音声検索最適化とは?6つのポイントをご紹介

スマートフォンやスマートスピーカーの普及により、音声検索が急速に広がっています。その結果、従来の検索エンジン最適化(SEO)だけではなく、音声検索に特化した「音声検索最適化(Voice Search Optimization、VSO)」の重要性が高まるようになりました。

家事や運転など「ながら作業」をしながら、ユーザーが音声でクエリを入力する音声検索により、検索クエリの形式やユーザーの検索行動が大きく変わってきています。

このページでは、音声検索がもたらすユーザーメリットやVSOの重要性、そして具体的な最適化の方法について解説します。特に、会話形式のキーワードやロングテールキーワードの活用、FAQページの追加、ローカルSEOの対策、ページ表示速度の改善など、実践的なアプローチも紹介します。

音声検索最適化は、単なる技術的な対応だけでなく、ユーザーの検索意図を深く理解し、より良いユーザーエクスペリエンスを提供するための重要な施策です。VSOの対策を進め、検索エンジンで上位表示を目指しましょう。

記事の監修者
株式会社EXIDEA 代表取締役社長
小川 卓真
SEO歴18年。2006年にSEOツールの開発企業を共同創業して以来、SEOを軸にデジタルマーケティングに従事。2013年に「株式会社EXIDEA」を設立。現在はEXIDEAの代表取締役社長として、Webメディア事業、マーケティングDX事業、SEOライティングツール「EmmaTools」の事業に携わる。
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音声検索最適化(VSO)とは

音声検索最適化(Voice Search Optimization、VSO)とは、スマートスピーカーや音声アシスタント、音声検索を通じてユーザーが行う検索に対して、WEBサイトやコンテンツを最適化する取り組みのことです。

音声検索では、話し言葉や会話口調など、より自然な言葉遣いで具体的かつ長い質問をする傾向があるため、従来のテキストベースの検索エンジン最適化(SEO)とは異なる対策が音声検索最適化で求められます。

例えば、「一番近いカフェはどこ?」や「今日の天気は?」といった具体的で長い質問が一般的なため、それらの話し言葉の形式に合わせたコンテンツの作成が必要です。

音声検索は、パソコンやスマホにキーワードを入力する必要がなく、話しかけるだけでインターネット検索ができることから利用者が増加しており、音声検索最適化の重要性が高まっています。

音声検索のメリット

音声検索の最適化を進める前に、音声検索がユーザーにもたらす2つのメリットをご紹介します。

ユーザーが音声検索を行う理由を知ることで、対策時のポイントや施策をより明確にすることが可能です。

「ながら作業」で検索できる

音声検索がユーザーにもたらす1つ目のメリットは、「ながら作業」で検索できることです。

「ながら作業」とは、他の作業を行いながら同時に別の作業をこなすことを指します。具体的には、料理をしている最中にレシピを検索したり、運転中に最寄りのガソリンスタンドを探したりと、手を使えない場面で手を使わずに音声で検索ができます。

従来のキーボードを使った検索では、手を使って文字を入力する必要がありましたが、音声検索を利用することで、手を使わずに情報を取得することが可能です。

文字の入力速度が速い

音声検索がユーザーにもたらす2つ目のメリットは、文字の入力速度が速いことです。

キーボードやタッチパネルで文字を打つ場合、多くの人が1分間に数十文字程度の速度でしか入力できませんが、音声入力を利用すれば、話すスピードと同じ速さで情報を入力することが可能です。

特に、スマートフォンやタブレットだけでなく、スマートスピーカーなどのデバイスを使用して音声検索する場合、話しかけた数秒後には語句の入力と同時に検索結果が表示されるため、短時間で効率よく情報を検索することができます。

音声検索の市場規模と最適化の重要性

近年、スマートフォンやスマートスピーカー、音声アシスタントの普及により、音声検索が日常生活の一部となったことで音声検索の利用が急速に増加しています。特に、2019年末から世界中に拡がった新型コロナウイルスの影響で、自宅やオフィスで使えるスマートスピーカーが登場したことにより、音声検索ユーザーはさらに増加しました。

総務省情報通信政策研究所が発表している情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書を元に、スマートスピーカーの利用率をグラフにしました。

スマートスピーカー利用率の推移

2019年以降、スマートスピーカーの利用率、すなわち音声検索を利用するユーザーが少しずつ、着実に増加していることが確認できます。

音声検索の最適化に取り組むことは、こうした市場の変化に沿った競争力を維持するためにも不可欠です。音声検索が普及する中で、適切な対応を行わない企業は、検索結果での露出が減少し、競争に遅れを取るリスクがあります。逆に、音声検索に対応した最適化を行うことで、新たな顧客層を獲得し、既存の顧客に対してもより良いサービスを提供することができます。

こうしたことから、音声検索最適化は、Webマーケティングへの取り組みとして、未来のビジネスチャンスを最大限に活用する準備と言えます。

音声検索の最適化を進める際に押さえておくべきポイント

ここからは、音声検索の最適化を進める際に押さえておくべきポイントを解説します。

音声検索の最適化では「文章による検索」や「ローカルSEOへの影響」、「簡潔な結論」、「SEO対策の基本」、「デバイスと検索エンジン」の5つを押さえておく必要があります。

検索クエリが単語ではなく文章

1つ目のポイントは、ユーザーが入力する検索クエリが単語ではなく、会話や話し言葉などの文章やフレーズであることです。

従来のテキスト検索では「天気 東京」といった簡潔なキーワードが主流でしたが、音声検索では「今日の東京の天気は?」といった自然な話し言葉が使用されます。この違いは、音声検索が対話型インターフェースを前提としていることや、音声アシスタントが人間との会話を模倣し、より直感的で自然なコミュニケーションの実現が関係しています。

そのため、音声検索最適化で上位表示させるには、対策キーワードとして単語ではなく文章を想定し、それらを含むコンテンツを作る必要があります。

ローカルSEOへの影響

2つ目のポイントは、特定の場所やシーンでの利用が多く、ローカルSEOに影響を与えることです。

音声検索では、「近くのカフェ」や「現在地から最寄りのガソリンスタンド」といった検索を行う際に、ユーザーの位置情報が自動的に活用されることが多いため、ローカルSEOの影響が大きくなります。

通常、飲食店や商業施設など、地域性のあるビジネスを提供している企業やサービスを除き、「地域名×サービス」のようなSEO対策を行う企業は少ないため、多くの企業では音声検索を意識した対策が求められます。

結論を簡潔に書く

3つ目のポイントは、結論を簡潔に書く必要があることです。

音声検索を行うユーザーは、短時間で具体的な答えを求める傾向が強いため、冗長な説明や曖昧な回答は避け、簡潔な結論が求められます。例えば、「〇〇の方法を教えて」といった質問に対して、「〇〇の方法は、まず△△を行い、その後□□を実行することで達成できます」といった具体的かつ簡潔な回答です。

また、音声アシスタントがユーザーに検索結果を読み上げる際に、結論が明確かつ簡潔であることは、ユーザーの満足度を高め、ユーザーエクスペリエンスを向上させます。

デバイスと検索エンジン

4つ目のポイントは、音声検索を行うデバイスごとの検索エンジンを把握することです。

デバイスと音声アシスタントごとの検索エンジンは、以下のようになっています。

主な端末・アプリ 音声アシスタント 採用している検索エンジン
アンドロイド Googleアシスタント Google
Apple iPhone Siri(シリ) Google
Google Home Googleアシスタント Google
Amazon Echo Alexa(アレクサ) Microsoft Bing
Microsoft Windows Cortana(コルタナ) Microsoft Bing

iPhoneやAndroid端末、Google homeといったデバイスで音声検索を行う場合、Googleの検索エンジンに連動した検索結果が表示されることになります。一方で、Alexa(アレクサ)やCortana(コルタナ)といった音声アシスタントの場合は、Microsoft Bingの検索エンジンに連動した検索結果が表示されます。

このように、音声検索を行うデバイスごとに、使用される検索エンジンが異なるため、それぞれの検索エンジンに適した対策が必要となります。

基本的なSEO対策

5つ目のポイントは、音声検索最適化の対策も、基本はSEO対策と同じであることです。

先に紹介したように、スマートスピーカーや音声アシスタントなどを使った音声検索では、GoogleやBingなどの検索エンジンが使われているため、音声検索の最適化でも通常のSEO対策と同様に、検索エンジンへの最適化が求められます。

具体的には、メタタグや見出しタグの最適化、内部リンクの最適化、被リンクの獲得、ページの表示速度の改善などの対策が必要です。

音声検索で自社サイトを上位表示させるには、会話や話し言葉を意識したコンテンツの作成が必要となりますが、それ以上に基本的なSEO対策も必要だと覚えておきましょう。

音声検索最適化(VSO)に必要な6つの対策

最後に、音声検索最適化を行うための具体的な施策を6つご紹介します。

話し言葉やロングテールキーワードの対策

音声検索最適化の1つ目の施策は、話し言葉やロングテールキーワードの対策です。

ロングテールキーワードとは、複数の単語を組み合わせた「ユーザーの検索意図を具体的にした検索クエリ」を指します。例えば、「東京 新宿 カフェ おすすめ」といった長いフレーズがロングテールキーワードに該当します。

こうした話し言葉や会話口調に近い、ロングテールキーワードを対策することで音声検索で上位表示しやすくなります。

具体的には、Googleのオートコンプリート機能や関連する質問などに表示されるキーワードや質問をベースにコンテンツを作成するのがおすすめです。オートコンプリート機能や関連する質問では、ユーザーが実際にどのようなフレーズを使って検索しているのかを把握することができます。

なお、SEO効果の高いコンテンツのライティング方法は、『SEOライティングとは?基礎知識や意識すべき8つのポイント』にまとめているのでご一読ください。

モバイルフレンドリーの対応

音声検索最適化の2つ目の施策は、モバイルフレンドリーの対応です。

モバイルフレンドリーの対応とは、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末でWEBサイトを快適に閲覧できる状態にすることを指します。

具体的には、パソコンとモバイル端末ごとに別々のURLを準備する方法や、画面サイズに応じて異なるHTMLを配信する方法、WEBサイトを閲覧する画面サイズに応じてページのレイアウトを自動的に調整するレスポンシブデザインのいずれかの対応が求められます。特に、レスポンシブデザインはコンテンツの管理が容易なため、おすすめです。

Googleは検索順位を決めるアルゴリズムの中に「モバイルファーストインデックス」を導入しているため、モバイルフレンドリーの対応はSEOの観点からも不可欠です。

モバイルフレンドリーとは何か、より詳しい情報を『モバイルフレンドリーとは?SEO対策で必要な理由や確認・対応方法』にまとめているのでご参照ください。

サイトのセキュリティ強化

音声検索最適化の3つ目の施策は、サイトのセキュリティ強化です。

検索エンジンは、ユーザーの安全を最優先に考えていることから、セキュリティ対策が行われている安全なサイトが検索結果でより高く評価される傾向があります。そのため、音声検索の最適化でも、サイトのセキュリティ強化が必要です。

具体的には、インターネット上で電子データを送受信する際に暗号化してやり取りを行うSSL(Secure Sockets Layer)の導入が求められます。

WEBサイトのSSL化が完了していると、URLが「http」から「https」に変わり、データの送受信が暗号化され第三者による不正アクセスを防ぐことができます。

SSL化について、より詳しい情報を知りたい方は『【Google推奨】SSL化(HTTPS)のSEO対策における効果とは?』をご参照ください。

FAQの追加

音声検索最適化の4つ目の施策は、FAQ(Frequently Asked Question)の追加です。

例えば、「○○の作り方は?」や「○○の営業時間は?」といった具体的な質問に対するシンプルで簡潔な回答を用意することで、検索エンジンの音声アシスタントがこれを認識しやすくなります。そのため、コンテンツの中にFAQ(よくある質問)のセクションを設けることが、音声検索の最適化で効果的です。

また、FAQのセクションは定期的に更新し、最新の情報やよくある質問にすることも重要です。ユーザーのニーズや質問は時間とともに変わるため、それに対応する形でFAQも更新していくことで、ユーザーは常に最新で正確な情報を得ることができ、サイトの信頼性が向上します。

ローカルSEOの対策

音声検索最適化の5つ目の施策は、ローカルSEOの対策です。

音声検索を利用するユーザーの多くが「近くのレストラン」や「最寄りのガソリンスタンド」といったローカルな情報を求めることが多いため、ローカルSEOを強化することで、音声検索の最適化が可能です。

具体的には、Googleビジネスプロフィールへの登録やNAP(名前、住所、電話番号)統一、顧客からのレビュー獲得が挙げられます。

また、特定の地域やエリアを含むキーワードをコンテンツやメタデータ、見出しタグに組み込むことで、ローカル検索の結果に表示されやすくなります。例えば、「東京 渋谷 カフェ」といった具体的な地名を含むキーワードの設定が該当します。

ローカルSEOについて、『ローカルSEOとは?MEOとの違いや順位を決める要素、対策方法、注意点について解説』に詳しい情報をまとめています。ぜひ、ご一読ください。

ページ表示速度の改善

音声検索最適化の6つ目の施策は、ページ表示速度の改善です。

ページの表示速度はユーザーエクスペリエンスに影響を与える要素の1つで、特に音声検索を行うユーザーは即座に答えを求める傾向が強いため、ページが遅れて表示されるとストレスを感じ離脱しやすくなります。

そのため、WEBサイト内にある画像の圧縮やフォーマットの指定、不要なスクリプトの削除などを行い、ページの表示速度を改善する必要があります。また、ページの表示速度の改善では、ブラウザキャッシュの活用やサーバーのアップグレードによる応答時間の短縮も効果的です。

なお、ページの表示速度の改善では、サーバーやWEBサイトなどの専門的な知識や技術が必要となるので、まずは画像ファイルのサイズを圧縮することから取り組みましょう。

音声検索の対策もSEOと同様に対策しよう

スマートフォンやスマートスピーカーの普及により、音声検索の利用が増加しているため、音声検索最適化(VSO)の重要性が高まっています。また、音声検索の最適化は、検索順位を向上させることだけでなく、ユーザーエクスペリエンスの向上にも寄与します。

音声検索最適化(VSO)では、話し言葉やロングテールキーワードの対策や、ローカルSEOの対策、簡潔な結論などが求められますが、セキュリティの強化やモバイルフレンドリーの対応など、基本的な部分はSEO対策と同じです。

音声検索最適化(VSO)は、今後AIやIoTの技術の進歩にあわせて、ますます重要性が高まると考えられるため、早期に取り組み、競争優位性を確保しましょう。

以下のページでは、基本的なSEO対策やSEOのトレンドなどを網羅的に紹介していますので、音声検索の最適化(VSO)を進める方は、一緒にご確認ください。