canonical(カノニカル)タグは、Webサイト内に複数の内容が似ているコンテンツがある場合に、検索エンジンに評価してもらいたいURLを伝えるタグです。
Webサイトを運営していると、システムによって内容が重複したコンテンツが生成されたり、意図的ではないものの複数のコンテンツでよく似た表現を記載することがあります。
そうした重複コンテンツは、検索エンジンからの評価の分散やコピーコンテンツと判断されてペナルティを受けるリスクにつながります。
canonicalタグを使ってURLの正規化を行うことで、複数の重複コンテンツの評価をまとめ、ペナルティを回避できます。
このページでは、canonicalタグの正しい使い方やどんなケースで利用すれば良いのか、ご紹介します。
canonicalタグを使用する上での注意点も解説しているので、自社サイト内に重複コンテンツが見つかった際にお役立てください。
この記事でわかること
canonical(カノニカル)とは?
canonical(カノニカル)とは、Webサイト内の内容が似ている、または同じ表現を含むコンテンツが複数ある際に、指定した1つのURLを代表ページとして正規化させるためのHTMLタグです。
canonicalタグには、「URLの正規化」と「重複コンテンツ対策」の2つの役割があります。それぞれ詳しくご紹介します。
URLの正規化について
canonicalタグを使い、URLの正規化を行うとはどういうことなのか、解説します。
自社サイト内に複数の内容が重複するコンテンツを見つけたら、その中から1つ、代表させたいページを選びます。
画像のように正規化させたいページのURLを、その他の重複コンテンツ内にcanonicalタグと一緒に設置します。 これをURLの正規化と呼び、検索エンジンに代表させたいコンテンツへ評価を集中させられます。
自己参照canonicalとは
canonicalタグを使い、URLを正規化させるものの一例に自己参照canonicalがあります。
自己参照canonicalとは、正規URLのcanonicalタグで自身のURLを指定するものです。例を挙げると、メールマガジン配布やRSS配信時の「トラッキングパラメータが付与されたURL」や、TwitterやFacebookなどの
SNSで共有される際に付与されるパラメータがついたURLなどがある場合に、自己参照caonicalを使いURLの正規化を行います。
具体的には、下記のようなURLが該当します。
自己参照canonicalの例 | |
---|---|
元となるURL | https://aaa.co.jp |
パラーメータ | https://aaa.co.jp/?utm_source=google&... |
メールマガジン | https://aaa.co.jp/?ref=magazine |
RSS配信 | https://aaa.co.jp/?utm_sourse=feedburner&... |
Googleは、URLが異なっているとそれぞれのURLを別のものとして評価するため、同じページのURLだとしても「パラメータ有り」と「パラメータ無し」を別ページとして認識し、それぞれのページに評価が分かれます。
自己参照canonicalを設定しておけば、この評価の分散を防げます。
重複コンテンツと見なされるリスクを回避
canonicalタグには、検索エンジンに重複コンテンツと見なされた場合にペナルティを課せられてしまうリスクを避けるためにも使われます。
Webサイト運営していると、以下のような意図しない重複コンテンツが出てきてしまいます。
- www.やindex.htmlの有無
- ECサイトでの商材バリエーション(色やサイズ)
- SSL化によるhttpとhttps
- 計測用パラメータの有無
- パソコン用とモバイル用で別々のページがある場合
- コンテンツが増えたことによる意図的ではない表現の類似
しかし、Googleのマット・カッツ氏は、「悪意のない重複コンテンツであれば気にしなくて良い」と言及しています。
とはいえ、サーバーやシステムなどによる意図的ではない場合でも、重複コンテンツと判断されればキーワードに対する評価が分散します。
また、重複コンテンツがGoogleからコピーコンテンツと判断されてしまうと、ペナルティの対象となる可能性があります。
canonicakタグを使い、URL正規化することで、重複コンテンツとして判断された場合の評価の分散を避け、ペナルティを回避しましょう。
重複コンテンツがSEOに与える影響など、詳しくは『重複コンテンツとは?基準や調べ方、回避する対策方法について』で解説しています。
続いて、canonicalタグの正しい使い方や設置方法をご紹介します。
canonicalの正しい使い方と設置方法
重複コンテンツの評価分散と、コピーコンテンツによるペナルティ回避ができるcanonicalタグですが、設置するにはどうしたら良いのでしょうか。
canonicalタグを正しく使うポイントを以下2つ、ご紹介します。
URLは絶対参照で記述する
1つ目は、canonicalで指定するURLは絶対参照で記述することです。
URLの記述には絶対参照(すべてのURL、https://aaa.co.jp/bbb/)と相対参照(ドメインを省略した部分的なURL、/bbb/)があります。canonicalタグを設置する際のURLは、必ず絶対参照で記述しましょう。
相対参照でも設置可能ですが、サイトURLがwww.のある・なしや、SSL化によるhttpとhttpsのどちらでもサイトが表示される状態だと、URLの正規化が行われないことがあります。
Googleも、canonicalタグ設置には絶対参照を推奨しているため、必ず絶対参照でURLを記述しましょう。
セクション内に記述する
2つ目は、canonicalの設置場所を必ず<head>~</head>内に記述することです。 canonicalタグの記述は、下記が基本の書き方になります。
<link rel="canonical" href="正規ページURL(https://〜)">
また、上記のcanonicalタグをヘッダー部分(<head>から</head>の間内)に記述することで、URLの正規化が行えます。
※WordPressを利用している場合、投稿ページや固定ページのヘッダー部分は、function.phpファイルなどを変更する必要があります。
All in One SEO Packなどのプラグインを活用することで、ページ単位でcanonicalタグの設置が可能です。 phpファイルの変更は、記述内容を間違えると全ページが表示されなくなるリスクがあるため、プラグインを利用し、canonicalタグ設定を行うようにしましょう。
次に、canonicalタグを使用すべきケースをご紹介します。
canonicalを使用すべき6パターン
canonicalタグはどのようなタイミングで使うべきなのでしょうか。 canonicalタグを設置すべき6パターンをご紹介します。
重複コンテンツを避けられない場合
1つ目は、重複コンテンツを避けられない場合にcanonicalタグを設置します。
- www.の有無
- SSL化によるhttpまたはhttps
- 商材のカラーバリエーション
- パソコン用とスマホ用ページ
上記のようにURLは異なるものの内容が重複するコンテンツは、canonicalタグを使ってURLの正規化をします。
パラメータがついた動的なURLに使う
2つ目は、アクセス分析に使うパラメータがついた動的URLに対してcanonicalタグを使います。 流入経路などのアクセス分析を行うため、URLにパラメータを付けることがあります。Google Analyticsで計測するパラメータには以下があります。
- utm_source
- utm_medium
- utm_campaign
- utm_term
これらのパラメータをURLに加筆することで、どのように自社サイトまでたどり着き(流入経路)、自然検索または広告からなのかを判断できます。
さらに、実施しているキャンペーンや広告に使ったキーワードでの流入かも計測可能です。 パラメータを使用する場合は、パラメータを含まない元のURLに評価が集まるようリンク先ページにcanonicalタグを設置しておきましょう。
301リダイレクトの設定ができない場合
3つ目は、301リダイレクトで転送設定ができない場合にcanonicalタグを使用します。
自社サイトのドメイン移管やSSL化など、やむを得ずページのURLを変更しなければならない場合、基本は301リダイレクトによる転送設定を行います。
しかし、サイトを設定しているサーバーや、利用しているCMSの環境によっては設定できないことがあります。
その場合は、旧URLページに新URLへのリンクを作成し、canonicalタグを使って新URLを評価対象にしておきましょう。 301リダイレクトとは何か、詳しくは『301リダイレクトとは?必要な理由や設定および確認方法を解説』で解説していますのでご参照ください。
PC向けページとモバイル向けページでURLが異なる場合に使用する
4つ目は、PCページとモバイル向けページを別に作成している場合です。
PC向けページとモバイル向けページをそれぞれ作成している場合、canonicalタグを使って評価の分散が起こらないようURLの正規化を行います。
モバイル向けページにcanonicalタグを設置して正規化し、同時にPC向けページにalternateタグを設置するのを忘れないようにしましょう。
ABテストを行う場合もcanonicalタグを使用する
5つ目は、ABテストを行う場合にcaonicalタグを使用します。
コンテンツ内のタイトルや見出し、ボタン、アンカーテキストの変更を行い、離脱率やコンバージョン率の改善を試みるABテストの際にも、canonicalタグを使います。
テストページを作成すると、テストページもインデックスされてしまう可能性があるため、canonicalタグを設置し、元ページのURLへ正規化しておきましょう。
また、noindexタグを設置し、インデックスを制限することも可能です。
AMPページを作成する場合
6つ目は、AMPページを作成する場合、元ページにcanonicalタグを設置します。
AMP(Accelerated Mobile Pages)とは、専用のソースコードとネット上で一時的に保存されたキャッシュ情報からページを開く技術です。
AMPページは、通常のHTMLページより早く表示されるため、ユーザーの離脱率を下げられるメリットがあります。
ただし、AMPページの内容は、通常のページと重複することから、canonicalタグの設置と、URLの正規化が必要になります。AMPページのメリットや作成方法は『AMPとは?SEO効果とメリットを徹底解説【導入マニュアル】』にまとめているのでご覧ください。
canonicalを使用する際の注意点
ここまで、canonicalタグとは何なのか、使い方と一緒に解説してきました。
正しく使うことでSEO効果も得られるcanonicalタグは、設置する上での注意点もあるのでご紹介します。
内容が異なるコンテンツには使用しない
まず、canonicalタグは、内容の異なるコンテンツに使用しないように注意しましょう。
canonicalタグは、重複コンテンツと判断され、評価が分散することを避けるために使います。そのため、内容が異なるコンテンツには使用しません。
重複コンテンツは、コピーコンテンツと判断されてしまう可能性もあります。コンテンツ作成前に対策キーワードを決め、似たようなコンテンツの作成を防ぎましょう。
もし、同じようなコンテンツが出来てしまったら、書き方や切り口、表現を変えて別のコンテンツとして作り変えましょう。
canonicalタグに記述するURLに間違いがないか必ず確認すること
もう1つの注意点として、URLに間違いがないか、必ず確認しましょう。
複数の内容が重複したコンテンツを見つけ、canonicalタグを設置する場合、正規化するURLに間違いがないかを確認します。
この記述を間違えると、URLが正規化されません。当たり前のことと思われがちですが、URLのコピーミスなどもありえます。
canonicalタグ設置後、記述内容にミスがないか忘れずにチェックしましょう。
まとめ
canonicalタグは、サイト内に重複コンテンツがあることで起こる評価の分散や、ペナルティを回避するために使用するタグです。
www.の有無やSSL化のようなシステムに関するものや、ECサイトなどのカラーやサイズによるバリエーションのような意図せず生成された重複コンテンツがあ場合にはcanoicalを使ってURLの正規化を行っておきましょう。
評価の分散を防ぎ、1つのページへ評価を集中させることで検索順位を上げられる可能性があります。
サイト運営を続け、コンテンツが増えて内容が似通ってしまうものがある場合も、canonicalタグによるURL正規化を行い、ペナルティを回避しておきましょう。