
ペナルティ対象となっている理由が、検索エンジンが自動的にSEOスパムを検出した場合、Google Search Consoleへの通知がありません。自動ペナルティは確認する方法がないため、考えられる可能性から仮設を立て、該当する部分を修正します。
自社サイトへのアクセス数が急減し、手動ペナルティ通知もない場合、サイト内のいずれかのページが自動ペナルティを受けている可能性があります。Google AnalyticsやGoogle Search Consoleから、アクセス数が急減しているページを見つけましょう。
そのページの何がペナルティ対象になっているかは、自分で見つけるしかありません。タイトルや見出し、コンテンツ内のキーワード率など思い当たる部分を調べ、改善してはペナルティ解消になっているかチェックする必要があります。
まとめ
SEO対策を進めてみたものの、思うように検索順位が上がらない、それどころか順位が大幅に下がるページがある場合には、施策の内容がSEOスパムに該当する行為ではないかを確認しましょう。
SEO対策は、Googleのガイドラインを守っていないと、知らないうちにSEOスパムに該当してしまい、ペナルティを受けてしまうことがあります。
防止策として、SEO担当者の方はガイドラインを必ず読んでおいて、ペナルティを回避するようにしましょう。
SEOスパムには、Google Search Consoleに通知が届く手動ペナルティと、調べなければ分からない自動ペナルティの2種類があります。運営しているサイトの中で、急に順位が下がってしまったページがあり、手動ペナルティが届いていない場合は、このページでご紹介したSEOスパムのいずれかに該当していないか、チェックしてみましょう。