テクニカルSEOとは?具体的な施策と注意点について

テクニカルSEOとは、検索エンジンに自社サイトの情報を正しく読み取ってもらうための施策です。

SEO(検索エンジン最適化)にはコンテンツ作成など様々な施策がありますが、テクニカルSEOとはどのようなものなのでしょうか。

このページでは、テクニカルSEOを実施することで得られるメリットと注意したいデメリットや、大きく分けて2種類ある具体的な施策について解説します。

また、施策を進める上で抑えておくべきコツと便利なツールもご紹介しています。自社サイトの成果を伸ばすため、テクニカルSEOを理解し、施策を打ちたい方は必読です。

テクニカルSEOとは

テクニカルSEOは、自社サイトにクローラーが回ってきたときに、ページ情報を正しく収集してもらい、その情報を検索エンジンのデータベースにインデックス(収納)させるために行う施策のことです。

検索エンジンのクローラーが、自社サイト内を快適に回遊し、情報を集められる環境を作ります。収集された情報にはテキストだけでなく、画像や動画も含まれます。これらが正しくインデックスされなければ、アルゴリズムによる評価も行われず、検索結果画面に表示されることもありません。

テクニカルSEOは、自社サイトやページが、検索結果画面で上位表示されるために行うSEO施策の「最初の第一歩」です。

テクニカルSEOとコンテンツSEOの違い

同じSEO対策でも、対策キーワードを分析し、ユーザーの検索意図に沿ったコンテンツを作成する、いわゆるコンテンツSEOとテクニカルSEOは何が違うのでしょうか?

これら2つの施策の大きな違いは、「ターゲット」です。テクニカルSEOは、「検索エンジン」に自社サイトやページの情報を伝えるために行う施策です。一方、コンテンツSEOの対象は「ユーザー」で、キーワードから何を知ろうとしているのかを調べ、分かりやすい記事を作成します。

テクニカルSEOとコンテンツSEOは、どちらに重きを置くかが問題ではなく、どちらも同時に、バランスよく実施することが重要です。

テクニカルSEOのメリット・デメリット

テクニカルSEOにはどのようなメリット、およびデメリットがあるのでしょうか?

テクニカルSEOを行うメリット

テクニカルSEOを実施するメリットには、オーガニック(自然)検索によるアクセス数の増加が考えられます。


例えば、サイト内にある複数の重複サイトを1つのURLにまとめて正規化したり、HTMLタグを正しいものに設定し直したりすると、検索エンジンからの評価が上がります。結果、上位表示されるようになり、テクニカルSEOを実施する前よりも多くのアクセス数が期待できます。

テクニカルSEO実施後のアクセス数の変化は、Google AnalyticsやGoogle Search Consoleを使うことで数値化し、定量分析が可能です。施策に対する数字の推移を確認し、成功していればサイト内のその他のページに横展開させ、さらなるアクセス数獲得を目指します。

テクニカルSEOには複数の施策があります。1つ試してアクセス数に変化がない場合、結果が出るまで他の施策を試してみましょう。

テクニカルSEOによるデメリット

テクニカルSEOそのもののデメリットではありません。しかし、自社サイト運営に利用しているサーバーやCMSによっては、テクニカルSEOが実施できないことがあります。

テクニカルSEOに取り組むため、利用しているサーバーを調べると現状のままでは施策を試すことができず、だからといって環境を変えるとなると費用やリソースが必要になることもあります。


例えば、利用しているサーバーを変えるとなると、ドメインを移管する必要があります。ドメイン移管をする場合、元のサーバーにあるデータのバックアップや、新しいサーバーの契約、新しい環境でのサイトの動作確認など、手間や費用とサーバーに関する基礎知識を持つスタッフが必要です。

また、サイトをスタートさせたばかりでコンテンツの数が少なかったり、コンテンツの質が低いとテクニカルSEOの効果を得にくいです。

焦らず、着実にユーザーに役立つ質の高いコンテンツ作成を続けながら、テクニカルSEOの効果が得られるサイト作りを進めていきましょう。

テクニカルSEOの種類

テクニカルSEOは、基本的に以下2つの種類があります。

テクニカルSEOの種類
  1. 検索エンジンのクローラー向け施策
  2. データベースへのインデックス向け施策

それぞれの内容についてご紹介します。

クローラー向けの施策

検索エンジンは、Webサイトの情報収集のため、クローラーと呼ばれるロボットをインターネット上で巡回させています。

このクローラーが自社サイトに回ってきたときに、サイト内を巡回しやすいよう環境を整えるために実施するのが、クローラー向けの施策です。クローラーが読み込む必要のないページや、情報収集させたくないページを管理し、サイト内でインデックスしてもらいたい情報を集めやすい状態に整えます。

インデックス向けの施策

クローラーが収集した情報は、検索エンジンのデータベースに持ち帰られ、インデックス(収納)されます。

インデックス施策には、ページの情報を正しく理解してもらうことで検索順位を上場させたり、インデックスさせたくないページを伝えたりするなどの施策があります。

クローラー向け施策、およびインデックス向け施策、それぞれの具体的な対策について、詳しく解説します。

クローラー向けの4つのテクニカルSEO施策

クローラーはサイトを訪れた際に、必ずしも全てのページを回りません。サイト訪問中に巡回できるページ数には上限があるため、クローラーがより効率よくサイト内を巡回し、サイト内の情報を収集しやすいように、環境を整える必要があります。

クローラビリティを改善するためのテクニカルSEO施策を以下、4つご紹介します。

URLの正規化

URLの正規化とは、サイト内にある内容が重複したページを、1つのURLに集中させることを言います。

例えば、ECサイトでは同じ商品の色違いを紹介するページが作成されることがあります。クローラーはそれぞれのページに与えられるURLそれぞれを巡回するため、内容が同じで色の紹介だけが違うページの情報収集をさせるのは無駄になります。

Googleはこのような重複ページがある場合、アルゴリズムを元にその中から最適なもののみを選び、検索結果に表示させるため、その他のページが表示されにくくなります。

また、重複ページがそれぞれ個別に外部サイトからリンクを受けていると、その評価も個別なものになります。

サイト内に重複ページがある場合、canonicalタグを使用してURLの正規化を行い、1つのURLに評価を集中させましょう。URLの正規化を行えば、各ページそれぞれが受けているリンクによる評価を指定したページに集中させられるため、検索順位を上げられます。

さらに、クローラーは指定していないその他のページを巡回せずに済むことから、クローラビリティ改善にもつながります。

その他にも、重複ページには意図的ではないながら自社や自社商材の紹介に関する部分が似通ってしまうことがあります。この場合、コピーコンテンツとして判断されてしまい、ペナルティを受ける可能性があるため、URLの正規化を行うことでリスクを減らしておきましょう。

階層構造の最適化

階層構造の最適化とは、サイト内にあるページをカテゴリごとに階層に分け、ページ同士の関係を分かりやすくすることです。

階層化を行い、トップページからすべてのページへ3クリック以内に移動できるようにすると、クローラーはサイト内を巡回しやすくなります。階層構造の最適化は、クローラーだけでなくサイトを訪れたユーザーも目的のページを見つけやすくなります。

簡単で分かりやすいカテゴリ分けを行うことでクローラビリティだけでなく、ユーザビリティも改善させましょう。

クロールエラーの対策

クロールエラーとは、クローラーがサイト内をうまく巡回できない場合に出てくるエラーです。クロールエラーが発生している場合、クローラーが巡回しにくくなります。また、サイトを訪れたユーザーも迷子になりやすく、離脱につながります。

クロールエラーは、Google Search Consoleで確認できます。せっかく作成した新しいページや、既存ページをリライトした情報が検索エンジンに伝わらなくなる可能性があるため、クロールエラーが見つかったらそれぞれ対処しましょう。

例えば、内部リンクを設定した際にリンク先ページのURLの記述を間違っているとリンク切れによるクロールエラーが起こります。内部リンク設置時のURL記述は間違いなく行い、ページ公開前に再確認をすることで、リンク切れを防ぎましょう。

ページの表示速度を改善する

ページ内の画像や動画のデータが重たい場合や、javascriptの読み込みに時間がかかっているなどの理由でページの表示速度が遅いと、ユーザーはページが開く前に離脱してしまう可能性が高くなります。

PageSpeed Insightsを使い、ページ表示速度が快適な状態になっているか、確認しましょう。表示速度に問題がある場合は、改善に必要なポイントも表示してくれるので、内容を確認し、対策しましょう。

またページ内に設置する画像や動画のサイズにはルールを設けて、極力軽いデータにしておくことをおすすめします。

XMLサイトマップを作成する

XMLサイトマップとは、クローラー向けに作成するサイト内のページ構造を伝えるためのファイルです。

サイト内のどこに、どのようなページがあるかを確認できるため、クローラーが巡回しやすくなります。XMLサイトマップは、サイト内のコンテンツ数が増え、規模が大きくなった際のクローラビリティ向上に効果があります。

パンくずリストを設置する

パンくずリストとは、Webサイトの階層をリスト化し、開いているページの位置を示すものです。
主にページ上部に表示されているものが多く、ユーザーは自分がサイト内のどの階層のページいるかが確認できます。

パンくずリストが設定されていれば、クローラーがサイト内を回遊する際のヒントになり、クローラビリティの向上が見込めます。

テクニカルSEOの1つとして、パンくずリストが未設定の場合は、導入を検討しましょう。

robots.txtを設定する

robots.txtとは、クローラーが自社サイトを巡回する際、ページのアクセスをコントロールするためのテキストファイルです。

クローラーの種類と、アクセスさせたくないディレクトリやページを指定することで自社サイト内の回遊を制限します。

robots.txtファイルを使えば、上位表示させる必要のないページへのクローリングを減らし、検索エンジンに評価してもらいたいページの情報収集を促すことが出来ます。

robots.txtを使う場合は注意点もあるので以下のページで確認しておきましょう。

インデックス向けの4つのテクニカルSEO施策

クローラーが収集してきた情報を検索エンジンのデータベースにインデックスする際に有効な施策は、以下の4つです。

正しくHTMLタグを設定する

対策キーワードを分析し、ユーザーの検索意図を把握した上で求められている情報を掲載したコンテンツでも、タイトルや見出しなどのHTMLタグが正しく設定されていなければ、検索エンジンは情報を正しくインデックスできません。

タイトルやH(Heading、見出しの略)タグはもちろん、検索結果画面で表示されるページ概要となるmeta description(メタディスクリプション)タグや、画像を挿入する際のaltタグ(環境によって画像が出ない場合に代替表示されるテキスト)の設定を行いましょう。

HTMLの記述が正しいかを確認するなら、W3C HTMLチェッカーが便利です。作成したページのURLを入力すると、HTMLの記述方法に間違いがないかを確認できるので、新しくページを公開する際は必ずチェックしておきましょう。

重複コンテンツの見直し

URLの正規化部分でも紹介しましたが、サイト内に重複コンテンツがあるかを確認し、もし見つけたら内容を見直してみましょう。

意図的ではないにせよ、自社サイト内や他社サイト内に重複した内容があるとコピーコンテンツと判断されてしまい、インデックスされにくくなります。

重複コンテンツの内容を確認し、共起語などを使って表現を変えられるものがあれば変更します。それが難しい場合にはcanonicalタグを使い、URLの正規化を行いペナルティを受けるリスクを回避しておきましょう。

重複コンテンツで内容が薄く、低品質なページは削除するのも1つのテクニカルSEO施策です。詳しくは別ページにまとめているので以下にてご確認ください。

内部リンクの最適化によるテクニカルSEO対策

自社サイト内にコンテンツが増えてきたら、内部リンクを最適化することでインデックス向けのテクニカルSEO施策を行えます。

新しいコンテンツを作成したら、関連性のあるページと内部リンクで結び、クローラーがリンクを辿ってサイト内を広く回遊できるよう環境を整えましょう。

内部リンクについては以下のページで詳しく解説しているので、ご参照ください。

画像や動画を適切に設定する

コンテンツを作成する際、画像や動画を挿入する場合は必ずaltタグを設置しましょう。

画像や動画がインターネット環境などにより表示されない場合、altタグに記述したテキストが表示されます。インデックスの際、何についての画像かを知らせるだけでなく、対策キーワードや関連キーワードを含めることでSEO効果も期待できます。

altタグには必ず画像がどのようなものか分かりやすい文章を入れるようにしましょう。

また、画像や動画のサイズが大きすぎると、ページの容量が増えてしまいます。ページを開くまでの時間が遅くなる原因になるため、適切なサイズに変更しておきましょう。

テクニカルSEOの進め方とコツ

テクニカルSEOを進める上で抑えておくべきコツは、クローラー向けの対策からスタートさせることです。

サイトを訪れたクローラーが、出来るだけ多くのページを快適に巡回できるように、クローラー向け施策に注力することをおすすめします。そもそも、クローラーが自社サイトを訪れ、各ページを巡回し、情報収集しなければ検索エンジンのデータベースにインデックスされることはありません。

その後、各ページがインデックスされたか否かを確認し、インデックスされないページがあれば、インデックスに関するテクニカルSEOを実施して検索エンジンにインデックスしてもらえるよう改善しましょう。

ユーザーに役立つ、高品質なコンテンツを作成しても、インデックスされなければ検索結果画面には表示されません。コンテンツSEOと同じように、テクニカルSEOにも注力し、自社サイト内のコンテンツをGoogleにインデックスさせることは、SEO対策の重要なポイントです。

テクニカルSEO対策におすすめのツール4選

ここからは、テクニカルSEOを進める上で役に立つ、便利なツールをご紹介します。

Google Search Console

Google Search Consoleトップ画面

Google Search Consoleは、自社サイトおよび各ページがGoogleのデータベースに無事にインデックスされているか否かを確認できる無料ツールです。

Google Search Consoleを使うと、新しいコンテンツを作成した際や、既存コンテンツのリライト際にクローリングをリクエストできます。その他、クローラー向け施策の1つ、作成したXMLサイトマップをアップロードすることも可能です。

テクニカルSEOをより効率的に進めるためにも、Google Search Consoleの使い方をマスターしておきましょう。

Ahrefs

ahrefsでドメインパワーをチェック

Ahrefsは、Webサイトを監査し、技術的な問題がないかを確認できる有料のSEOツールです。

重複ページやリンクの貼られていないページ、表示に時間がかかるページなどを見つけることで、URL正規化や内部リンク最適化などのテクニカルSEO施策を打つことができます。

TACTSEO

tactseoトップ画面

TACT SEOは、SEO対策を進める上でサイト内にどのような課題があるかを見つけられる有料のSEOツールです。

TACT SEOにはサイト診断機能がついており、サイト内をクロールしてSEO上の問題がないかチェックできます。制限回数はあるものの、無料お試しプランでもサイト診断機能は利用可能です。

Lumar(旧DeepCrawl)

Lumar(旧DeepCrawl)トップ画面

Lumar(旧DeepCrawl)は、「業界で最速を誇るクローラー」がサイトを周り、上位表示に必要な改善点を提案する有料のテクニカルSEOツールです。

独自のクローラーがサイト内で見つけた問題点を提起、優先順位をつけてくれます。取り組むべきタスクにチームで取り組み、一括管理できます。

まとめ

テクニカルSEOは、検索エンジン最適化を進める上で、Googleのガイドラインに何をすれば良いのか明記されているため、取り組みやすいです。施策を打った後も、Google AnalyticsやGoogle Search Consoleを使い数値で確認できるため、効果測定がしやすい施策でもあります。

コンテンツ数が多く、サイト規模が大きいと、テクニカルSEOの効果は出やすくなります。すでにSEO対策をあれこれ試してみたものの、成果につながらないとお悩みなら、テクニカルSEOに注力してみましょう。