ユーザビリティとは、Webサイトやアプリを利用する際の「使いやすさ」を指します。
Googleは、検索順位を決める要素にユーザビリティを含めており、SEO対策を進める上で重要性が高くなっています。
ユーザビリティを高めることで、ユーザー満足度の向上や離脱率の低下が期待でき、検索順位を高めることにつながります。
このページでは、国際標準化機構(ISO)が定めるユーザビリティの定義をはじめ、アクセシビリティやUI/UXとの違いを解説します。
配色の工夫やデザインのシンプル化、操作性の向上、ページ表示速度の改善、内部リンクの設置など、ユーザビリティ改善に向けた実践的な対策を紹介します。
分かりやすく、対策しやすい内容をまとめているので、ぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
ユーザビリティとは
ユーザビリティとは、「usability」という英単語に由来し、「使いやすさ」を意味します。
Webサイトやアプリケーションにおいて、ユーザーが目的をスムーズに達成できるかどうかは重要なポイントです。
例えば、ECサイトであれば、商品検索や購入手続きが直感的に行え、ストレスなく注文を完了できることが求められます。
問い合わせフォームなら、入力項目がわかりやすく、迷わず送信できることが理想的です。
アプリケーションでは、ボタンの配置や画面遷移が論理的で、操作が簡単であることがユーザビリティの高さにつながります。また、動作がスムーズで、必要な情報がすぐに見つかることも重要な要素です。
これらの条件を満たすWebサイトやアプリは「ユーザビリティが高い」と評価され、結果としてユーザーの満足度向上や離脱率の低下につながります。
国際標準化機構(ISO)のユーザビリティの定義
ユーザビリティは、国際標準化機構(International Organization for Standardization)のISO9241 によって、以下のように定義されています。
usability extent to which a system, product or service can be used by specified users to achieve specified goals with effectiveness, efficiency and satisfaction in a specified context of use.
「特定のユーザが特定の利用状況において,システム,製品又はサービスを利用する際に、効果、効率及び満足を伴って特定の目標を達成する度合い」
(日本産業企画(JIS)による日本語訳)
このISO9241では、ユーザビリティにおいて「有効性」、「効率性」および「満足度」が重要な要素としています。
有効性は「正しく完全に目標達成ができるか」を指し、効率性は「時間や労力、費用や材料をかけずに目標達成できるか」を意味します。そして、「満足度」は「身体的、認知的、それから思考的な観点から期待通りの結果を得られたか」を測定するものです。
また、Webユーザビリティを研究するヤコブ・ニールセン氏は、上記の「効率性」や「満足度」の他に、「学習しやすさ」、「記憶しやすさ」と「エラー発生率」を加えています。
- Efficiency: Once users have learned the design, how quickly can they perform tasks?
効率性:ユーザーがデザインを学んだ後、タスクをどれだけ早く実行できるか?- Satisfaction: How pleasant is it to use the design?
満足度:どれだけ快適に使用できるデザインか?
- Learnability: How easy is it for users to accomplish basic tasks the first time they encounter the design?
学習しやすさ:ユーザーがデザインに初めて見た時、どれだけ簡単に基本的なタスクを達成できるか?- Memorability: When users return to the design after a period of not using it, how easily can they reestablish proficiency?
記憶しやすさ:ユーザーが一定期間使用していなかった後、デザインを再度見てどれだけ簡単に習熟度を取り戻せるか?- Errors: How many errors do users make, how severe are these errors, and how easily can they recover from the errors?
エラー発生率:ユーザーがどれだけのエラーを作り、これらのエラーがどの程度深刻か、またユーザーがどれだけ簡単にそのエラーを修復できるか?
Webサイトで言えば、学習しやすさは「Webサイトを初めて見たユーザーが、どれだけ簡単に内容を把握しやすいか」。また、記憶しやすさは「一度Webサイトを見た後に時間をあけて再度、そのWebサイトを見てどれだけ印象に残っているか」と解釈することができます。
そして、エラー発生率は「画像のズレやリンク切れなどの問題が起こる頻度と深刻さ、それからその解決にかかるまでの時間がどのくらいかかるか」になります。
これらをまとめると、ユーザビリティとは「Webサイトにアクセスしたユーザーが簡単に構造を理解でき、導線を辿ることで問題なく欲しい情報を得られる(満足する)こと」だと言えます。
ユーザビリティとアクセシビリティやUI/UXとの違い
ユーザビリティが使いやすさ」であるのに対し、似ている言葉であるアクセシビリティは「誰もが利用できること」を重視し、UI/UXはデザインや体験の質に関わります。
ここででは、ユーザビリティとアクセシビリティとの違い、UI/UXとの関係性について詳しく解説します。
アクセシビリティとユーザビリティの違い
ユーザビリティとアクセシビリティは、どちらも「使いやすさ」に関わる概念ですが、対象と目的が異なります。
ユーザビリティは特定のターゲットユーザーにとっての操作性や利便性を向上させることを目的とし、Webサイトやアプリが直感的に使いやすく、スムーズに目的を達成できる状態を指します。
一方、アクセシビリティは、障がいの有無や年齢、環境に関係なく、より多くの人が利用できるようにすることを目的としています。
例えば、視覚障がい者のために音声読み上げ機能を追加する、色覚異常のユーザーでも識別しやすい配色を採用するなどの工夫が求められます。
重要なのは、ユーザビリティを高めつつアクセシビリティも向上させることです。これにより、誰もが快適に利用できるWebサイトとなり、結果としてより多くのユーザーを獲得することにつながります。
UI/UXとユーザービリティの違い
UI/UXとユーザビリティは密接に関係しているものの、それぞれ異なる概念です。
UI(ユーザーインターフェース)は、Webサイトやアプリの画面デザインやボタン、メニュー、フォームなど、ユーザーが直接操作する要素を指します。UIの設計が優れていれば、直感的に使いやすく、迷わず操作できるため、ユーザビリティの向上につながります。
一方、UX(ユーザーエクスペリエンス)は、サイトやアプリを利用した際に得られる体験全体を指します。例えば、商品をスムーズに購入できた、操作が快適だったと感じることが良いUXにあたります。
ユーザビリティは、UIの設計を通じてUXの一部を構成し、ユーザーにとっての使いやすさを確保する重要な要素となります。
そのため、良いUIがあればユーザビリティが向上し、結果としてUXも改善されるという関係性があります。
webサイトにおけるユーザビリティの重要性
ユーザビリティの重要性は、Webサイトの使いやすさがユーザーの満足度や成果に直結する点にあります。
ユーザビリティが高いWebサイトは、ユーザーが求める情報をすぐに見つけられ、スムーズに操作できるため、ストレスを感じることなく利用できます。その結果、ユーザーの満足度が向上し、再訪率やコンバージョン率の向上につながります。
例えば、ECサイトの場合、商品検索が簡単で購入手続きがスムーズなほど、購入完了まで進むユーザーが増えます。
反対に、ユーザビリティが低いサイトは、ボタンの配置が分かりにくい、動作が遅い、必要な情報が見つからないといった問題が発生し、ユーザーが途中で離脱しやすくなります。また、サービスの魅力が伝わらなければ、コンバージョン率の低下につながります。
これらの理由から、Webサイトの目的を達成するには、ユーザー中心の設計を意識し、継続的なユーザビリティの改善を行うことが不可欠です。
ユーザビリティの改善方法
ユーザビリティを向上させることで、Webサイトの使いやすさが大きく改善され、ユーザーの満足度やコンバージョン率の向上につながります。
ここでは、視認性を高める配色の工夫や、直感的に操作できるデザインの最適化、表示速度の改善など、具体的なユーザビリティの改善方法を5つ、紹介します。
配色を変更する
ユーザビリティの改善方法、1つ目は配色の変更です。
配色はWebサイトの視認性や印象を大きく左右し、ユーザビリティの向上に欠かせない要素です。適切な配色を選ぶことで、情報が伝わりやすくなり、ユーザーがスムーズに操作できます。
例えば、テキストと背景のコントラストが低いと、文字が読みにくくなり、情報の理解が困難になります。そのため、文字色と背景色のコントラストを適切に設定し、視認性を高めることが重要です。
また、ボタンやリンクの色を工夫することで、ユーザーが重要なアクションを直感的に判断しやすくなります。例えば、コールトゥアクション(CTA)ボタンには目立つ色を使い、視線を自然に誘導すると効果的です。
ただし、過度な色使いや派手な組み合わせは、かえって視認性を損ね、ユーザーにストレスを与える可能性があります。そのため、サイト全体のバランスを考慮し、シンプルで統一感のある配色を心がけることが大切です。
配色の変更を行う際は、ユーザーテストやA/Bテストを活用し、ターゲット層に最適なデザインを見極めることが求められます。
シンプルでわかりやすいデザインにする
2つ目の改善方法は、シンプルかつわかりやすいデザインにすることです。
まず、レイアウトを整理し、不要な装飾や複雑なデザインを避けることで、視線の誘導が自然になり、目的の情報に素早くアクセスできます。例えば、ナビゲーションメニューを適切に整理し、カテゴリを明確に分けることで、ユーザーが迷わずに目的のページへ移動できるようになります。
また、フォントの選び方も重要なポイントです。視認性の高いフォントを使用し、適切なサイズや行間を設定することで、長文でも負担なく読み進められるようになります。
デザインを考える際、個性的なレイアウトや派手な装飾を加えたくなることもありますが、使いにくさが増すとユーザーに敬遠される可能性があります。そのため、視覚的な魅力だけでなく、ユーザーの利便性を最優先し、シンプルで直感的に理解できるデザインを採用することが、ユーザビリティの向上につながります。
操作方法を簡単にして、操作性を良くする
3つ目は、操作方法を簡単なものにして、操作性を高めることです。
操作性の良いWebサイトやアプリを設計するためには、誰がどのような状況で使用するのかを考慮することが重要です。例えば、幅広い年齢層が利用するECサイトでは、同じ商品の色違いやサイズ違いを簡単に切り替えられる機能を設けることで、ユーザーがスムーズに選択できるようになります。
また、成人男性の利用が多いサイトでは、ボタンを大きめに設計し、指が太くても押しやすいデザインにすることで誤操作を防げます。
さらに、入力補助機能を活用することも効果的です。例えば、郵便番号を入力すると自動で市町村名が入力される機能や、入力ミスをリアルタイムで知らせるエラーメッセージの表示などは、ユーザーの負担を軽減し、スムーズな操作を実現します。
このように、実際の使用シーンを具体的にイメージし、ユーザーの視点に立った設計を行うことで、操作性の向上につながります。
ページの表示速度や動作を軽くする
4つ目は、ページの表示速度や動作を軽くすることです。
Googleの調査によると、ページの表示速度が1秒から3秒になると離脱率が32%になり、1秒から10秒になると123%が離脱すると判明しています。
つまり、読み込みに時間がかかると、ユーザーはストレスを感じ、ページを離脱する可能性が高くなります。
特に、画像や動画の読み込みが遅いと、情報がなかなか表示されず、快適な閲覧が妨げられます。そのため、ファイルサイズを最小限に抑え、画像や動画を圧縮・最適化することで、ページの表示速度を改善することが大切です。
また、不要なHTMLやCSS、JavaScriptを削除することで、サイト全体の動作を軽くできます。さらに、外部スクリプトの遅延読み込みを設定すれば、必要な要素を優先的に表示でき、ページの応答速度が向上します。
これらの対策を講じることで、ユーザーにとって快適な閲覧環境を提供でき、滞在時間の延長やコンバージョン率の向上にもつながります。
スムーズに動作するWebサイトは、ユーザーにとって使いやすく、信頼性の高いものとなるため、表示速度の最適化を常に意識することが重要です。
ページが開くまでの時間を測ったり、改善したりするにはPagespeed Insightsが役立ちます。使い方などを『PageSpeed Insights(ページスピードインサイト)の使い方と表示速度の改善方法』にまとめていますので、ぜひご参照ください。
パンくずリストや内部リンクを設置する
5つ目の改善ポイントは、パンくずリストや内部リンクの設置です。
パンくずリストは、ユーザーに現在のページの位置を示し、Webサイト内の移動を容易にする役割があります。これにより、ユーザーはWebサイトの階層構造を直感的に理解し、目的のページへ迷わず移動できるようになります。
また、内部リンクも同様に、Webサイト内の回遊性を高める重要な要素です。適切な内部リンクを設置することで、関連するコンテンツへ簡単にアクセスでき、ユーザーの利便性が向上します。例えば、記事内で専門用語や関連キーワードが出てきた際に、その詳細を解説するページへリンクを設置すれば、ユーザーの疑問を解消し、Webサイト内での滞在時間を延ばすことができます。
一方で、パンくずリストや内部リンクが適切に配置されていない場合、ユーザーは必要な情報にたどり着けず、サイトから離脱する可能性が高まります。ユーザビリティを向上させるためにも、分かりやすいナビゲーション設計を意識することが重要です。
まとめ
ユーザビリティは、Webサイトの使いやすさを左右し、ユーザーの満足度やコンバージョン率に大きな影響を与えます。求める情報がすぐに見つかり、直感的に操作できるWebサイトは、ストレスなく利用できるため、再訪率の向上にもつながります。
一方で、操作性が悪く使いにくいサイトは、ユーザーの離脱を招き、成果を上げにくくなります。もし、自社サイトの滞在時間が短い、読了率が低いと感じる場合は、ユーザビリティの改善が必要かもしれません。
配色の見直しやナビゲーションの整理、表示速度の最適化など、できることから改善を始めましょう。
ユーザーにとって快適なWebサイトを作ることで、満足度を高め、成果の向上につなげることができます。
ユーザビリティ改善の第一歩として、アクセス解析を行う必要があります。その方法など、詳しい情報を以下のページにまとめていますので、お役立てください。