Webマーケティングには様々な施策があります。その中でもSEO(検索エンジン最適化)や、リスティング広告に取り組んでいる企業は少なくありません。
取り扱う商材によっては、成果が出るまで時間のかかるSEOよりも、即効性のあるリスティング広告を利用した方が効果が高く、相性が良い場合もあります。Webマーケティングをはじめる前は、まず、自社商材がSEOとリスティング広告のどちらとの相性が良いのか確認しましょう。
このページではSEOとリスティング広告、それぞれの特徴やメリットについて解説しています。
自社商材にはSEOとリスティング広告のどちらを選ぶとベストなのか、使い分ける方法が分かります。
この記事でわかること
SEOとリスティング広告の違い
SEOとリスティング広告の比較 | |||
---|---|---|---|
Webマーケティングの種類 | 成果が出るまでの時間 | 必要な費用 | クリック率 |
SEO | 長い | 低い | 高い |
リスティング広告 | 短い | 高い | 低い |
SEOとリスティング広告には、成果が出るまでに必要な時間や費用に違いがあります。
まずは、SEOとリスティング広告、それぞれの基本的な特徴を解説します。
SEOとは
SEO(Search Engine Optimization)とは、検索エンジン最適化とも呼ばれるWebマーケティング手法の1つです。
具体的には、特定のキーワードをGoogleやYahooなどの検索エンジンで検索した際に、検索結果画面で自社サイトやページを上位表示させるための施策です。
そして、SEOとリスティング広告を比較したときのメリットは、クリック率(CTR)の高さと、大きな予算を抱えずに済む点です。
SEOでの上位表示は、リスティング広告と違い、広告費で選ばれているものではありません。ユーザーに最も役立つページを検索エンジンのアルゴリズムが選んで表示しているため、費用がかかりません。
加えて、「広告」ではないという心理的安心により、ユーザーのクリック率が高くなる傾向もあります。
一方、デメリットとして、成果が出るまでに時間がかかります。SEO対策では、コンテンツの作成や情報の更新など、継続的なメンテナンスのため、人材の確保が必要であることを理解しておきましょう。
リスティング広告とは
リスティング広告とは、ユーザーが検索に使ったキーワードに合わせ、検索結果画面の上部に表示される広告のことで、検索連動型広告とも呼ばれています。
リスティング広告のメリットは、広告出稿キーワードで検索された際、オーガニック検索(自然検索)結果よりも上部に自社サイトやページを表示できます。
リスティング広告なら、広告費用をかけることで、自社サイトを上位に表示させることができ、成果が出るまでの時間を短縮できます。また、広告が表示されてクリックをする人は、すでに購入意欲の高い顕在顧客であることが多く、コンバージョンに繋がりやすいメリットもあります。
一方で、リスティング広告のデメリットは、クリック率が低く、費用が必要な点です。広告費用の調整はできますが、広告を止めてしまうと表示が止まり、連携して自社サイトへのアクセスが止まります。加えて、競合の多い商材だと、成果につながるキーワードでリスティング広告をかける場合、競合他社も狙うことから競合度が高くなり、必要となる費用も多くなります。
以上が、SEO対策とリスティング広告、それぞれのメリットとデメリットです。
SEOの特徴
上記でSEOとリスティング広告の違いについて簡単に解説しました。
ここからは、SEOとリスティング広告の違いをより詳細にご説明いたします。まずは、SEOの特徴からです。
継続的なコストが不要
SEOとリスティング広告の最大の違いは、必要となる費用です。
SEO対策に必要な費用は、サーバーやドメイン代といった初期設備のみで、その他の費用がかかりません。
もちろん、コンテンツの作成やメンテナンスといった、サイト担当者の人件費は必要ですが、記事の出稿や公開に費用は不要です。
また、先にも紹介しましたが、SEOでの上位表示は検索エンジンのアルゴリズムで評価されるため、予算額に応じて掲載順位が変わることはありません。
クリック率が高い
SEOで上位表示された場合、リスティング広告と比べ、ユーザーのクリック率が高いという特徴もあります。
SEOで上位表示された場合の具体的なCTRは下記のようになります。
表示順位とCTR | |
---|---|
順位 | CTR |
1位 | 13.94% |
2位 | 7.52% |
3位 | 4.68% |
4位 | 3.91% |
5位 | 2.98% |
6位 | 2.42% |
7位 | 2.06% |
8位 | 1.78% |
9位 | 1.46% |
10位 | 1.32% |
引用元:seoClarity
SEOで1位表示されるようになれば、検索ボリュームに対し、13.94%のユーザーがクリック、仮に検索ボリュームが10,000であれば1,394回のアクセスが見込めます。
掲載順位をコントロールできない
検索結果画面の掲載順位は、検索エンジンのアルゴリズムによって決まるため、順位のコントロールはできません。
また、検索エンジンのアルゴリズムは、ユーザーに役立つ情報を提供できるよう、常にアップデートされるため、アルゴリズムの更新に応じて順位が変化します。
仮に、一度上位表示できたとしても、アップデートに合わせ、サイトを改善しなければ、掲載順位は下がってしまいます。
即効性が低い(時間がかかる)
SEOは費用がかからない代わりに、成果が出るまでに時間がかかります。
成果が出るまでの時間は、業界や対策キーワードの難易度によって異なりますが、 おおよそ半年から数年かかることもあります。
というのも、SEOで上位表示させるためには、質の高いコンテンツを作成し、サイトの専門性や信頼性を高め、検索エンジンに評価してもらう必要があります。
また、内部リンクを最適化し、クローラビリティを向上させるだけでなく、被リンクの獲得などの施策を通して、自社サイトへの信頼度を高めなければなりません。
SEO対策は、これらの施策を積み重ねて自社サイトの評価を高める必要があります。
信頼性や専門性、被リンクなどを考えると、SEO対策を始めてすぐに獲得できるものではないため、結果的に成果が出るまでに時間がかかってしまうということです。
以上が、SEO対策の詳細な特徴です。
リスティング広告の特徴
時間はかかるものの、費用がかからずCTRが高いSEOに対し、リスティング広告はどのような特徴があるのでしょうか。
SEOと比べ、リスティング広告にはどのような特徴や有利なポイントがあるのか、ご紹介します。
即効性が高い(時間がかからない)
リスティング広告をSEO対策と比較した場合の大きなメリットが、即効性です。
SEO対策の場合、自社サイトを上位表示するまで時間がかかることをご紹介しました。
一方のリスティング広告は、広告宣伝費をかけることで、容易に上位表示させることが可能です。もちろん、出稿キーワードとコンテンツの親和性から判断される品質スコアや予算によって、上位表示できるできないはあります。
しかし、広告が出稿されていないキーワードや地域、ターゲットなどに該当し、品質スコアがある程度高まっていれば、最短で広告費をかけた翌日から自社サイトを表示させることが可能です。
時間をかけることなく、ユーザーに視認されることがリスティング広告の大きなメリットです。
順位をある程度コントロールできる
SEO対策では、サイトの信頼度やアルゴリズムのアップデートなどで表示順位が変動するため、サイト運営者側で掲載順位のコントロールは出来ません。
一方、リスティング広告なら予算次第で、表示順位をある程度コントロールすることが可能です。
というのも、 リスティング広告の表示順位はオークション形式で決まるため、入札単価を高く設定すれば、上位表示されます。また、広告出稿キーワードや地域、デバイスや年齢、性別なども設定できるため、設定に応じて、表示させるか否かのコントロールもできます。
ただし、重要なポイントとして、広告費用の単価アップだけで、必ずしも上位表示されるものではないことも覚えておきましょう。
コストがかかり続ける
リスティング広告とSEOの最大の違いは、運用費用が発生するか否かです。
リスティング広告では、対策キーワードを選び、費用を割り当て、期間別の予算を決め、運用します。言い換えると、 キーワードと期間を決めたとしても、費用を割り当てなければ、自社サイトが表示されることはありません。
また、広告費用は予算を決めてコントロール可能ですが、リスティング広告を停止すると、自社サイトが掲載されなくなる仕組みとなっているため、アクセスやお問い合わせも止まります。
継続的なアクセスやお問い合わせを獲得するとなった場合、広告費用をかけ続ける必要があります。
他にも、広告出稿キーワードの検索ボリュームが大きく、購入や成約に結びつきやすそうなキーワードの場合、競合他社もリスティング広告を打つため、広告費用は高くなります。
継続的なアクセスやお問い合わせの獲得を望む場合、コストもかかり続けると覚えておきましょう。
クリック率が低い
SEOに比べると、リスティング広告はクリック率(CTR)が低いことが分かっています。
海外の調査データによると、リスティング広告のクリック率は、業界によって異なりますが、だいたい6~7%となっています。
(参照元:WorldStream,Google Ads Benchmarks for Your Industry)
SEO(オーガニック検索)よりも上位に表示されるものの、リスティング広告がクリックされる比率は、オーガニック検索に比べると低いことが分かります。
以上のように、リスティング広告は即効性があり、広告予算で掲載順位をコントロールすることが可能な一方で、コストがかかり続け、クリック率が低いという点があります。
SEOとリスティング広告のターゲットの違い
SEOは、時間がかかりますがコストがかからないのに対し、リスティング広告は、時間がかからないがコストがかかることを解説しました。
ここからは、SEOとリスティング広告それぞれのターゲット(顧客)の違いをご紹介します。ターゲットの違いを確認し、自社がどちらのWebマーケティング手法と相性が良いか、考えてみましょう。
SEOは潜在層向け
SEOは、悩みや課題が顕在化していない見込み顧客や潜在顧客へのアプローチに適しています。(もちろん、購買意欲の高い顕在顧客へのアプローチも可能です。)
というのも、SEOは費用をかけずに様々なキーワードで自社サイトを上位表示させることができるため、直接成約とは関係のないキーワードでも自社サイトが表示させることで、認知を促すことが可能です。
特定のキーワードやジャンルで、自社サイトを知ってもらう機会が増えると、ユーザーの悩みや課題が顕在化したときに「〇〇といえば、このサイト(商品)」と想起してもらいやすくなります。
リスティング広告は顕在層向け
一方、 リスティング広告は、顕在顧客へのアプローチに最適です。
商品の購入に結びつきやすいキーワードのSEO対策は、競合他社も対策しているため上位表示させるのが難しいですが、リスティング広告であれば費用をかけることで、それらのキーワードで容易に上位表示させられます。
また、商品名や商材の関連キーワードで検索する顕在顧客は、商材に関する情報はすでに集めており、購入するためのキッカケを求めていることが多いことから、リスティング広告をクリックする可能性が高くなります。
以上のように、SEOとリスティング広告でアプローチできるターゲット層は異なります。
次の章では、SEOとリスティング広告の特徴やターゲット層の違いを踏まえ、どのように施策を選ぶべきかを解説いたします。
どっちがいい?SEOとリスティング広告の使い分け
一長一短があるSEOとリスティング広告ですが、商材や戦略、予算によって、施策の優先度が変わります。
SEO対策を進めるならどのような戦略が最適なのか、リスティング広告には何が向いているのか、それぞれの選び方を確認していきましょう。
中長期的に継続した成果や集客ならSEO
会社や個人で目標としている成果が、中長期的なものであれば、SEO対策がおすすめです。
前述でSEOの特徴やターゲットについて解説しましたが、 SEO対策は時間がかかる一方で、クリック率は高くコストが不要かつ、潜在層へアプローチが可能な施策となります。
また、SEO対策で上位表示できた場合、安定したアクセスや成果が見込めるようになるため、中長期的な目標達成にも向いています。
SEO対策で効果的に成果を上げる場合は、情報収集を行っているユーザーに対し、早期アプローチを行い、資料請求やメルマガ登録から接触機会を増やし、ナーチャリングしていくことで、成果の最大化を図りましょう。
短期的な成果や集客ならリスティング広告
短期的な成果が必要な場合はリスティング広告がおすすめです。
リスティング広告は、自社サイトの上位表示や商材認知に時間がかからないため、短期的な成果や取り組みに適しています。
また、リスティング広告専用のLP(ランディングページ)を作成し、顕在顧客が「買いたい」「問い合わせしたい」と思うような広告を作成することで、成果を最大化させることもできます。
加えて、既にSEO対策で上位表示できている商品購入に直結しやすいキーワードに対し、リスティング広告も併せて施策することで、アクセス数や問い合わせ件数を増やすことが可能です。
もし、目標としている成果が短期的なものの場合は、期間と予算を定め、効果的にリスティング広告を活用しましょう。
注意!商材によって相性の良し悪しが決まる
上記で、中長期的ならSEO、短期的ならリスティング広告がおすすめとご紹介しました。
しかし、 自社サイトで取り扱う商材によっては、上記が当てはまらないケースもあります。
例えば、高価な商材や企業をターゲットとした商材の場合は、短期的な成果が必要だとしても、SEO対策が向いている可能性があります。
というのも、高価なものを購入する場合、期待との不一致に対するリスクが大きくなるため、ユーザーは情報収集をより丁寧に行う購買行動を起こします。また、ターゲットが企業(to B)の場合も同様で、慎重に検討することから、リスティング広告よりも、SEO対策が向いているケースがあります。
他にも、ターゲットとなるユーザーの購買行動の中に、「検索エンジンでの検索」が含まれないような商材は、そもそもリスティング広告とSEO対策のどちらも、適さないケースもあります。
具体的には、重機、電子部品、化学薬品などのメーカーなどが該当します。もし、自社サイトの商材が、それらの商材に該当するようであれば、展示会や動画広告、広報活動など、ターゲットの購買行動に合わせたマーケティング戦略を立てるようにしましょう。
効果的にSEOとリスティング広告を併用しよう
Webマーケティングでは、取り扱う商材と相性の良い手法を選ばなければ、うまく成果につながりません。
SEOは、成果が出るまで時間を要しますが、情報収集を徹底的に行い、比較検討をする高額商品や企業対象(B to B)の商材におすすめです。
一方で、購入しやすい安価な商材や、短期的に集客し、成果を出すのであればリスティング広告がおすすめです。
理想的なWebマーケティングの進め方は、SEO対策とリスティング広告をサイトの規模や運営状況、目標に合わせて、併用することです。Webマーケティングを始めるにあたって、予算をあまり割けない場合には、SEO対策から始めると良いでしょう。
SEOについては、以下のページで基礎知識や対策方法をまとめていますので、ご活用ください。