トピッククラスターとは?メリットや導入方法について

トピッククラスターとは、トピッククラスター戦略ともいい、SEO戦略における月間検索ボリュームが多く、上位表示の難易度が高いキーワードを対策する戦略の1つです。

自社商材と関係するキーワードに対し、いくつかのコンテンツを作成したもののあまり効果がなかった経験がある方もいると思います。そんなときには、自社で取り扱う商材に関する情報の網羅性を高め、検索順位を上げるトピッククラスター戦略が有効です。

このページでは、トピッククラスターとはどのようなものか、なぜSEO対策に有効なのか解説しています。

これからトピッククラスター戦略を試したい方に、分かりやすい実践方法と、注意点をご案内します。

トピッククラスターとは

トピッククラスターイメージ

トピッククラスターは、自社サイト内のコンテンツをグルーピングし、関連するコンテンツ同士を内部リンクで繋ぎ、サイト全体のSEO評価を高める戦略です。

多くのユーザーが検索するキーワード(月間検索数が多いキーワード)は、同業他社サイトも上位表示させようと狙うため、SEO難易度が高く、1つのコンテンツだけでは上位表示させるのは困難です。

しかし、トピッククラスター戦略を行うことで、それら上位表示が難しいキーワードでも上位表示させやすくなります。

わかりやすい具体例を挙げると、「関東地方」がピラーコンテンツ(メインキーワード)になった場合、「東京、神奈川、千葉、埼玉、栃木、群馬、茨城」がクラスターコンテンツ(関連キーワード)に該当します。

また、関東地方というコンテンツから、詳細ページである東京や神奈川、千葉などのコンテンツへリンクを張ったり、逆に埼玉、栃木、群馬などのコンテンツから関東地方というメインコンテンツに内部リンクを貼ったりする戦略です。

このトピッククラスター戦略は、メイントピックとなるコンテンツと、トピックに関連するコンテンツを内部リンクで繋ぐことで、サイト全体の情報の網羅性を担保し、SEO評価を高めることができます。

トピッククラスターを知る上で、「ピラーコンテンツ」と「クラスターコンテンツ」の2つを理解しておくことが重要なため、まずはピラーコンテンツとクラスターコンテンツを詳しくご説明します。

ピラーコンテンツ(ピラーページ)とは「柱」になるページのこと

ピラーコンテンツは、メイントピックに関する情報を広く浅く網羅的にまとめたページのことです。

先程とは別の例として、「WEBマーケティング」で考えてみましょう。メイントピックが「Webマーケティング」の場合、ピラーコンテンツでは、WEBマーケティングの手法の1つである「SEO」や「Twitter」、「広告」などの幅広い情報を記載します。

また、ピラーコンテンツでは「seoとは何か?」や「広告とは何か?」という深く掘り下げることはせず、あくまでも「Webマーケティングとは何か?」をまとめたページにします。

ただし、ピラーコンテンツだけでは、より深い知識の理解はできないため、そこで必要になるのがクラスターコンテンツです。次は、クラスターコンテンツについて解説します。

クラスターコンテンツは関連するコンテンツ

クラスターコンテンツは、メイントピックに関連する情報を狭く深く専門的に解説したページのことです。

上記の「Webマーケティング」を例にすると、「Webマーケティング SEO」や「Webマーケティング 広告」、「WEBマーケティング Twitter」などの関連キーワードを対策したコンテンツがクラスターコンテンツに該当します。

クラスターコンテンツは、ピラーコンテンツで簡単に説明している内容を掘り下げ、より詳しく解説するページになります。具体的には、「WEBマーケティングの手法の1つであるseoについて深掘りしたコンテンツ」や「WEBマーケティングの手法の1つであるTwitterについて深掘りしたコンテンツ」です。

また、クラスターコンテンツは、ピラーコンテンツと内部リンクで繋ぐことで、ユーザーはメイントピックを深く掘り下げた内容を確認できるだけでなく、広く浅くまとめたページを確認することができます。

※当サイトでは、クラスターコンテンツからピラーコンテンツへの内部リンクと、ピラーコンテンツからクラスターコンテンツへの内部リンクをユーザーのニーズにあわせて使い分けることを推奨します。

クラスターコンテンツは、ピラーコンテンツに関連したコンテンツかつ内部リンクで繋ぐと覚えておきましょう。

トピッククラスターのメリット

ページ単体でSEO対策をするのではなく、複数のページをグルーピングしSEO対策を進めるトピッククラスター。 続いては、トピッククラスターを導入することでSEO上、どのようなメリットが得られるのかご紹介します。

サイト内の構造がまとまりやすくなる

1つ目のメリットは、サイト内の構造がまとまりやすくなる点です。

トピッククラスター戦略を用いてページのグルーピングを続けると、ピラーコンテンツで対策するキーワードと、関連するキーワード対策に作成したクラスターコンテンツが1つのグループになり、サイト内の構造がまとまりやすくなります。

また、ピラーコンテンツとクラスターコンテンツは内部リンクでつなげるため、ユーザーはピラーコンテンツ、クラスターコンテンツのどちらからでも、求めている情報に辿り着きやすく、検索エンジンからのクローラーも情報収集しやすい状態になります。

キーワードに対する情報の網羅性が高まる

2つ目のメリットは、キーワードに対する情報の網羅性を高められる点です。

難易度の高いキーワードを1つのページで対策するのではなく、複数のページで関連する情報を詳しく紹介できることから、ピラーコンテンツで対策するキーワードの網羅性を高められます。

また、クラスターコンテンツで対策するキーワードは検索ボリュームが少なく、上位表示を狙いやすいことから、少数ながらもアクセス数を増やせるメリットもあります。

ビッグワードやミドルワードでの上位表示が狙える

3つ目は、ビッグワードやミドルワードなどの月間検索ボリュームが多いものでも上位表示が狙える点です。

ビッグワード、ミドルワードは月間検索ボリュームが多く、競合他社も上位表示を狙うことから難易度が高いです。単ページで上位表示を狙うには、自社サイトが検索エンジンから信頼されていなければなりません。

トピッククラスターなら、ビッグワードやミドルワードをピラーコンテンツで紹介し、その関連ワードをクラスターコンテンツで対策することで網羅性を高め、検索エンジンからの信頼を獲得できます。

最終的には、月間検索ボリュームの多いビッグワードでも上位表示されるようになり、より多くのアクセス数を安定的に稼ぐことができるようになります。

カニバリを回避できる

4つ目は、カニバリを回避できる点です。

カニバリとは、元々カニバリズム(共喰い)から来ており、SEOにおいては同一サイト内で1つのキーワードに対し、複数のコンテンツを作成してしまい、それらコンテンツ同士が上位表示を競う状態を指します。

対策キーワードを決めずにコンテンツを量産している場合や、計画性がないままコンテンツを作成しているとカニバリが起きやすくなります。しかし、トピッククラスターを用いた場合、ピラーコンテンツとクラスターコンテンツのそれぞれで「トピック(キーワード)」が明確なため、カニバリが起こりにくいです。

キーワードのカニバリが起こると、ページの内容を変更したり、作成したコンテンツ削除したりしなければなりません。

トピッククラスターを用いたSEO対策の進め方

トピッククラスターとは何か、またそのメリットについて解説しました。 次は、実際にトピッククラスターを取り入れたSEO対策の進め方をご紹介します。

メイントピックとなるキーワードを選ぶ

最初に、自社商材と結びつきが強く、月間検索ボリュームの多いキーワードをメイントピックとして選びましょう。

先に例に挙げた「Webマーケティング」に関するサービスを提供する企業なら、ピラーコンテンツの対策キーワードには「Webマーケティング」を選びます。

トピッククラスター戦略を取り入れる場合、重要な点として「メインとなる対策キーワードは変えられない」ことを知っておきましょう。

メインキーワード選びは、トピッククラスター戦略を行う上で最重要なポイント。メイントキーワードが変わると、クラスターコンテンツもガラッと変わり、戦略そのものが崩壊します。自社商材に関係のあるキーワードを調べ、その中から慎重に選び出しましょう。

キーワードの重要性や選び方については『SEOにおけるキーワードの重要性や種類、選び方や入れる際の注意点など』をご覧ください。

クラスターコンテンツに該当する関連キーワードを洗い出す

ピラーコンテンツで対策するキーワードが決まったら、次はクラスターコンテンツの関連キーワードを洗い出します。 関連キーワードは、以下のツールを使うと簡単に見つけられます。

関連キーワード用ツール
  • Googleキーワードプランナー
  • ラッコキーワード
  • Ahrefs

トピッククラスターのメリットに「カニバリが起こらない」ことを挙げましたが、この関連キーワードの洗い出しが雑だとコンテンツ内容が重複してしまい、カニバリが起こります。関連キーワードを並べ、検索意図が近いものは1つのコンテンツにまとめられるようにしておきましょう。

関連キーワードに関する詳しい情報は『関連キーワードとは?仕組みや活用方法、取得ツールの紹介』にまとめています。

メインキーワードに対するピラーコンテンツを作成する

関連キーワードを調べたら、いよいよメインキーワードに対するピラーコンテンツを作成です。

このコンテンツでは、メインキーワードに対する検索意図に沿った文章を作成するだけでなく、関連キーワードについても「簡単な」説明をします。その説明の中に、クラスターコンテンツへの内部リンクを用意しておきましょう。

関連キーワードからクラスターコンテンツを作成する

続いて、関連キーワードごとにクラスターコンテンツをそれぞれ作成します。

クラスターコンテンツは、検索意図がはっきりしているため内容が濃く、詳しい情報を記載しなければなりません。

トピッククラスターを戦略として採用する際、ピラーコンテンツが重要だと思われがちですが、クラスターコンテンツとどちらが重要というものではなく、どちらもそれぞれの検索意図に沿った内容でユーザーが求める情報を網羅したコンテンツでなければなりません。

クラスターコンテンツも1つ1つ、高品質なものに仕上げましょう。

内部リンクを整えてトピッククラスターを完成させる

ピラーコンテンツとクラスターコンテンツの作成が完了したら、内部リンクを整えてトピッククラスターを完成させます。

内部リンクを貼ることで、ピラーコンテンツとクラスターコンテンツに結び付きが生まれ、メインキーワードに関する情報を複数のコンテンツで網羅させていることを検索エンジンに伝えます。

1つのコンテンツでは上位の取得が難しいキーワードも、複数のコンテンツで情報の網羅性を高め、サイトそのものの信頼を検索エンジンから勝ち取ることで上位表示を狙えることがトピッククラスター最大のメリットです。

内部リンクの設置方法については『内部リンクとは?最適化が与えるSEO効果や失敗しない貼り方、設置場所を解説』で詳しく解説しています。

トピッククラスターを用いたSEO戦略の具体例

今ご覧いただいているEmmaMagazineでも、トピッククラスター戦略を取り入れています。

「SEO」についてのピラーコンテンツに「SEOとは?SEO対策の基礎知識や上位表示の方法を初心者にもわかりやすく解説」を選び、クラスターコンテンツでは以下のキーワードに関する情報をご紹介しています。

EmmaMagazineのクラスターコンテンツ
  • E-E-A-T
  • タイトルタグ
  • メタディスクリプション
  • 見出しタグ
  • 被リンク
  • キーワード選定
  • URLの設定方法
  • ページスピード改善方法
  • 構造化データ
  • SEOコンテンツ作成
  • SEOに強いタイトル
  • 強調スニペット
  • 音声検索
  • SEOツール

SEOは、時間経過と共に常に進化し続けています。そのため、上記のピラーコンテンツだけだけでなく、クラスターコンテンツの内容変更や新しいコンテンツの追加も行い、「SEO」について知りたいユーザーが求める情報を掲載し続けます。

そうすることで、複数のコンテンツによって「SEO」というキーワードに対する検索エンジンからの信頼、評価を得て上位表示をさせ続けます。

トピッククラスター戦略を進める上での注意点

難易度の高いキーワードを上位表示させられるトピッククラスターは、SEO対策を進める上でおすすめの戦略です。

しかし、施策を進めていく上で注意しなければならないポイントもあるので、解説しておきます。

むやみに内部リンクを設置しない

1つ目の注意点は、むやみに内部リンクを設置しないことです。

トピッククラスターでは、ピラーコンテンツとクラスターコンテンツを内部リンクでつなぐことで、情報の網羅性を高め上位表示を狙います。クラスターコンテンツの中には、ピラーコンテンツ以外のコンテンツとも関係性があることは少なくありません。

また、その関連するコンテンツが、ユーザーにとって本当に役に立つものであれば、クラスターコンテンツとそれらコンテンツを内部リンクで結ぶことは問題ないです。

しかし、ピラーコンテンツを上位表示させることが目的になるあまり、関係のないコンテンツを作成しクラスターコンテンツとして内部リンクでつなげることには意味がありません。

Googleはガイドライン上で「1ページのリンクを妥当な数に抑えます」と記載しており、貼り過ぎるとSEOに悪影響が出ます。

トピッククラスター戦略を進める際は、無駄な内部リンクを貼らず、本当に必要なリンクのみにしましょう。

低品質なコンテンツを作成しない

2つ目の注意点は低品質なコンテンツを作成しないことです。

ピラーコンテンツ及びクラスターコンテンツに共通して言えることとして、低品質なコンテンツを作成してはいけません。

ピラーコンテンツがキーワードの詰め込みや、検索意図を無視した内容になっていると、素晴らしいトピッククラスターを作り続けても、ピラーコンテンツで対策しているメインキーワードで上位表示されません。

また、注意点でもお話した通り、クラスターコンテンツの質が低ければ、そのコンテンツが上位表示されないだけでなく、トピッククラスター全体、延いては自社サイトそのものの評価を下げる可能性もあります。

クラスターコンテンツは数が多く、キーワードを分析して検索意図に沿ったコンテンツに仕上げるのは決して容易ではありません。トピッククラスターは1つ1つを着実に積み重ねることで結果へつなげるものです。

ユーザーに伝わりやすく、求めている情報を得やすいコンテンツ作りを常に心がけましょう。

質の高いコンテンツの書き方については『SEOライティングとは?基礎知識や意識すべき8つのポイント』が役に立ちます、ぜひご参照ください。

まとめ

トピッククラスターは、難易度の高いキーワードに対し、まだ検索エンジンからの信頼を得られていないWebサイトでも、上位表示させられる可能性を持つSEO戦略です。

クラスターコンテンツで月間検索ボリュームが少なく、比較的難易度の低いキーワードから上位表示させていき、その積み重ねで検索エンジンからの評価を獲得しながら、ミドルワード、ビッグワードでの上位表示を狙います。

すでにある程度、コンテンツ作成をしている場合は、今対策しているキーワードとコンテンツを整理してグループにまとめ、トピッククラスター戦略に当てはめてみましょう。