検索順位によってクリック率(CTR、Click Through Rate)は変化するの?
パソコンとスマホのどちらで検索するかによって検索順位のクリック率に違いが出る?
このページは、上記のような疑問に答えるために作成しました。
パソコン検索における検索順位のクリック率(CTR)を調査した結果は見たことがあるかもしれませんが、意外とパソコンとスマートフォンやタブレットなどのモバイル端末とのCTRの違いを比較したデータはご存知ないかと思います。
そこでこのページでは、検索順位チェックツールを提供するルーマニアのAdvanced Web Rankingが行った調査に基づいて、パソコンとモバイル端末、それぞれにおける検索順位でのクリック率の違いをご紹介しています。
それでは早速、端末ごとの検索順位別、CTRの違いを見ていきましょう。
この記事でわかること
検索順位のクリック率(CTR)はパソコンとスマホで違う?
パソコンとモバイル端末によるクリック率には、違いがあるのでしょうか。以下、Advanced Web Rankingが調査した結果(2024年1月時点)です。横軸が検索結果順位、縦軸がCTR(クリック率)を示しています。
引用元:https://www.advancedwebranking.com/ctrstudy/
パソコン、モバイル端末の両方において、検索結果での掲載順位が上位の方がクリック率高いことが見て取れます。ただ、この画像だけでは少々見づらいかと思いますので、パソコンとモバイル端末(スマートフォン)の平均CTRの違いを以下の表にまとめました。
端末別、検索順位結果に対するCTR | ||
---|---|---|
検索順位結果 | パソコン | モバイル端末 スマートフォン |
1位 | 30.98% | 28.16% |
2位 | 14.64% | 14.23% |
3位 | 8.53% | 8.82% |
4位 | 5.79% | 5.82% |
5位 | 4.24% | 4.15% |
6位 | 3.15% | 3.09% |
7位 | 2.39% | 2.32% |
8位 | 1.88% | 1.80% |
9位 | 1.55% | 1.44% |
10位 | 1.30% | 1.22% |
このように、パソコン、モバイル端末の両方でCTRが最も顕著に違いが出たのは、やはり検索結果1位のとき。
検索順位が1位のとき、クリック率はモバイル端末の方がパソコンよりも約3%高い結果となっています。2位以降は、パソコンでの検索結果の方がCTRが高く、その後穏やかに差がなくなっているのがわかります。
検索順位が1位から2位に落ちたときのインパクトを計算した結果は以下です。
検索順位結果が1位から2位に 落ちた時のクリック率減少幅 |
||
---|---|---|
検索順位 | パソコン | モバイル端末 スマートフォン |
1位 | 30.98% | 28.16% |
2位 | 14.64% | 14.23% |
検索順位が落ちた時の影響 | CTR16.34%減 | CTR13.93%減 |
このデータから、スマートフォンを含むモバイル端末での検索順位1位になる価値の方が大きいことがわかります。
- スマートフォンを含むモバイル端末の方が1位のCTRが高い
- 検索順位3位以降になるとCTRに大きな違いはない
上記のデータは2024年1月のものですが、実はこの調査は2014年から行われています。2014年のデータを見てみると、2019年のデータとは全く違う特徴を持っていました。
続いては、2014年のデータを見てみましょう。
2014年もモバイル端末の方がクリック率は高い
2014年7月のデータを見てみると、検索順位を問わず、スマートフォンを含むモバイル端末のクリック率の方が高いことが伺えます。各検索順位ごとの平均CTR値をまとめた次の表も併せてご覧ください。
*5位以降のデータが6-10位、2ページ目、3ページ目と表示されていることにご注意ください
端末別、検索順位結果に対するCTR(2014年7月時点) | ||
---|---|---|
検索順位結果 | PC | スマホ |
1位 | 25.1% | 32.54% |
2位 | 10.02% | 15.98% |
3位 | 7.9% | 10.89% |
4位 | 4.89% | 7.69% |
5位 | 4.49% | 5.7% |
6-10位 | 2.82% | 3.84% |
2ページ目 | 2.23% | 5.04% |
3ページ目 | 0.73% | 2.9% |
2014年時点では、検索順位が1位のときのクリック率(CTR)は、スマートフォンの方がパソコンよりも約7.5%高いことがわかります。さらに掲載順位が2位の場合のCTRも約6%とその違いは非常に顕著です。
その後は、徐々にスマホとPCのクリック率の差が縮まりますが、2ページ目では約2倍、3ページ目では約4倍もスマホのCTRが高いことが伺えます。
また、PCとスマホで検索順位が1位から2位に落ちたときのクリック率減少の影響は以下の通りです。
検索順位結果が1位から2位に落ちた時のクリック率減少幅 | ||
---|---|---|
検索順位結果 | PC | スマホ |
1位 | 25.1% | 32.54% |
2位 | 10.02% | 15.98% |
検索順位が落ちた時の影響 | クリック率60%減 | クリック率51%減 |
このように2014年時点においては、スマホの方が総じてクリック率は高いですが、検索順位下降によるクリック率減少の影響は、PCで検索順位1位のときの方が高いことが伺えます。
- 総じてスマートフォンの方がパソコンよりCTRが高い
- 検索結果2ページ目、3ページ目ではCTRの差がより大きい
- パソコンの方が1位から2位に落ちた際の影響が大きい
モバイル端末のCTRがパソコンに近づいた理由
2014年と2024年のクリック率(CTR)を分析した結果、9年かけてモバイル端末のCTRがパソコンのCTRにより近い値になってきていることがわかりました。
なぜこのような変化があったのかについて、ここでは、その理由を次の3つの観点から考察していきます。
- ユーザーの検索行動の違い
- デバイスサイズの変化
- モバイルアップデート/MFIによってモバイルページの質が上がった
ユーザーの検索行動の違い
1つ目の理由には、モバイル端末を利用するユーザーの検索行動が変化したことが挙げられます。
以前のユーザーは、より単純で素早い答えを求める傾向にありました。目的地までの行き方や近くのカフェ・レストランの検索などがそれに当たります。
モバイル端末から検索をかけるユーザーは、今でも上記のような答えを求めていますが、同時にかつてはパソコンのみで行うような、より深い情報をスマホで検索するようになっています。
その理由が、音声検索の増加です。スマホやタブレットには標準でマイクを装備しているものが多く、検索クエリを入力するより楽に調べたいことを入力できます。
音声検索の普及が、スマホユーザーの検索行動を変え、CTRの動きに変化をもたらしたと考えられます。
デバイスサイズの変化
2つ目の理由には、スマホのサイズが変化した(巨大化した)ことが挙げられます。
iPhoneを例に見てみるとわかりやすいでしょう。2014年7月時点で、最新のiPhoneはiPhone5Sで、サイズは4インチです。
一方で、現在はiphoneだけでもサイズに多様性があり、画面サイズが大きなものを選ぶユーザーも増えました。
デバイスサイズが大きくなったということは、より多くの検索結果を表示できるパソコンサイズに近づいたということ。
つまり、スマホなどのモバイル端末のCTRがパソコンに近くなったのは、デバイスサイズが大きくなったことによって、ユーザーの検索行動の利便性が向上したためだと考えられます。
モバイルアップデート/MFIによってモバイルページの質が上がった
最後の要因として考えられるのは、Googleのアップデートによって、モバイルページの質が上がったことが挙げられます。
2015年、モバイル端末での検索数がパソコンを越えたことで、Googleはスマホやタブレットなどのモバイル端末での検索体験向上を狙い、モバイルに関する下記のアップデートを行いました。
- モバイルフレンドリーアップデート(2015年)
- モバイルファースト インデックス(2018年)
これらのアップデートによって、WEBページのスマホ対応が加速し、スマホのためのSEO(モバイルSEO)が重要視されるようになりました。
以前は、モバイル端末とパソコンでコンテンツ内容を変えていたり、数ページのみをモバイル端末向けのページにしたりといったことが行われていましたが、現在では無くなっています。
また、モバイルSEOのためにレスポンシブデザインや、AMPの導入などが進みました。
つまり、スマホでの検索体験がより重要視された結果、スマホとPCの検索体験に差がなくなりつつあるのです。このことが、モバイル端末のCTRをよりに近づけた要因だと考えられます。
まとめ:CTRを上げる方法とは?
ここまでは2014年と2024年におけるスマートフォンやタブレットなどのモバイル端末とパソコンのクリック率(CTR)の違いを紹介し、CTRが変化した理由を考察してきました。
CTRは上記でご紹介したデバイスの違いだけでなく、キーワードの意図(情報系か商標系か)や業界、ブランドサーチか否かといった要因によっても左右されます。
そのため、上記のクリック率のデータは、すべてのパターンに当てはまるものではなく、あくまで平均値をとった一般的な平均CTR値であることをご留意ください。
それでは、最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。