コンテンツマーケティングというと、オウンドメディアやブログ、SNSなどでコンテンツを発信すれば、効果が出るものだと思われるかもしれません。しかし、ロジカルな戦略が構築できていなければ、コンテンツマーケティングは失敗する可能性の方が高いです。
このページでは、コンテンツマーケティングの戦略とは何か?といった基礎的な情報から、具体的な戦略の立て方を説明します。加えて、コンテンツマーケティングの成功事例を『戦略』という観点からご紹介します。
「コンテンツマーケティングを自社でも始めたい」
「現状、施策を打っているが効果が出てない」
これらのお悩みをお持ちのWeb担当者様に是非、参考にしていただければと思います。
この記事でわかること [開く]
コンテンツマーケティングの戦略とは?
具体的にコンテンツマーケティングの戦略の立て方を見ていく前に、まずはコンテンツマーケティングにおける「戦略」とは何か?について、理解しておく必要があります。
コンテンツマーケティングにおける戦略とは、自社でコンテンツマーケティングを展開した結果、何を成し遂げたいか、つまり「最終的なビジネスゴール(KGI)を設定し、KGIを達成するための手段を明確化する」ことです。
コンテンツマーケティングのビジネスゴール(KGI)は、「多くのユーザーを集客すること」と思われがちですが、ビジネスゴールは企業によってさまざまです。
- 売上の拡大
- 利益率の向上(ROAS・ROI)
- リード獲得数の最大化
- ユーザーのリピート率の向上
- 商品やブランドの認知力の強化
- 企業イメージの向上(ブランディング)
- 採用力の強化など
例えば、コンテンツマーケティングを取り入れることで、自社の商品・サービスに関心のある見込み客をオンライン上で獲得し、売上を増やすことが可能です。
今まで「リスティング広告」や「ディスプレイ広告」といった運用型広告でユーザーを獲得していたのであれば、広告費をかけなくても見込み客を集客できるようになります。
広告費を抑え、売上を増やすことができるので、結果的に売上増加と「ROAS」「ROI」といった数値の改善に繋がり、利益率の拡大を期待できます。
まずは現状で自社にとって何が課題となっているのか、それを解決するためにどのようにコンテンツマーケティングを活用していくのかといったストーリーを決めていくことが、コンテンツマーケティングの戦略の根幹になります。
なぜコンテンツマーケティングの戦略構築が必要なのか?
そもそも、なぜコンテンツマーケティングの戦略構築が必要なのでしょうか?それは、マーケティングに投下できる経営資源(ヒト・モノ・金・時間)が、限られているからです。
コンテンツマーケティングに興味を持っている企業の担当者とお話をさせて頂くと、オウンドメディアを立ち上げたい・YouTube動画も制作したい・メルマガ配信も行いたいなど、様々な施策を一気に展開したいとご要望を受けるケースが多々あります。
しかし、オウンドメディアを立ち上げて継続的に運用していくだけでも、多くのリソースや時間が必要になってきます。
そのため、あらかじめ最終的なビジネスゴール(何を成し遂げたいか)を決め、ビジネスゴールを達成するためには、どの施策にどれくらいのリソースを配分すれば良いかという「戦略」を明確に決めておく必要があります。
コンテンツマーケティングの戦略構築がないまま経営資源を投下しても、最終的なゴールを達成する前に運用が止まってしまい、最終的な事業の課題解決に繋がらないケースがほとんどです。
コンテンツマーケティング戦略の立て方(5ステップ)
ここからは、具体的にコンテンツマーケティングの戦略の立て方について、ステップごとに解説していきます。
ステップ1|現状のマーケティング施策の課題と目標設定
まずは、自社で行っているマーケティング施策のどこに課題があるのかを洗い出します。
代表的な課題としては、以下のようなものが挙げられます。
- 広告に投資しているが、思ったように顧客獲得できていない
- CPA(コンバージョン単価)が高く、広告予算が膨らんでいる
- 顧客獲得はできているが、リピートしない / 購入単価が低い(特にECサイトに多い傾向)など
マーケティング施策の課題が明確になったら、次はビジネスゴール(目的)を設定します。
- 顧客獲得ができていないのであれば「顧客獲得数の最大化」
- 広告予算が膨らんでいるのであれば「ROIやROASを高める」
- リピートしない・顧客単価が低いのであれば「ユーザーの月の再訪問数を増やす」など
自社で行っているマーケティング施策の問題点をピンポイントでクリアできるビジネスゴールを立てましょう。
ステップ2|ペルソナを設定する
マーケティング施策の課題とビジネスゴールの設定が終わったら、次は「ペルソナ設定」をします。
自社の商品・サービスに関心のあるユーザーのペルソナ像を明確にすることで、次のようなメリットがあります。
- ユーザーの気持ちを深く理解でき「どのようなコンテンツをどんな方法で発信すればユーザーに届くのか?」が明確になる
- 自社の商品・サービスに関心のあるユーザーを集客できるので、結果的に「顧客獲得数の最大化」「ROI・ROASの向上」「リピート率の増加」に繋がる
- ユーザーが利用している情報収集方法(Google検索・Yahoo!検索・SNS・YouTubeなど)が明確になるので、予算配分に無駄がなくなるなど
ペルソナの設定をしたい方は、以下の「ペルソナ設定表」を参考にペルソナを設定してみてください。
既に自社の商品・サービスを購入した経験のあるお客様やリピートした経験のあるお客様のペルソナ像を参考にするのもおすすめです。
- 年齢
- 性別
- 出身地
- 居住地
- ステータス(学生or社会人など)
- 収入
- 家族構成
- 利用デバイス
- 学歴など
ステップ3|コンテンツマーケティングの手法を決定する
ペルソナ設定が完了したら、次に「コンテンツマーケティングの手法」を決めます。「ビジネスゴールを達成するために、どんな手法を使ってユーザーにアプローチすればいいのか?」を明確にできます。
詳しくは、イギリスのクリエイティブエィジェンシーのSuperdreamが作成した「コンテンツマーケティングによるカスタマージャーニーメトリクス」を参考にしてください。
縦軸は上に行けば行くほど情緒的な手法、下に行けば行くほど論理的な手法が並んでいます。横軸は左から右に向かって「認知」⇒「購買」に繋がる手法が並んでいます。
まずは、自社の商品・サービスに関心のあるユーザーが「情緒的なアプローチを好むのか?」「論理的なアプローチを好むのか?」を明確にしましょう。
その上で、自社の商品・サービスを「認知しているユーザー」には左側の手法を。「購買意欲が高いユーザー」には右側の手法を使ってアプローチしましょう。
手法は1つに絞るのではなく、ユーザーの現在地に合わせて使い分けるイメージです。
ステップ4|カスタマージャーニーを設計する
カスタマージャーニーとは、ペルソナの行動・思考・感情の現在地に合わせて、どのような手法でペルソナにアプローチすればいいのか?を明確にした図です。
ペルソナが自社の商品・サービスを「認知⇒検討⇒購入⇒利用⇒リピート」していく一連の流れを俯瞰しながらビジネスゴールを達成できます。
現在SNSやネットが普及し情報が複雑化しています。自社の商品・サービスに関心のあるユーザーの現在地が把握しづらく、闇雲に広告などでアプローチしても売上に結び付きづらくなりました。
だからこそカスタマージャーニーを作成して、常にユーザーの現在地に寄り添えるサービスができるよう心掛けていく必要があります。
ステップ5|施策を実行し、検証と改善を行う
カスタマージャーニーを作成したら、施策を実行し検証と改善を行います。あらかじめペルソナを明確にしてカスタマージャーニーを作成したとしても、いきなり思い通りに進んでいくことは少ないです。
常に検証と改善を繰り返しながら軌道修正していく必要があります。もしかしたら検証と改善を繰り返した結果、ペルソナやカスタマージャーニーを再設定する必要が出てくるかもしれません。
地道な作業が続きますが、常にユーザーの現在地に寄り添いながらコンテンツマーケティングの施策を打っていくことが大事です。そうすれば徐々にユーザーとの接点が生まれ始めます。ユーザーとのコミュニケーションが生まれ、よりユーザーの現在地に寄り添った施策を打てるようになります。
そうしている間にビジネスゴールの達成も実現できます。
コンテンツマーケティング成功事例を戦略の観点から紹介
コンテンツマーケティングの戦略を立てる手順はお分かり頂けましたでしょうか。
ここからは、具体的に戦略を理解していただけるようにコンテンツマーケティングの成功事例を『戦略』という観点からご紹介致します。
ライオン株式会社が運営する生活情報サイト「Lidea」
引用元:https://lidea.today
「Lidea」は、生活の知恵的ヒントやプチ健康術、暮らしの豆知識などを配信する生活情報系のオウンドメディアになります。
提供コンテンツのジャンルは、暮らしに役立つ「洗濯方法、お掃除の知恵、台所の使い方など」です。
Lideaは従来のオウンドメディアと同様、PV数、UU数、会員登録者数、リピート数などの数値も管理しておりますが、その真の目的は、オウンドメディアから顧客の隠れたニーズを店頭販売の仕方やマーケティング施策の改善につなげること。
例えば、かつては中高年層の悩みだと思われていた『歯槽膿漏』が、実は若い女性からニーズがあり、情報検索されていることがわかったといいます。
このように、市場調査ではわからなかったことも、データをためられるオウンドメディアを使うことによって、データから生のインサイトが見えてくるのです。
Lideaでは、商品やマーケティング施策の改善につなげるという目的のもと、情報を提供し、商品の情報はあまり目立たせないというコンテンツマーケティングの戦略にたどり着き、見事に成功を収めています。
サイボウズ式の戦略事例
引用元:https://cybozushiki.cybozu.co.jp/
サイボウズ式は、「働き方」に注力したビジネスパーソンのための役立ち情報が満載のオウンドメディアです。
サイボウズの商品といえば、BtoB向けのグループウェア。しかし、サイボウズ式の中には、グループウェアを宣伝している広告要素は全く見当たりません。
これは、サイボウズ式がグループウェアの販売ではなく、会社のブランディングを目的としたメディア戦略を取ったためです。
短期的な販売よりも、長期的な関係を顧客と築くためのコンテンツマーケティングになります。
つまり、読んでもらったユーザーにファンになってもらい、いざグループウェアの導入を検討した際にサイボウズが思い浮かんでもらうことがサイボウズ式の戦略なのです。
まとめ
本記事では、コンテンツマーケティングの戦略の立て方や成功事例について解説をしてきました。
コンテンツマーケティングの戦略構築は、ビジネスゴールを達成するためには欠かせない重要なプロセスです。自社で現状どんな課題を抱え、コンテンツマーケティングでどのように解決していくかを明確にしましょう。
- 今からコンテンツマーケティングを展開したい
- すでにコンテンツマーケティングを展開しているが、思うような効果が出ないので改善したい
これらのお悩みをお持ちなら、今一度コンテンツマーケティングの戦略の見直しを進めてみると良いでしょう。