セマンティック検索は、テキスト(文字)をただの文字列として判断するのではなく、会話のような文章でも、言葉の意味からユーザーが何を知りたいかを汲み取り、最適な回答を表示させる方法を指します。
SEO対策において、対策キーワードの使用率や関連キーワードの使用などが大切ですが、セマンティック検索の登場によってキーワードの比率よりもユーザーの検索意図を把握し、記事内に適切な情報を分かりやすく掲載することが、より重要になっています。
このページでは、セマンティック検索とはどのようなものか、解説します。
セマンティック検索を利用した構造化データのマークアップについても解説しているので、自社サイトのSEO対策にぜひ、お役立てください。
この記事でわかること
セマンティック検索とは
冒頭でもお伝えしましたが、「セマンティック」(日本で「意味」を表します)検索は、検索キーワードを文字データとして判断するのではなく、会話などのあいまいな文章からでも、言葉の意味を理解し、ユーザーの検索意図を汲み取ることで、適切な検索結果を表示させる技術です。
このセマンティック検索という技術によって、それまでインターネット上にインデックスされるコンテンツの情報を、単なるデータとしてではなく、それぞれ何を意味する言葉かという情報を加え、意味ごとにカテゴリー分けするようになり、ユーザーの検索意図により近いページを表示させられるようになりました。
例えば、ユーザーが検索エンジンに「SEOツール」というキーワードを入力し、情報を集める場合、セマンティック検索でなければ単純に「SEOツール」という文字列を元に、インデックスされたコンテンツから「SEOツール」および関連するキーワードをデータとして含むページを選びます。その中から検索エンジンのアルゴリズムに基づいてランキングを決め、上位から順番に検索結果として表示します。
一方、セマンティック検索の場合は「SEOツール」とは何を意味するかを理解し、ユーザーの検索意図がSEO対策を進めるために役立つアプリやソフトについて調べていることを認識します。インデックスされたデータの中から、SEOで上位表示させるためのコツや、ユーザーが快適・簡単に利用できるツールについて解説や紹介しているコンテンツを選び、検索結果に反映させます。
セマンティック検索が採用されたことで、検索エンジンが選出する検索結果は、よりユーザーが求める情報に近づきました。
セマンティック検索の元になった概念
セマンティック検索には、その元となるセマンティックWebという概念があります。
W3C(World Wide Web)の考案者であるティム・バーナーズ・リー氏の発案によるセマンティックWebは、インターネット上のWebぺージに記載された内容をコンピューターに理解させ、AI(人工知能)などのコンピューターによる情報検索や分析を自動で行わせるというもの。
XML(Extensible Markup Language)で作成したデータに、RDF(Resource Description Framework)やOWL(Web Ontology Language)などの「データに意味を与える」タグを付与し、コンピューターにそのデータを単なるテキストや画像として読み込ませるのではなく、「何に関するデータなのか」を理解させるという違いがあります。
インターネットを利用するユーザーが、パソコンからモバイル端末へシフトし、モバイル端末では簡単に音声入力ができるようになった背景から、検索に使われるキーワード(検索クエリ)も多様化、さらにAIの技術が進歩し続けている中で、セマンティック検索は重要な役割を持っています。
セマンティック検索に関係のあるアルゴリズムアップデート
Googleは、検索エンジンを利用するユーザーが常に最善のサービスを得られるよう、アルゴリズムアップデートを続けています。
その中から、セマンティック検索と関係のあるコアアルゴリズムアップデートをご紹介します。
ハミングバードアップデート
2013年9月に導入されたハミングバードアップデートは、「辞書検索からコンピューターとの会話による情報検索」に変わったと評されるように、インターネット検索に改革を起こしました。
先述したキーワード、「SEOツール」を例に挙げれば、ハミングバードアップデート前まで検索エンジンのデータベースにインデックスされたコンテンツの中から、SEOツールというキーワード、またはそれに関連するキーワードを含む情報が検索結果に選ばれていました。
ハミングバードアップデート後、ユーザーは、以前よりも求めていたものに近い情報が検索結果に表示され、検索エンジンの利便性が向上しました。元々キーワードの検索意図を分析し、ユーザーに役立つコンテンツ作りをしていたWebサイトに大きな影響がなかったものの、いかにキーワードを含めるかといったSEO対策をしていたWebサイトは大きく順位を落とします。
単純で簡単な検索クエリではなく、長文でややこしいものでも、それぞれの言葉に意味を持たせて理解させるセマンティックWebが採用されたことで、ハミングバードアップデート後のSEO対策は、「ユーザーの検索意図を正しく理解し、役立つ情報をコンテンツに記載させること」が重要になりました。
RankBrain
続いてGoogleは、2015年10月のアップデートでRank Brainという新しいシステムを導入します。
ハミングバードアップデートで、検索クエリからユーザーの意図を理解し、データベースにあるコンテンツの中からユーザーが満足するであろう情報を含むものを上位表示させるようになりましたが、Rank Brainではさらにユーザーの行動分析も加わっています。
上位表示されたコンテンツの中でも、ユーザーのクリック数が多く、訪れたWebサイトでコンバージョンまでつながるページを評価するようになりました。
BERTアップデート
BERTとは、Bidirectional Encoder Representations from Transformersの頭文字を取ったもので、自然言語処理技術の名称です。「自然言語処理」は、あまり聞きなれない言葉ですが、人間が普段交わす会話に用いられる表現をコンピューターに理解させ、対応させることを言います。
2019年12月、GoogleはこのBERTアップデートを実施、検索クエリをより正しく理解し、さらなるセマンティック検索の精度向上を図ることでウェブサーチの質を高めました。スマホやタブレットの普及に合わせ、音声入力で検索するユーザーが増えたため、検索クエリも多様化し、話し言葉や長文での検索が増加。新しい検索方法に合わせ、ユーザーが最適な回答を見つけられるよう実施されたアップデートです。
このように、Googleはセマンティック検索を積極的に採用し、ユーザーが満足する検索エンジンであり続けています。
また、セマンティック検索を活用することで、検索結果画面にも変化が生じました。検索結果画面にも変化が生じました。次に、セマンティック検索と構造化データについて解説します。
セマンティック検索と構造化データマークアップ
コンテンツ内のデータに情報を与える構造化データのマークアップも、セマンティック検索だから出来る施策の1つです。
構造化データのマークアップは、Googleが単なるテキストデータとしてではなく「何に関する情報なのか」「どのような画像なのか」などを認識しやすくなるマークアップです。
ただし、全ての情報が構造化データとしてマークアップできるわけではありません。Googleが構造化データでサポートしている項目には、以下のようなものが挙げられます。
- FAQ(よくある質問)
- Howto(ハウツー)
- レシピ
- クチコミ抜粋
- 動画
- パンくずリスト
コンテンツを作成した後、構造化データとしてマークアップできる項目がないか、Google検索セントラルの解説ページで確認してみてください。
注意点として、構造化データのマークアップを行うこと自体はSEOに影響せず、あくまで検索順位を決めるのはコンテンツの質です。また、構造化データのマークアップには、知識が必要であり、これまで作成したコンテンツ全てを洗い出して該当部分を処理するには時間もかかります。
それでも、セマンティック検索の価値、ユーザーへの利便性を考えればやはり構造化データのマークアップには少しずつ着実に行っていくべきです。
セマンティック検索が採用され、構造化データのマークアップが今、検索結果画面にどのような影響を与えているか、次に解説します。
セマンティック検索の仕組みを利用した結果
Googleに調べたいキーワードを入力すると、アルゴリズムによって選ばれたWebページの紹介だけでなく、他にも様々な情報が表示されます。これにはセマンティック検索、構造化データのマークアップが関係しています。
検索結果画面に表示される様々な情報と、それらが選ばれる仕組みについて解説します。
リッチスニペット
リッチスニペットとは、本来のスニペットに加え、構造化データでマークアップした情報が表示されたものです。
スニペットには、meta descriptionに入力したテキストや、コンテンツ内容の一部を抜粋した文章が表示されます。構造化データでマークアップしておくと、その他にも画像や評価、価格などがリッチスニペットとして表示されます。
リッチスニペットについては、構造化データのマークアップをしていても必ず表示されるものではなく、サイト運営者がコントロールできるものではありません。しかし、セマンティック検索の対策に構造化データのマークアップを行っておけば、従来のスニペット以上の情報が表示されるため、ユーザーにクリックされる確率が高くなります。
アンサーボックス
アンサーボックスとは、検索クエリに対するコンテンツ一覧以外に、「検索クエリに対する回答」となる情報が表示されるボックスを指します。
検索結果にアンサーボックスが出てくる場合、検索エンジンは、セマンティックWebの考え方から質問に対する答えに該当する情報を探し、表示させています。
例えば、有名人の情報をコンテンツ内に記述する際に、誕生日や出身地などのデータをマークアップしておくと、その有名人の名前が検索された際、アンサーボックス内にそれぞれの情報が表示されるようになります。
検索エンジンを利用する目的の1つである、問いに対する答えがセマンティック検索なら表示されます。
ナレッジグラフ
ナレッジグラフは、検索クエリに対する検索結果の他に、関連する情報を掲載させたものです。
建物などであれば画像や住所、電話番号などの連絡方法やGoogleマップで位置情報も表示されます。
このナレッジグラフには、Googleマイビジネスに記載された情報や、インターネット上にある関連情報が記載されます。
記載される情報のコントロールはできませんが、Googleマイビジネスの登録や、自社サイトの情報を構造化データとしてマークアップしておけば掲載されるようになります。
類義語表示
検索エンジンを使い、表示されたコンテンツのスニペットを見ると、検索クエリだけでなく、関連性が高い類義語が太字表示されることがあります。
これは、セマンティック検索の結果、検索エンジンがユーザーの検索意図であろうキーワードを指摘していることを意味します。
強調スニペット
強調スニペットは、リッチスニペットよりも分かりやすく別枠で検索結果画面に表示される情報枠のことを言います。
検索クエリが質問であり、その回答となる情報がコンテンツ内にあれば、強調スニペットとして表示されますが、こちらもサイト運営者側でコントロールすることはできません。
ただし、セマンティック検索の対策として構造化データのマークアップを行っておけば、検索エンジンは情報を処理しやすくなるため、強調スニペットとして表示される可能性はあります。
まとめ
セマンティック検索が採用されたことにより、Googleで検索をかけると結果画面には、ユーザーの検索意図に沿ったコンテンツが上位に表示されるようになっています。
コンテンツを作成する際はセマンティック検索に対応するため、キーワードを徹底的に分析し、ユーザーがどのような情報を求めているかを調べた上で作成する必要があります。
メインの対策キーワードや関連キーワードを詰め込むような昔のSEO対策では、Googleの評価を得にくいことを理解しておきましょう。
また、セマンティック検索対策として構造化データのマークアップを行い、検索結果画面で強調スニペットなどを表示させましょう。検索結果よりもユーザーの目につきやすく、クリックしてもらえる確率が高まります。
新しいSEOのトレンドや基礎知識、具体的な対策方法は以下のページで紹介してますので、ぜひ、ご参照ください。