コンテンツマーケティングとは?

新型コロナウイルスの感染流行の影響で、セミナーなどのオフラインイベントの開催が困難になったことから、多くの企業がオンライン上での顧客獲得〜育成を目的としたコンテンツマーケティングに取り組んでいます

自社でオウンドメディアやSNS・動画を活用した良質なコンテンツを継続的に発信することで、BtoB・BtoC問わずに、Web上からの多くの集客を見込むことができます。

しかし、一方で「コンテンツマーケティングの始め方や戦略がわからない」という企業も多いのではないでしょうか?

本記事では、経営者やWeb担当者に向けて、「コンテンツマーケティングとはそもそも何なのか」といった基礎知識・意味、企業にもたらすメリット、コンテンツマーケティングの成功事例や手法、そして成功に導くために担当者が意識すべきポイントについて解説します。

目次

コンテンツマーケティングとは?

コンテンツマーケティングとは?

コンテンツマーケティングとは、顧客(ユーザー)が抱えている悩みやニーズを解決するために、良質なコンテンツを発信することで顧客との接点を生み出し、顧客の獲得(リードジェネレーション)〜育成(リードナーチャリング)を図る戦略的なマーケティング手法のことを指します。

コンテンツマーケティングのファネル

いきなり商品やサービスを顧客に売り込むのではなく、商品やブランドの認知段階から、コンテンツを用いてユーザーの購買意欲を段階的に高める役割を持ち、最終的に受注(収益化)することを目的としています。

【コンテンツマーケティングの代表的な手法】

  • コンテンツSEO
  • 記事コンテンツ
  • SNSアカウント
  • 動画コンテンツ
  • メルマガ
  • ホワイトペーパー
  • ebook

コンテンツマーケティングの代表的なものに、検索からの流入を目的とした「コンテンツSEO」がありますが、コンテンツのフォーマットや流入経路は多様化しており、最近ではYouTubeをはじめとする動画コンテンツも多く活用されています。

また、コンテンツであればどんなものでも良いという発想に陥りがちですが、コンテンツマーケティングは「価値が高く、関連性、一貫性があるコンテンツ」である必要があります

そのため、企業が一方的に伝えたいことを伝えるのではなく、ユーザーのニーズをしっかり理解した上で、ユーザーの悩みや課題を解決するための高品質なコンテンツを作成することがコンテンツマーケティングの大前提です。

コンテンツSEOとの違い

コンテンツマーケティングを理解する上で、コンテンツSEOとの違いを理解することがとても大事です。

なぜなら、コンテンツマーケティングとコンテンツSEOは、しばしば混同して捉えられるからです。両者には明確な違いがあるので、コンテンツマーケティングとコンテンツSEOを混同してしまうと、施策の方向性を見誤ってしまうリスクがあります。

コンテンツマーケティングとは、コンテンツを用いてユーザーとの接点を創出していく手法になります。ここでいう「コンテンツ」とは、ブログ記事やSNSの投稿といったオンラインコンテンツから、展示会やパンフレットといったオフラインコンテンツまで、幅広いコンテンツのことを指します。

逆にコンテンツSEOは「検索エンジンからの集客を目的とした記事」のみがコンテンツとなります。コンテンツマーケティングで扱うコンテンツの数と比べて、かなり限定的です。

コンテンツSEOもユーザーにコンテンツを届けるための有効な手段であることは間違いありません。ただ、ユーザーの中には検索エンジンを使わないユーザーも多くいるので、コンテンツSEOのみでユーザーとの接点を作ることは難しいです。

例えば、記事コンテンツだけでは理解することの難しい専門知識を発信する場合は、記事コンテンツよりも動画コンテンツを使った方がユーザーとの接点を作りやすいです。他にも、自動車や家などの高単価な商材を検討しているユーザーには、プロダクトを綺麗に撮影したパンフレットが刺さります。

企業にコンテンツマーケティングが求められる背景

企業にコンテンツマーケティングが求められる背景

そもそも、なぜいま多くの企業に「コンテンツマーケティング」が求められているのでしょうか?

①ユーザーが触れる情報量の増加

それはスマホやタブレットをはじめとする 「モバイルデバイスの発達」により、ユーザーが収集できる情報が爆発的に増えたことが大きな要因です。

かつてはテレビ広告や新聞・雑誌・チラシといった媒体を中心とした企業からユーザーへの一方的な情報伝達が主流でした。

しかし、最近ではGoogleやYahoo!など検索エンジンからの情報収集、TwitterやInstagramといったSNS・Web広告・YouTube・メルマガなど、あらゆる方法で企業とユーザーが双方向的なコミュニケーションを取ることが可能になりました。

その結果、ユーザーが接触する情報量が増え、ユーザーのニーズや求めている情報を起点としたコンテンツを作成しないと「自社ブランドやプロダクトに興味や関心すら持ってもらえない状態」に陥ってしまいます。

②プッシュ型からプル型のマーケティングへの転換

また、コンテンツマーケティングが盛んな理由として、「プッシュ型のマーケティング」から「プル型のマーケティング」への転換が起きていることが挙げられます。

コンテンツマーケティングと広告の違い

例えば、新しい家電を買うとき、引越しをしたいと考えているとき、従来であれば直接、家電屋さんや不動産屋さんに足を運ぶのが一般的でした。しかし、最近の消費者行動では、店舗に足を運ぶ前にまずは情報収集をするのが一般的です。

そのため、営業マンの飛び込みといったプッシュ型のマーケティングは十分な効果を発揮しなくなりました。

しかし、一方で、裏を返せば「顧客が情報収集するフェーズ」で、企業側がしっかりと顧客のニーズを満たすコンテンツを作成していれば、企業側からプッシュしなくても自然とユーザーとの接点を増やし、顧客を獲得することができます。

コンテンツマーケティングの市場規模

コンテンツマーケティングの市場規模を探るには、コンテンツマーケティングにどのような業界があるのかを明確にする必要があります。コンテンツマーケティングを構成するのは、大きく分けて以下の業界です。

  • SEOGoogleの検索エンジン対策市場
  • インフィード広告従来の広告と違い、コンテンツと馴染む広告
  • 動画マーケティングYoutubeを始めとする動画コンテンツの市場
  • マーケティングオートメーションツールコンテンツマーケティングの運用をサポートするツール
  • SNSマーケティング人と人の繋がりを広げることで商品の認知、好感度を上げるマーケティング

それぞれの業界の日本における予測市場規模は2018年時点で、以下のようになっています。

  • SEO:500億円(2018年)出典※1
  • インフィード広告:約2000億円(2018年)出典※2
  • 動画コンテンツ:1530億円(2018年)出典※3
  • マーケティングオートメーションツール:220億円(2015年)出典※4
  • SNSマーケティング956億円(2018年)出典※5

コンテンツマーケティングの市場規模は5000億円を超えていると推測されます。また、これらの市場は、毎年130~200%とものすごい勢いで伸びています。

また、コンテンツマーケティングで日本の10年先を行くと言われているアメリカでは、2017年に120億ドル(約1兆3000億円)*、2021年にはその倍の240億ドル(約2兆6000億円)にものぼると言われている超成長市場なのです。

*出典:Global Content Marketing Forecast 2017 by PQmedia

コンテンツマーケティングのメリット

コンテンツマーケティングのメリット

メリット①:コンテンツが資産化していく

リスティング広告やディスプレイ広告など「運用型広告」は、顧客と接点が持てるのは配信期間に限られます。広告の配信が終わってしまうと、顧客との接点が絶たれるので、継続的な売上に結び付けることが難しいというデメリットがあります。

しかし、コンテンツマーケティングであれば、良質なコンテンツを作成することで、検索エンジンでの上位表示や、SNSやYouTubeでのバズを生み出すことができ、継続的に顧客との接点を築くことができます

作成したコンテンツが次々と顧客との接点を生み出す資産になり、その資産をストックしていくことができるというメリットがあります。

とは言え、ただ闇雲にコンテンツを作っても資産はストックされません。顧客の悩みや願望を解決できる良質な記事を作り、定期的にコンテンツをアップデートすることが大前提です。

ただコンテンツを量産するのではなく、ユーザーのニーズを満たしているかという観点からコンテンツを見直し続けることが必要なことを頭に入れておきましょう。

メリット②:予算をかけずに始められる

従来の広告であれば、月50万〜数千万単位で広告運用するのが一般的です。しかし、コンテンツマーケティングであれば、ライターの記事作成費用やサーバー・ドメイン費用など限られた予算で始めることができます

運用型広告の費用対効果が下がる中、運用型広告よりも少ない予算で、しかも費用対効果の高い運用を実現できるコンテンツマーケティングはおすすめです。

メリット③:SNSを活用したコンテンツマーケティングであれば、潜在層や非認知層にもアプローチできる

コンテンツマーケティングでは、SEOだけでなくSNSも活用します。

SEOだけだと、能動的に情報収集をしてくるユーザー(顕在層・認知層)は集客できますが、受動的に情報収集をしているユーザー(潜在層・非認知層)は集客できません。

そこで活用するのがSNSです。SNSを使うユーザーは基本的には受動的に情報収集しているので、SEO目的で作成したコンテンツをSNSで拡散することで「SEOだけでは集客できない顧客層」を集客できます

コンテンツマーケティングの4つの目的

①コンバージョンの獲得

コンテンツマーケティングを行う目的の中で最も重要視されるのが「コンバージョンの獲得」です。

お問い合わせや資料請求など、コンバージョンを獲得するためにコンテンツマーケティングを行う企業が多くなっています。

一昔前はコンバージョンを獲得するためには、地道な飛び込み営業やテレアポをしなければなりませんでした。しかし、コンテンツマーケティングを活用することで、営業リソースを使わずにインバウンドでコンバージョンを獲得できます。

アウトバウンドの営業の反応率は年々下がっています。反応率が低いアウトバウンドの営業にリソースを割いても費用対効果が下がる一方です。

コンテンツマーケティングであれば、こちらから営業しなくてもユーザーの方からお問い合わせや資料請求をしてくれるので、無駄な営業コストを削減し売上を伸ばすことが可能です。

②顧客のナーチャリング

コンテンツマーケティングでは、既に自社の製品・サービスを認知しているユーザーや興味を持っているユーザーに対して、購入確度を高めるコンテンツを発信します。そうすることで、購入確度の低いユーザーを教育して購入確度の高いユーザーに押し上げることができます。

顧客のナーチャリング(教育)もコンバージョンの獲得と同様、インバウンドで実施できます。従来の営業方法だと顧客のナーチャリングにかなりのコスト(電話代・車代・ガソリン代・飲み代など)がかかります。

しかし、購入確度の低いユーザーを教育して購入確度の高いユーザーに押し上げるコンテンツマーケティングの仕組みを作れば、営業コストをかけなくても購入確度の高いユーザーを増やし売上を伸ばすことが可能です。

③認知拡大・ブランディング

コンテンツマーケティングに取り組むことで、自社の製品・サービスを認知拡大し、ブランディングを確立できます。

SNSの発達でお客様が触れる情報の量も増えました。自社の製品・サービスと似た製品・サービスに触れる機会も増えたので、数ある選択肢の中からお客様に選んでもらう工夫が必要です。

そこで重要になってくるのが「ブランド」です。「◯◯社の製品は、安いのに高品質」などのブランドが確立していれば、数ある選択肢の中から自社の製品・サービスを選んでくれるお客様を増やせます。

コンテンツマーケティングとは、コンテンツを用いてユーザーとの接点を創出していく手法です。ブランドを確立するにはユーザーとの接点を創出し、単純接触を繰り返していくことが大事です。

コンテンツマーケティングに取り組めば、ユーザーとの接点を継続的に作れるようになるので、認知拡大やブランディングも強化されます。

④カスタマーサクセス

カスタマーサクセスとは、自社の製品・サービスを購入したお客様に対して「詳しい機能や便利な使い方」などのコンテンツを発信し、解約率低下や満足度向上を図る施策を指します。

サブスクリプションやSaaS系のビジネスモデルでよく活用される手法です。

製品・サービスを購入したお客様の使用状況を分析し、最適なアクションプランを提案することで「自社の製品・サービスを使い続けてもらうこと」を目指します。

継続的に利用してもらうことで、リピーターや口コミを増やし、新たなユーザーの創出も実現できます。リピーターや口コミは、認知拡大・ブランディングを手助けし、顧客のナーチャリングとコンバージョンの獲得も手助けしてくれます。

コンテンツマーケティングに取り組みたい企業様は、是非カスタマーサクセスにも取り組んでみてください。

注目の手法10種類

ソーシャルメディアのフルマーケティングエージェンシーであるLYFE Marketingは、コンテンツマーケティングにおいて最も効果的なのは、以下の10種類の手法だと結論づけています。

《手法1》記事コンテンツ

コンテンツマーケティングとして最も多いのがこの手法。ブログ記事や、知識、ノウハウ系の発信を行うものを指します。今ご覧の当ページも記事コンテンツの一つです。記事コンテンツは飲食系、旅行系、ライフハック系、おもしろブログなどあり、その分野は非常に多岐に渡ります。

また、記事コンテンツで集客する際に、重要になってくるのがSEO対策、検索エンジン最適化です。SEO対策を行うことで、そのコンテンツが自然と多くの人の目に触れることになり、より顧客獲得の可能性が高まります。SEO対策に関して詳しく知りたい方はこちらへどうぞ。

《手法2》動画

《手法2》動画
今、最も勢いのあるコンテンツマーケティング手法で、かつこれから伸びると言われているのが動画を使ったコンテンツマーケティング。アメリカでは、約8500万人が一日に1.5時間Youtubeを視聴していると言われているほど、動画を見ることは人々の日常と化しています。

動画を使うコンテンツマーケティングのメリットとして、特筆すべきはその圧倒的な情報伝達量。それは一分間の動画約180万語、webページ3600ページ相当だと言われています。

加えて、静止画や、文章よりもより感情に訴えやすく、印象に残りやすいという特徴もあるため、今多くの企業が動画によるコンテンツマーケティングに取り組んでいます。

《手法3》インフォグラフィックス

《手法3》インフォグラフィックス
インフォグラフィックスとは、Information+Graphicからなる造語で、データなどの情報を直感的に見やすく表現したものを言います。

身近な例でいうと、電車の路線図もその一つ。複雑な情報を視覚的にまとめることで、理解されやすくなります。

また、インフォグラフィックスは印象に残りやすく、言葉を介さなくても意思疎通が図れるため、国を超えて伝播することができ、世界中に拡散される可能性を秘めています。

《手法4》ケーススタディー

ケーススタディーとは事例のこと。実際にあった具体的な事例を提示することで、ユーザー自身がそれを活用しているイメージを明確化することができ、より商品やサービスの信頼性を高めることが可能なコンテンツマーケティング手法です。

また、できれば成功事例のみならず、失敗事例も紹介することで、より信頼度が上がるでしょう。

《手法5》ebook

《手法5》ebook
ebookとは電子書籍のこと。パワーポイントやkeynoteなどでまとめられた資料、文書などを指します。

サイト上にebookをダウンロードできるようにしておけば、それをアポイントにつなげることも可能で、特にB to Bでは有効なコンテンツマーケティング手法と言えるでしょう。

《手法6》ホワイトペーパー

ホワイトペーパーとはもともと政府や公的機関が発表する年次報告書のこと。白書といえばイメージが湧きやすいのではないでしょうか。

コンテンツマーケティングの場合は、見込み顧客の課題解決のための有益な情報、市場環境や技術動向の分析、導入事例の解説、他社製品との比較などの情報をもとに作成します。

顧客情報と引き換えにダウンロードできるようになっていることが多く、ebook同様、営業への足がかりとして利用することが可能です。

《手法7》チェックリスト

《手法7》チェックリスト
『旅行の持ち物』や『健康診断アンケート』などのチェックリストはみなさんも見たこと、使用したことがあるのではないでしょうか。このチェックリストもコンテンツマーケティング手法の一つです。

チェックリストはスタートアップや、中小企業においても非常に簡単に作成可能、かつユーザーにとっては非常に価値のあるコンテンツ。ソーシャルメディア等でも簡単にシェアできる便利なコンテンツマーケティング手法の一つです。

《手法8》インタビュー

多くのコンテンツは企業や個人の主観で書かれています。その結果、一方の視点に偏ったコンテンツが多く、その場合、コンテンツの質は下がってしまうでしょう。

一方で、インタビューは、商品やサービスを客観的に見せることができ、信頼性をもたらことができるコンテンツマーケティング手法です。客観性、信頼性を増すインタビューによるコンテンツマーケティングの例としては次のものが挙げられるでしょう。

導入事例

取引先企業の担当者などにインタビューするのが導入事例タイプ。なぜその商品を選んだか、どのように活用し、どんなメリットがあったかなどが内容となります。

そうすることで、読んでいる人は自分の状況と重ねて考えることができ、非常に導入後の効果を裏付けできるため、非常に有効なコンテンツマーケティング手法です。

有識者インタビュー

有識者インタビュー
素人ではなく、専門家の意見を第三者の視点で取り入れたのが有識者インタビュー。権威のある専門家の意見ということで信憑性が増します。

本の帯に有名人がコメントしているのを見たことがあると思いますが、それも有識者インタビューによるコンテンツマーケティング手法の一種です。

開発者インタビュー

開発者インタビューはその商品やサービスに対する思い、こだわりや技術の限界に挑戦したストーリーなどを用いたコンテンツマーケティング手法。営業トークのように押し付け感がないため、素直に受け入れられやすいのが特徴です。

コンテンツ作成のポイントとしては、苦労話や失敗談を盛り込むと、波乱万丈のストーリーとなり、よりユーザーを惹きつけることができるでしょう。

《手法9》ソーシャルメディア(SNS)

《手法9》ソーシャルメディア(SNS)
全人口の3人に1人、約25億人がソーシャルメディアを活用していると言われています。そのソーシャルメディアを使ってコンテンツマーケティングを展開すれば、多数のオーディエンスにリーチすることが可能です。

ただ、一方でソーシャルメディアを使ったコンテンツマーケティングでは気をつけなければいけない点もあります。それは検索エンジンとの違いです。検索エンジンの場合は、ユーザー自ら情報を求めて検索という行動を取るため、クリック率が高く、購買などの行動にも移りやすいのが特徴です。

ソーシャルメディアの場合、ユーザーはエンターテイメントを求めています。良いコンテンツをソーシャルメディアでポストしても、クリック率は1%程度あればいいほうだと言われているのは、多くの場合ユーザーのニーズとポストが一致してないからです。

その有効な解決策として注目を浴びているのが、動画コンテンツ。思わず見てしまうような動画を流すことで、ユーザーの目に留まり、次の行動を喚起しやすくなるのです。

《手法10》GIFsやインターネット・ミーム

こちらはアメリカで流行っているコンテンツマーケティング手法。日本ではまだ、コンテンツマーケティングとしての活用はあまり見られません

インターネット・ミームを端的に言うと、おもしろ画像やネタのようなもの。日本で言う画像で大喜利みたいなものでしょうか。

GIFsやインターネットミームのいいところは、面白いと思った人が簡単にシェアできるため、短期間で爆発的に流行らせることができる点です。ただ、その運用にはブランドイメージを損なうなどのリスクも伴うため、Forbesによると以下の事項は守るべきだといいます。

デジタルネイティブであるべき

インターネットミームはデジタルネイティブに創ってもらうこと。インターネットミームは本来非常にセンスが求められる手法です。デジタルネイティブではない方が創ったミームは洗練されていないことが多いため、逆にブランドイメージを傷つけかねません。

ターゲットオーディエンスを決めること

ターゲットオーディエンスを決めること
ターゲットオーディエンスを決め、その人たちに刺さるものにすることが必要です。良い例えが、学校の先生のものまねでしょう。生徒たちには大ウケするでしょうが、他校の生徒は何が面白いのかわからないですよね。

インターネットミームもそれでいいのです。万人受けよりもある一定の層に刺さる方が話題性が高く、拡散力が有り、コンテンツマーケティングに向いています。

時代の流れを見極めること

バズるインターネットミームを作るには時代の流れを知っておく必要があります。果たしてそのコンテンツはまだウケるものなのかを見極めなければなりません。

いい例が1発屋芸人でしょう。一時的に爆発的に売れても、一度テレビから消えて再びそのネタを見たときには全然笑えないのと同じです。なぜならそのネタはもう旬ではないから。

インターネット・ミームを発信する際も、時代の流れや、流行りに沿ったものを選びましょう。

ここでは、有効だと言われているコンテンツマーケティング10の手法を紹介してきました。あなたが、興味のある、既に知っていたコンテンツマーケティング手法はいくありましたでしょうか。

手法は分かっていただけたかと思いますが、実際に例を見てみないとコンテンツマーケティングがどんなものかをイメージしにくいかと思います。

次は、実際に実施されたコンテンツマーケティングの有名事例を紹介してまいります。

コンテンツマーケティングの成功事例

コンテンツマーケティングの成功事例

ここからは、コンテンツマーケティングの有名な成功事例についてご紹介していきます。

より詳しい事例を知りたい方は、以下の記事で解説していますので、そちらも参考にしてください

事例①:BtoB|オウンドメディアを活用して企業認知度アップに貢献「サイボウズ式」

サイボウズ式トップイメージ
引用元:サイボウズ式

グループウェアや業務改善サービスを展開する「株式会社サイボウズ」が運用するオウンドメディア「サイボウズ式」は、コンテンツマーケティングに携わる人であれば、知っておくべき成功事例です。

サイボウズ式は「商品の宣伝もPRもしない」という運営方針を持っており、経営者・マネジメント層を中心ターゲットに、会社やチームのパフォーマンスがどうすれば向上するのかというテーマで、記事コンテンツを発信しています。

2012年5月にサービスを開始以来、「サイボウズを知らない人にサイボウズを知ってもらうこと」を目的に運用を続け、サイボウズの認知度向上はもちろん、サービスの売上増加にも成功しています。

事例②:BtoC|ECサイトをメディア化し、根強いファンを獲得「北欧、暮らしの道具店」

北欧、暮らしの道具店(EC)トップイメージ
引用元:北欧、暮らしの道具店

株式会社クラシコムが運営する「北欧、暮らしの道具店」は、「フィットする暮らし、つくろう」をテーマに暮らしの道具を販売しているECサイトです。

従来のECサイトとは異なり、ECサイトとオウンドメディアを融合し、商品や暮らしにまつわる様々なコンテンツを発信。商品自体に興味を持っていないユーザーでも、コンテンツに興味を持ってもらうことで、ECサイトの認知に繋げています。

実際に、月間UU数が約170万UUに対し、月間PV数が約1,500万PV(2019年4月時点)。1人のユーザーが閲覧するページ数やリピート率が圧倒的に高いことが分かります。

「北欧、暮らしの道具店」は、ECサイトだけでなく、SNS・Web記事・YouTube・ラジオ・書籍・メルマガなど、ユーザーのニーズに合わせた情報発信で多くのユーザーを獲得しています。

販売する商品も雑貨だけでなく、洋服や食品と幅広く、YouTubeでは短編ドラマを発信するなど、ユーザー体験を徹底的に意識したサービスを心掛けています。その結果、根強いファンを数多く獲得することに成功し、顧客のLTV向上にも貢献しています。

事例③:BtoC|もの作りに対する職人のこだわりをSNSアカウントで発信「土屋鞄製作所」

土屋鞄製作所
引用元:土屋鞄製作所

土屋鞄製作所は、「自分たちで作り、自分たちで直接お客様に発信する」をモットーに、財布や鞄・ランドセルといった革製品の製造を行なっている国内メーカーです。

土屋鞄製作所では、ブランドの価値観を顧客に伝えるためにInstagramやFacebookといったSNSの活用や、ホームページでの情報発信を行なっています。

特にSNSでは、職人が一つひとつの商品を手作りで丁寧に作っている姿を発信。もの作りに対するこだわりを見せることで、顧客のファン化を促進しています。

結果的に、SNSやブログで接点を持った顧客が、ECサイトへの訪問や直接店舗に足を運ぶことで、売上の拡大に貢献。コンテンツマーケティングをブランディング目的に活用し成功した事例と言えるでしょう。

コンテンツマーケティングの実践方法

コンテンツマーケティングは、以下のステップで実践をします。

ペルソナを設定する

ペルソナとは、その商品やサービスを購入する代表的なユーザー像のこと。これを設定することで、ユーザーの課題が明確になり、戦略を立てやすくなります。一般的には、複数人のペルソナを設定します。

ペルソナのニーズを把握する

ペルソナが設定できたら、ペルソナごとにニーズを把握します。その商品を知ったきっかけや、購買時の比較軸など棚卸ししましょう。

ペルソナの動きを時系列で見える化する

ペルソナの動き(行動・思考・感情)時系列で書き出します。これを行うことで、認知から購買に至るまで、ユーザーがどのような情報を必要としているかが明確になります。以下の表を参考に書き出してみましょう。

カスタマージャーニーの例

コンテンツ内容を考える

ユーザーが必要としている情報がわかったら、それを解決するコンテンツ内容を考えます。

メディアを決定する

コンテンツの内容が決定したら、そのコンテンツをどんなメディアや媒体に載せるかを決定させましょう。同じ内容でも、ユーザーによって動画や記事など、どんなコンテンツが良いかは異なります。具体的な手法については、次項目で紹介するので、参考にしてください。

KPIを設定する

KPIとは、目標の達成度合いを計測するための定量的な中間目標のこと。メディアの場合、PV数、セッション数などをKPIとしておくことが一般的です。

コンテンツマーケティングを成功に導くポイント

コンテンツマーケティングを成功に導くポイント

企業でコンテンツマーケティングを展開する時に、担当者が頭に入れておくべき戦略のポイントについて解説します。

POINT1:誰に(Who)何を(What)どのように伝えるか(How)を意識する

コンテンツマーケティングを成功に導くには、顧客以上に顧客のことを理解する必要があります。

顧客の関心のない情報を発信しても顧客に無視されるだけなので、「顧客がどんな人でどんな情報を求めているのか?」を細かく把握する必要があります。

また、「その情報をどのような方法で伝えるのか?」も重要です。SEOだけでなくSNSやYouTubeを使った方がいい場合もありますし、SNSを使う場合はどのSNSを使うか?も見極める必要があります。

「誰に(Who)何を(What)伝えるか」を明確にすることで「どのように伝えるか(How)」を正確に判断できるようになるのです。

あとはカスタマージャーニーを意識するのも効果的です。カスタマージャーニーとは、顧客の行動・思考・感情を時系列で見える化した図のことを指します(カスタマージャーニーマップとも呼びます)

1、ユーザーが今どのフェーズにいるのか?
2、フェーズごとにどんなコンテンツを提供すればいいのか?
3、コンテンツをどのような手法でユーザーに伝えればいいのか?

以上の3点を常に意識しながらコンテンツマーケティングに取り組めるので、コンテンツマーケティンの成功率が高くなります。

POINT2:量産型のコンテンツではなく、高品質のコンテンツを作る

一昔前は安価で大量に作れる量産型のコンテンツを作れば上位表示していました。しかし、多くの企業がコンテンツマーケティングに取り組み、質の高いコンテンツを発信するようになってからは「コンテンツの質」が強く求められるようになりました。

POINT3:継続的にコンテンツを発信できる組織を構築する

質の高いコンテンツを単発で作るだけなら1人でも十分対応できます。しかし、コンテンツマーケティングは継続的に行っていく必要があるため「質の高いコンテンツを継続的に発信できる組織づくり」が必要です。

とは言え、コンテンツマーケティングの組織づくりにまで目を向けるられる企業は多くないので、自社にコンテンツマーケティングのリソースやノウハウがない場合は、外部のコンサルタントやコンテンツ制作会社、ツールに頼るのもアリです。

またコンテンツマーケティングで成果を出すためには、一定の期間も必要です。そのため「会社全体で長期的に成果を見ていく体制」が必要ですし、上層部の理解を得ることも必要です。

POINT4:コンテンツマーケティングの効果を検証し、PDCAサイクルを回す

コンテンツマーケティングではコンテンツ作成後の分析・検証も重要です。どれだけ思考を重ねてコンテンツを作成したとしても、実際に発信してみたら「意外と反応が悪かった」なんてこともあります。

そのため、実際に顧客の反応を分析しながらコンテンツの内容を改善し、より顧客の獲得に繋がるコンテンツに仕上げる必要があります。

その際に重要なのが「KPIの設定」です。KPIを設定する際には、なんのためにコンテンツマーケティングを展開しているのかを意識する必要があります。

その目的が、「売上の拡大なのか」「新規顧客の拡大なのか」「既存顧客のリピート率やLTVの向上なのか」「ブランドイメージのアップ」なのかによって、設定すべきKPIの指標は異なります。

コンテンツマーケティングを展開した結果、目標としたKPIを達成することができたか、また達成できていないのであれば、どこに原因があるのかを定期的に検証し、改善施策の実行に繋げることが大切です。

有名なマーケティングのセミナー・イベント

有名なマーケティングのセミナー・イベント

国内のコンテンツマーケティングイベント

ここでは、国内で行われるコンテンツマーケティングのイベントを2つご紹介いたします。

コンテンツマーケティングジャパン

コンテンツマーケティングを牽引するContent Marketing Instituteと世界最大の展示会主催企業であるUBMが共同主催で、国内外のリーディングカンパニーやプロフェッショナル、最新事例、業界の動向が集結する国内最大級のイベント。
コンテンツマーケティング中級者~上級者におすすめです。

コンテンツマーケティングEXPO

このEXPOはリードエグジビションジャパンが主催するイベント。コンテンツマーケティングをこれから導入しようとしている企業と、ツールやアドテクノロジーを持つソリューションを提供する企業のマッチングが行えます。

こちらは初心者~上級者のすべての方が対象となっています。

海外のコンテンツマーケティングイベント

コンテンツマーケティングワールド(CMW)

コンテンツマーケティングワールドは、Content Marketing Instituteが本家アメリカで行う世界最大規模のマーケティングカンファレンス。

昨年、世界50ヶ国以上から3,700⼈以上のコンテンツマーケッターが参加しました。3日間に渡り、業界の著名なスピーカーが、120ものセッションやワークショップを行います。

コンテンツマーケティングワールドは中上級者かつ英語が堪能な方向けのイベントです。

まとめ

まとめ~記事や動画制作等は外注も可能~
この記事では、コンテンツマーケティングの定義や目的、その手法や事例などを解説してきました。

コンテンツマーケティングは、記事コンテンツや動画・SNSなど様々なコンテンツを活用することで、顧客の獲得〜育成を目指すWebマーケティングの手法の一つです。

継続的に良質なコンテンツを発信することで資産化することや、予算をかけずに始めることができるのがメリットですが、その反面でペルソナの設定やニーズの把握、KPI設計などが求められます。

コンテンツマーケティングは、戦略をもち、組織全体で取り組む必要がありますが、もしもし自社でノウハウがないのであれば、コンテンツマーケティング代行会社に依頼をするのも賢い選択です。