CTR(Click Through Rate)とは、クリック率のことを指し、検索結果やWeb広告にコンテンツが表示された際、どのくらいクリックされているかの割合を示す数値です。
CTRは、Webマーケティングで収益に関係する数値であり、WebサイトやWebマーケティングの担当者は、その意味や重要性を理解しておく必要があります。
このページでは、CTRの意味や計算方法などの基礎知識から、CTRとGoogle検索や広告の関係、クリック率の改善方法まで網羅的にご紹介します。
SEO対策やWeb広告運用などで頻繁に見かけるCTRとは何か、正しく理解し、Webマーケティングに役立てましょう。
この記事でわかること
CTR(クリック率)とは?用語の意味と基礎知識
CTRとは、クリック率の英語である「Click Through Rate」の頭文字を取った略語で、ユーザーがインターネット検索をかけた際、検索結果画面に表示される回数に対するユーザーのクリック回数やWeb広告が表示された回数(インプレッション数)に対するクリック回数の割合を算出した数値です。
Webマーケティング用語の中でも見かける機会の多いCTRという言葉は、SEOやリスティング広告、ディスプレイ広告などのWeb広告でよく使われます。
例えば、Webマーケター間の会話の中で、以下のように使われたりします。
「この記事ってCTRいくつ?」(=インプレッション数に対してどれくらいクリックされてる?)
「この前の記事、もっとCTRを上げたいね。」(=上位表示されているのにあまりクリックされてないから、クリック率を改善したいね。)
このように、SEOやWeb広告の効果を確認する指標としてCTR(クリック率)は必ず使用するので、意味や使い方を理解し、正しく使いましょう。
CTRの計算方法(計算式)
CTR(クリック率)は、以下の計算式で算出するこができます。
CTR(クリック率) [%]= クリック数 ÷ インプレッション数(表示回数)× 100
例えば、ユーザーに広告が2,000回表示されて、そのうち10回クリックされた場合のCTRは、10 ÷ 2,000 × 100 = 0.5% となります。
CTR(クリック率)は0〜100%の間で推移し、基本的には、高ければ高いほど良いとされています。
運営サイトのクリック率を確認する方法
運営しているWebサイトのCTR(クリック率)は、Google Search Console(グーグルサーチコンソール)で確認できます。
Google Search Consoleにログインしたら、左のメニューの『検索パフォーマンス』→『平均CTR』を選択します。
この画面では、平均CTRのみならず、検索クエリ(検索キーワード)ごと、ページごと、デバイス別など、様々な条件でCTRを確認できます。
CTRを確認する期間も選べるので、期間ごとでCTRがどう変わったかなど比較をすることで、実施したSEO対策や改善施策のパフォーマンスを確かめることも可能です。
なぜCTRは高い方が良いのか?
CTRが高いということは、インターネット検索の場合、複数表示される他のWebページから自社のページを選んでもらえた証明になります。
インターネット検索においてCTRが高ければ、そのページのアクセス数が増加するため、SEO対策の効果を確認、分析するのに役立ちます。
また、Web広告なら、他社が出稿している広告ではなく、自社広告がクリックされているということを意味します。
Web広告の場合、CTRが広告が表示されるランクを決定づける1つの要素でもあるため、非常に重要です。
インターネット検索、Web広告、いずれの場合もCTRが高ければ、成果に結びつきやすいです。
SEOでの上位表示やユーザーに刺さるWeb広告の出稿と同じくらい、CTRを高く維持することに注力しましょう。
平均クリック率は何%?SEOとCTRの関係
SEOとは、検索結果における表示順位を上げ、インターネット検索からより多くのアクセス流入を狙う手法です。その検索結果の表示順位によって、CTRは異なります。
一般に、より上位に掲載されているWEBサイトの方がCTRは高くなります。では、実際、検索結果の表示順位によってCTRにどれくらい違いがあるのでしょうか。
Google検索における検索順位とCTRの関係を調査した、Advanced Web Rankingの最新データ(2024年5月)を見てみましょう。
平均CTR | デスクトップ(PC) | モバイル |
---|---|---|
1位 | 32.35% | 26.70% |
2位 | 14.56% | 13.32% |
3位 | 8.54% | 8.43% |
4位 | 5.80% | 5.57% |
5位 | 4.15% | 3.15% |
6位 | 3.05% | 2.90% |
7位 | 2.37% | 2.22% |
8位 | 1.90% | 1.73% |
9位 | 1.56% | 1.40% |
10位 | 1.35% | 1.17% |
11位 | 1.27% | 1.10% |
12位 | 1.25% | 1.11% |
13位 | 1.26% | 1.18% |
14位 | 1.26% | 1.25% |
15位 | 1.37% | 1.21% |
16位 | 1.41% | 1.18% |
17位 | 1.46% | 1.15% |
18位 | 1.49% | 1.09% |
19位 | 1.50% | 1.06% |
20位 | 1.43% | 1.00% |
[データ参照元]Google Organic CTR History(International)- Advanced Web Ranking(2024年5月データ)
ご覧のようにGoogle検索では、検索結果の表示順位とCTRの間に強力な正の相関関係が見られます。
デスクトップ(PC)の検索結果1位では平均CTRが約30%ありますが、2位になると平均CTRは約15%と半分以下にまで下がります。そして、その後順位が下がるにつれて緩やかにCTRが落ちていき、10位以下では平均CTRは1%前後で推移していることが分かります。
モバイルでも1位は平均CTRが約26%あるのに対し、2位は平均CTRが約15%を割り込むなど、大きく差が開く結果に。その後CTRは、デスクトップ(PC)と同様、検索順位とともに下がります。
自社知痕のCTRが高いか低いかを判断する時には、この平均CTRが1つの参考になるでしょう。
例えば、検索結果2位でCTRが10%なら低く、3位で10%なら高いと判断できます。もちろん、WEBサイトの業界や分野によって違いがあるので、自社サイトのCTRデータは貯めておきましょう。
以上から分かることは、Google検索では、検索順位を上げることがCTRを上げるために非常に重要であるということです。特に、検索結果1位であることは、より多くのアクセスを呼ぶために何よりも重要な要因となります。
また、自社サイトが検索結果の2ページ目(11位~20位)に表示される場合と、1ページ目(1~10位)にランクインしている場合はCTRに大きな違いがあります。
SEO対策をする中で、検索結果での1位表示や最低でも1ページ目(10位まで)に表示されることを目指すのは、このCTRの違いがあるからです。
分野やワードによって数値にばらつきがある
上記で紹介した平均CTRの調査結果は、全てのインターネット検索に対するデータです。
CTRは、パソコン端末とスマートフォンやタブレットなどのモバイル端末という条件以外にも、下記のような条件によって違いが生まれます。
ブランドサーチ vs 非ブランドサーチ
ブランドサーチ(ブランドを含む単語)の方が全体的にCTRが高い。
検索意図(情報系、購買系、地域系)
購買系(比較、購入など)のキーワードで1位に表示された方がCTRが高い。
検索キーワードの語数の多さ(1語、2語、3語、4語以上)
1語のキーワードの方が1位に表示されたときのCTRが高い。
キーワードの分野(金融、アパレル、教育、法律など)
検索キーワードの業界や分野によってそれぞれ違う特徴を持つため、検索順位に対するCTRもそれぞれ異なる。
このように分野やキーワードの属性によってCTRは多少異なりますが、それでもやはり1位に表示される方がCTRは高く、2位以降は徐々に下がることに変わりはありません。
広告運用観点でのCTRと各媒体における平均CTR
広告運用において、CTRは「検索されたキーワード」や「検索媒体・デバイス」「広告配信地域」「広告が表示される位置」「広告テキスト」などに様々な要素によって変化します。
SEOにおいて重要となる検索結果での上位表示は、もちろん広告運用においても同じです。SEOの場合と同じく、広告運用でも商品やサービスの業界・ジャンルに応じてCTRにも差が生じます。
アメリカの広告業界大手、WordStreamが公開しているデータをもとに、広告運用における平均CTRの違いを以下の3つの場合でそれぞれ平均CTRを表にしてまとめました。
各媒体やデバイスで広告を出稿する際の参考にご覧ください。
Googleのデスクトップ(PC)広告における平均CTR | ||
---|---|---|
業界・業種 | Google(デスクトップ) リスティング広告 平均CTR |
Google(デスクトップ) ディスプレイ広告 平均CTR |
擁護団体 | 4.41% | 0.59% |
自動車 | 4.00% | 0.60% |
B to B | 2.41% | 0.46% |
カスタマーサービス | 6.05% | 0.72% |
eコマース | 2.69% | 0.51% |
教育 | 3.78% | 0.53% |
求人 | 2.42% | 0.59% |
金融・保険 | 2.91% | 0.52% |
健康・保険 | 3.27% | 0.59% |
家庭用品 | 2.33% | 0.49% |
産業サービス | 2.61% | 0.50% |
法律 | 2.93% | 0.59% |
不動産 | 3.71% | 1.08% |
技術 | 2.09% | 0.39% |
旅行・観光 | 4.68% | 0.47% |
[データ参照元]Google Ads Benchmarks for Your Industry [Updated!] | WordStream
Googleのモバイル広告における平均CTR | ||
---|---|---|
業界・業種 | Google(モバイル) リスティング広告 平均CTR |
Google(モバイル) ディスプレイ広告 平均CTR |
芸術・エンターテインメント | 5.01% | 0.84% |
自動車サービス・修理 | 3.76% | 0.36% |
業務サービス | 3.60% | 0.55% |
コンピュータ・家電 | 3.70% | 0.60% |
建設 | 3.52% | 0.50% |
コンサルティング | 3.99% | 0.54% |
教育 | 4.45% | 0.48% |
金融 | 4.57% | 0.53% |
美容室 | 5.00% | 0.93% |
ヘルスケア | 3.79% | 0.51% |
家庭用品 | 3.50% | 0.76% |
インターネット・通信 | 3.05% | 0.57% |
法律 | 3.48% | 0.64% |
製造業 | 4.13% | 0.53% |
非営利団体 | 4.09% | 0.70% |
小売り | 4.25% | 0.57% |
交通手段 | 4.54% | 0.59% |
旅行・観光 | 5.36% | 0.61% |
[データ参照元]Google Ads Mobile Benchmarks for Your Industry | WordStream
Facebook広告における平均CTR | ||
---|---|---|
業界・業種 | Facebook広告 平均CTR | |
美容・フィットネス | 1.02% | |
ビジネス・産業 | 0.89% | |
金融 | 0.58% | |
食品・飲料 | 1.20% | |
趣味・レジャー | 0.93% | |
家庭用品 | 0.71% | |
インターネット・通信 | 0.68% | |
職業・教育 | 0.55% | |
ニュース | 1.05% | |
社会活動 | 0.85% | |
ペット・動物 | 1.68% | |
不動産 | 0.98% | |
科学 | 0.45% |
[データ参照元]Facebook Ad Benchmarks for YOUR Industry [2019] | WordStream
ご覧いただいたように、広告媒体や業界、デバイス(デスクトップとモバイル)の違いによって平均CTRにも差が生じています。
この結果には、各媒体で出稿した広告が何を持ってインプレッション数にカウントされるのかなども関係しています。
また、デスクトップとモバイルのどちらにおいても、検索広告に比べてディスプレイ広告の方がクリック率が低い傾向にありますが、これはユーザーに広告が表示されるタイミングが関係しています。
検索広告では、ユーザーが何かを知りたい・欲しいなどと考え検索行動に移った瞬間に広告表示されます。一方、ディスプレイ広告では、ユーザーがニュース記事やアプリなどのコンテンツを閲覧・使用しているときに広告が表示されます。
このように検索広告とディスプレイ広告とでは、広告が表示される際、ユーザーが積極的に情報を探しているか瞬間・タイミングであるかどうかに違いがあり、それがCTRの差にも表れているわけです。また、リターゲティング広告など広告配信のターゲットによってもCTRは変わってきます。
自社サービスの内容や広告出稿の目標によって目指すべきCTRも異なると思いますので、広告費をはじめとして総合的なコストを考慮した目標設計をするようにしましょう。
SEOでクリック率を上げるための3つの改善方法
ここまで解説した内容で、CTR(クリック率)がSEOやWeb広告の運用において重要な指標であることはお分かりいただけたかと思います。
では、ここからは、どうすればCTRを上げられるのか「CTRを上げる(改善する)ための方法」をご紹介します。
ここではSEOにおいてCTRを高める方法を、タイトル、メタディスクリプション、強調スニペットの3項目で解説したいと思います。
SEOタイトルを魅力的なものにする
SEOでCTRを高めるための1番簡単で効果的な方法は「魅力的なタイトルを設定すること」です。
ページタイトルには、ページの内容が分かるような端的なタイトルを設定することが求められますが、併せて「ユーザーが思わずクリックしたくなる」ような興味を引く魅力的なタイトルであることも重要。
「疑問形にする」「数字を入れて具体性を持たせる」「不安を煽る」など、CTRを高めるタイトルをつけるテクニックも駆使しましょう。
『SEOに強いタイトルの付け方とは?文字数や書き方を解説』でCTRを高めるSEOで効果的なタイトルの付け方について詳しく解説しています。
メタディスクリプションで端的に内容を説明する
CTRの改善でタイトルと共に重要な項目がメタディスクリプションです。
メタディスクリプションは、ページの内容を端的に表す概要文・要約文の位置付けですが、設定してなくてもGoogleが自動生成して検索結果上に表示されます。
そのため、メタディスクリプションタグの設定をしていないページも多くみられますが、メタディスクリプションを正しく最適な形で設定すればCTRを大きく上げる可能性があります。
メタディスクリプションには、ページの内容を端的に120文字程度でまとめた文章を記述するのが望ましいです。
また、モバイルの場合は画面サイズの関係で50文字程度しか表示されないので、モバイルでのCTRを上げるためにも、重要な要素(キーワードや文章)はできるだけ前半に入れるなどのテクニックを使って対策しましょう。
文字数や書き方などCTRを向上させるための最適なメタディスクリプションタグの設定方法は『メタディスクリプションとは?SEO効果のある設定方法や最適な文字数・書き方を解説!』をご覧ください。
強調スニペット向けにコンテンツを最適化する
強調スニペットとは、明確な回答が想定される質問を内包するようなキーワードで検索した際に、検索キーワードに対する端的な回答をGoogleが検索結果の最上部に強調して表示する仕組みのことです。
強調スニペットは、以下のように特別な枠で検索結果に生成されます。
強調スニペットは、適切に対策することで、最もCTRが高い検索順位1位よりも上位にWebページを表示することができます。
その他にも、強調スニペットには次世代の検索方法である「音声検索」への対策にもなることから、それぞれのページで強調スニペットに対して最適化させることがCTR向上にも繋がる可能性があります。
強調スニペット対策に必要な情報については、『強調スニペットとは?SEOにおける重要性や表示方法を解説』に詳しくまとめているので、ご一読ください。
CTRを上げるためにやってはいけないこと
CTRが高ければ、インターネット検索やWeb広告から自社サイトへのアクセスが増え、収益につながります。
しかし、CTRを上げるためにやってはいけないこともあるので、ここで紹介しておきます。
それは、CTRを高めるために、実際のページ内容とは関連性が低いタイトルやメタディスクリプション、広告テキストなどをつけてしまうことです。
タイトルやメタディスクリプション、Web広告の内容は、より刺激的でユーザーの興味を引くものの方がクリックされやすく、CTRも向上します。しかし、内容が伴っていない場合、流入したユーザーは即離脱してしまいます。
CTR(クリック率)を上げるためだけの詐欺紛いのタイトルやテキスト、Web広告は、ユーザーの検索行動を妨害し、Googleが重視しているエンゲージメントの低下につながります。ここで言うエンゲージメントとは、Webサイトに対し、ユーザーが抱く愛着度、満足度を意味します。
実際のコンテンツ内容とは関係のないタイトルやWeb広告からアクセスしたユーザーは、即離脱することからエンゲージメントが低く、Googleからのページ評価は下がります。また、こうしたユーザーの不利益につながる行為は、Googleなどの検索エンジンから低品質なページであるという評価を受け、ペナルティの対象になる可能性も高くなります。
タイトルやメタディスクリプション、Web広告を設定する際は、コンテンツの内容に沿っていることを前提とし、ユーザーの利便性を第一に考えた魅力的なものを用意することが重要であることを覚えておいてください。
まとめ
CTR(クリック率)はSEOや広告運用で施策のパフォーマンスを分析する上で必ず使用する重要な指標です。
CTRについてしっかり理解して、WEBサイト改善に役立てていきましょう。
このページの内容をまとめると以下の通りです。
- CTRとは、クリック率のことであり、インターネット検索やWeb広告で表示された際にどのくらいの割合でクリックされたのかを示す数値
- CTRは、一般的に高い方が良く、SEOでは検索順位が高いほどCTRも高くなる
- Web広告媒体やデバイス、業界によってCTRも異なるので、目標設計の際には必ず確認を行う
- CTRを改善するなら、ページタイトルとメタデイスクリプションを工夫し、強調スニペット対策をしておく
CTR改善に必要な検索結果で上位表示させるための効果的なSEOライティングは、以下のページで詳しく解説しているので、ご一読ください。